2024/11/03

20241103_第8回甲州アルプスオートルートチャレンジ(70kmオートルート)

秋はトレランのシーズン。
何度も出走しているハセツネのここ最近のエントリーフィーの高騰がえげつないので、少し距離を置きたい気分になり(単にクリック合戦に負けたというのも理由のひとつではあるけれど)、かねてより気になっていた甲州アルプスオートルートチャレンジに参戦してきた。強烈なドラマがあった訳ではない気がするので、ブログはいつもより軽めにw

このレースに出走しようとした時にまず立ちはだかったハードルは宿問題とアクセスだった。短いカテゴリーもいくつかあるのだが、自分が出ようとしていた制限時間17時間のオートルートカテゴリーの場合、朝4時スタートで21時ゴールとなり、しかも前日受付が必須である。つまりはやくゴールできる自信がある場合を除けば、前泊に加えて後泊も必要なのだ。塩山で2泊もするの?宿とるの?近くにキャンプ場なんて見当たらないよな??問題は山積みだったのだけれども、時期とエリア的に紅葉は絶対綺麗だろうしこれはもう出たいし出るしかないでしょということで見切り発車的にエントリーしてしまった。

結構ギリギリになるまで宿もアクセスも決まらなかったのだが、直前に急遽宿も足も一気に決まって事なきを得た。もし会場の駐車場にテントを張ることになったとしてそこに2泊とか、しかも初めてだからどんな駐車場かよくわからないしそもそも他にテント張ってる人なんているんだろうか?と不安に思っていたところから、レースを1週間後に控えた頃にいきなりの急展開。レース前日は大雨だったので、宿があって本当に助かった。前日は当然のように宴会となったが、できるだけアルコールを控えて早く寝るよう心掛けた。皆は飲んでいたけれど、私以外の皆、たいそう強い方々だったし、オートルート出走は私ともう1人だけだったので・・・
4時スタートは初。早朝というかほぼ夜。
過去私が経験した中で一番朝が早かったのが奥久慈の5時半スタート。あとは分水嶺の24時(朝というか夜)なので、今回が過去一番早いスタートとなった。今回は2時起床、3時移動で、私と同じオートルートカテゴリに出走予定のY氏の軽トラに乗せて頂き現地入り。朝はもっと寒いかと思っていたが、表に出た瞬間からまったく寒くなくて拍子抜け。いやこの時期の山梨でこの気温ってちょっと暖かすぎるのでは。
朝2時から1000kcal以上食べられるのは強みだと思っている。カロリー的に準備はばっちり(食べ過ぎ)。ランチパック的なものとおいなりさん、薄皮シリーズのパンを数個食べたのだったと思う。
走っている間、ほぼずっと富士山が見え続けていてとても綺麗だった!紅葉も素晴らしい
走り出して暫くはロード。登りも勿論あるけれど想像以上に下りが多い。序盤に下りのロードで前腿に刺激が入るレースなんて経験したことがないので、これが変に最後に影響しないといいけれど・・・とか不安に思いながら進んでいく。このレースはコースがきつい割に制限時間が短いこともあってか選手が皆強者揃いのようで、ロードでダレてくる人が全然居ない。しかし自分も一緒になってこんなに突っ込んでいては潰れてしまう。多少温存しなくては・・・とはいえ70kmしかないしそれなりに飛ばすべきなのか?などと考えを巡らす。

序盤で源次郎岳を登っていると、二日酔いで気持ち悪いなどと言いながらもすたすた進むY氏に捕らえられる。二日酔いでその軽やかな足取りですか・・・(本人的には相当つらかった模様)。しかも私より10歳以上年上なんですが・・・。
激登りを終えて源次郎岳
CP1に到着しタイム表を確認しながらエイドの食べ物をいただく。オートルートはハセツネとほぼ同じ距離だがエイドが7回もあり(大体10キロに1回のエイドがあり)、そのすべてで食料や水分など十分なエネルギー調達ができるのが最大の違いだ。走りながら固形物をそんなに食べ続けるのは人によっては難しいことなのかもしれないが、胃腸の強い私にとっては何の問題も無かったので、最初のエイドからあんぱんクリームパンチップスターとぽいぽい口へ放って無心で食べまくった。ここまででまだそんなにカロリー消費してないだろ、と1人突っ込みをしつつ。
今回目標タイム13時間半~15時間半までの表を作ってきており、本命は14時間かなーなどと思っていたのだが、CP1の到着時刻と照らし合わせると既に15時間半想定くらいの時刻になっており愕然とする。いやいやここまで結構頑張ってきて、走れるところは走ってきていたのにここまで4時間弱、この感じでゴールしても15時間半かもしれないってことか??これはひょっとして関門アウトとかあり得るのか?タイムを狙うとか以前に、制限時間と闘わなくてはいけない系なのか?(やばい)
標高をあげてきたこともあり結構寒かった。CPではリタイヤを決めたらしき人がエマージェンシーシートに包まって震えていた。指切りグローブから飛び出した私の指先も冷えきっている。

とはいえ動き出せば体は暖かい。日も高くなりむしろ暑いくらいだ。滅茶苦茶良い天気。
小金沢山に向かう稜線にあがるところかな?8時半過ぎ
一緒に泊まったメンバーのうちの2名はTGT主催のA御夫妻だったのだが、このポイントで誘導のボランティアをしてくださっていた。前日に13時間台でゴールできたらいいな~なんて言っていたのが恥ずかしいような遅さで到着w 少しだけ会話して写真を撮って先を急ぐ。
富士山どーん
湯ノ沢峠CPまでの間はいくつかのピークを登ったり降ったりふわふわと進む。どこかの登り(黒岳だったか??)で6-7人くらいのパックができあがり、私はその後ろの方についていた。自分のペースよりも少し遅いかなというくらいののんびりしたペースで暫く進んでいたその時だった、木の根っこに乗ったのか軽く滑り、静かに前に倒れた。ストックを使っていたこともあったし、斜面が急だったこともあって、手を突くより先に胸から着地したらしい。ウッと声が出たと思ったら一瞬息ができなくなりその場にうずくまった。

同じパックに居た人が前からわざわざ駆け寄り、大丈夫ですかと声を掛けてくださった。本人もレース中なのにそんな私ごときのために立ち止まるなんて勿体無い!と焦りながらよくよくその人を見上げたら「救護」と書かれたビブを着ていらっしゃった。救護担当の方ならお言葉に甘えよう、ということで一緒に休んでからゆっくり先へ進むことにした。痛みが強くなるようなら言ってください!と言われて様子を見たが、痛みは強くも弱くもならなかったのでその旨伝えた。痛み止めは持ってますか?はい持ってます!じゃあいざとなったらそれを飲んでなんとかなりますかね?みたいなやり取りをしてその救護の方とは別れた。痛みを感じていたのは肋骨だった。パックにいた女性はすっかり先に行ってしまって見えなくなった。今自分が何位なのかもさっぱりわからなかったが、またここで順位が落ちたなと思った。

29km地点湯ノ沢峠CPに来ると、友人が応援に来ていた。あばらをやったかもしれないという旨を伝えて別れ、次のエイドである42km竜門峡CPへ駒を進める。牛奥ノ雁ヶ腹擦山の稜線は曲り沢や小金沢など、沢登りや釣りで詰め上がった後に歩いたことがある場所を繋いだようなところだったので「おお、あの時の詰め上がりのポイントだ!」なんて思いながら進んでいた。こういう、記憶をなぞるようなルートがトレランのコースになっているのは感慨深いものがある。次に目指すは竜門峡エイド。
42km竜門峡エイド。ミニサイズのカップヌードルが美味しい
竜門峡に向かって降っている時だっただろうか、いよいよ肋骨の痛みが鋭くなってきた。登っている間は特に問題はなかったが、降りで走り始めたら着地の衝撃がダイレクトに肋骨に響いてすこぶる痛くなってきた。着地が痛い、とりわけ上半身と下半身に捻りが生じた時が痛い。それ以外ではどの体勢になると痛みが出るのかがイマイチわからないため対策に困った。とりあえず体の上下に捻りが加わらないよう、そして上に跳ねないような走りを心掛けながら超早歩きみたいな感じで降るようにした。気を抜くとすぐみぞおちの脇に電気が走る。

何度か利用したことのある温泉施設(特別養護老人ホームがお風呂を解放している施設)を過ぎて竜門峡エイドに着くと、高校生くらいの女の子たちが誘導ポイントで出迎えてくれた。13:00頃。ああーようやく完全に半分は越えたぞーーという気持ちで、到着後真っ先にカップヌードルをいただく。美味しい。ひとつめを食べ終えて、もうひとつ食べたいなという気もしたが、のんびりしすぎてもいけないので麺は諦めた。正直ここでそこまで食べなくてもシャリバテしない程度には食べてきている。麺に続き、地元で作られたらしきよもぎ饅頭もぺろり。あとここのエイドでは「チップスターにチョコレートを乗せて一緒に食べると美味い」ということに気付いてしまって、それをバクバク食べていた。なんと背徳的な味か!ROYCE'のポテトチップチョコレートの下位互換といった感じw なんやかんやでここにも10分ちょっと留まり、ようやくここでロキソニンを投入し、羊羹をいくつか握りしめてエイドを後にする。因みに、各エイドで提供される食べ物を自作のタイム表に落とし込んであったというのに、何故か竜門峡でシャインマスカットが食べられると勘違いしていた。まるで偽ピークに騙されたような気持ち、誰も私のことを騙してなんかいない、ただの思い込み。。。
紅葉が綺麗!
11月とは思えない暖かさ
15:15頃、ようやく一旦登りが終わって深沢エイドに到着。ここからは他のカテゴリーのコースと重なるため選手が増えるが、よくよくゼッケンを見るとオートルートの選手は周りにあまり居ない。他のカテゴリーを走ってバテ気味な選手を見て安心していてはいけないのだ(急げ自分)。
沢山マスカットを食べたらお腹壊しそうだなーと事前に考えていたのに、あまりの美味しさに食べる手が止まらない。皮も気にならないほど薄く渋みもない。いやーシャインマスカットってこんなに美味しいんだねと驚いてしまった。フルーツというかスイーツ。甘い物欲みたいなものがおさまるレベルの、まるでシロップ漬けかと思ってしまうほどの甘味。パフェなんかで生クリームと合わせても絶対に負けない強さがある。この場で2-3房分くらい食べたんじゃないだろうか。滅茶苦茶美味しかったし一気にこんなにブドウを食べたのが人生で初めてだったのではないだろうか。でもエイドの人に「シャインマスカットとお味噌汁を一緒に食べると美味しいらしいんですよ」と言われて絶対嘘だろと思ったら、案の定全く合わなかった。謎の口コミを残していったの誰だよ(お味噌汁は普通に美味しかった・・・)。お腹は壊さなかった。
ようやく49km深沢エイドのシャインマスカット!
房から外してあるので食べやすく、水分補給とエネルギー補給が同時にできて
ビタミンもとれて最高のエイド!
ここから暫くは林道の下り。登っているときにはロキソニンの効果はよくわからなかったが、降り始めたら薬が十分効果を発揮してくれているのが判った。舗装路を駆け下りて着地の衝撃を受けてもまったく肋骨に痛みを感じない。しかも痛みのせいで温存させられていた脚が思い出したようによく回るようになって林道は快調に飛ばせた。テクニカルでもない走れるセクションで走れないと、情けなくてメンタルにくるので、今回はここで走れたのはとても良かった。そしてロキソニンの力を身をもって改めて思い知る。ロキソニン大事。寧ろ効きすぎて怖い。

ここから2時間ほどした17:10頃、最後のマロニエエイドに到着。森の中の暗さはギリギリといった感じだったがどうにかエイドまで持ちこたえたところでヘッデン装着。前日は「暗くなる前にゴールできるよ!」などと言われてまんざらでもなかったが、手前のエイドで既にすっかり暗くなってしまった。ヘッデンで走らなければならない時間はそこまで長くないとはいえ、明るいライトにしておいてよかった。ライトが明るいと、気分まで明るくなるものだ。ここのエイドでは午後の紅茶のミルクティーが初登場していて、これを3杯くらい頂いた。寒くないので温かい飲み物はあまり欲さず、常温のミルクティーは飲みやすくてとても美味しかった。行動食がずっと甘いせいか、甘い筈の午後の紅茶が全然甘く感じなかったのは不思議だった。むしろ紅茶の渋みを感じたくらいだ。

この後ゴール間際にもう1ヶ所ドリンクのエイドが設置されていたので、とりあえずコーラを頂いた。やっぱりコーラなんだね、コーラ大人気だ!なんて笑いながらコーラを注いでくれるボランティアの方としばし談笑。その後も地元のおじさんみたいな方が「よく頑張ったぁぁぁ!日本一きついレースを完走したあんたは偉いぃぃ!」などと過剰なくらいの声援を送って下さるのを聞きながらゴールを目指す。ていうかあのおじさん、4時台から居たよね・・・?おじさんも丸一日応援し続けていたのだろうか、それはそれで凄いわ。ハードコア応援(ソロ)。

最後の最後、公園に入って橋のようなものを越えたあと、ここまで過剰なくらいに丁寧につけられたマーキングや矢印がなくなった。一直線にゴールゲートめがけて階段を降りていったら「ここじゃないんですよー!あっちをぐるっと回ってゴールなんです!!戻って!!」と言われてまさかの登り返し。まじかよ。走って登り返せるくらい脚はまだまだ元気だったのは良かったけれど、結局後から来た人に先にゴールされたりなんかするのを眺めながらぐるっと回ってようやくゴールゲート。お疲れ様でした。
ゴール後はお代わり自由の具沢山の豚汁!美味しそうに見えない写真で申し訳ない・・・
宿に戻り次第宴会もあるので控えめに(といってもたっぷり2杯頂いて大満足)
一緒に出走したY氏は30分ほど前にゴールしていたが体育館で待っていてくれた。合流してお風呂行って買い出しして宿に戻って皆で打ち上げ。宿メンバーは数名入れ替わっていたが同じレースを走った人はみーんな仲間。あーだこーだ言いながら、私はレース前日に飲めなかった分を埋め合わせるかのように飲んだ。Y氏は二日酔いで走ったこともあって相当なダメージを食らい、殆ど飲まず食わずのうちにこたつで眠ってしまったzzzzz それにしてもゴール後すぐに現地で打ち上げまでできるのは最高だな。もし1人でテント泊だったら、夜お風呂も行かず(行けず)、汗拭きシートで体を拭いてから頑張って終電で帰るか、テントでもう一泊するか、または途中まで帰って漫画喫茶に泊まってシャワーを浴びるかだなぁと思っていたので、2晩にわたって雨風しのげる拠点があるなんて贅沢の極みだった。ありがたすぎる。
事前に作ったタイム表、結局15時間半ペースで進んで最後にギア上げた感じか。
今回一緒に泊まったメンバーのH女史は昨年オートルートの優勝者であり、そのタイムは13時間台だった。どれほどの人で13時間台なのだろう、自分はどれくらいでゴールできるのだろうと思って彼女の他の大会のリザルトを調べていたら、2023のハセツネのタイムは私より30分くらい遅いことがわかった。順位はさておきとりあえずオートルートも彼女と同じくらいのタイムで行けるんじゃないのかと思ったので、私は彼女のタイムを参考に計画を立てさせてもらうことにした。まぁ結局のところ13時間台なんてとてもとても届かなかった訳だけれども、エイド5か所で各10分は休んだとするとこれを半分の5分にすれば25分早くなるし、肋骨を折らなければ多分中盤もう少し走れるだろうし、次また同じコースで開催されるのであればまた出走してみたいなぁと思っている。たまには峠走とかもやっておかないと、走れる気持ちの良いトレイルで中弛みしそうなので、次出るなら事前に峠走はやりたい。あと一番大事だと個人的に思うのは、普通に毎週末山に行き続けておくことだな。その年によって出走者のレベルは違うから順位まではわからないけれど、次は是非14時間は切りたいなと思っている。

掘りごたつで2晩にわたって宴会まで楽しめて本当に最高でした。ご一緒してくださった皆様ありがとうございました!おしまい。

※肋骨は折れてました。

ゴール後の宴会は写真撮ってなかったのでこれは前夜祭
前日にナマモノを食べまくる一行w(寿司やら馬刺しやら)
以下、備忘録。

<エネルギーと水分>

・エネルギー:アミノバイタル顆粒2200mg×5-6本、ジェル類2-3本(昨年のハセツネの残りなどを流用、新規買い足しは無し)

たくさん持とうとする私を制してくれた仲間たちに感謝!ほとんどエイドの食べ物でいけたので、胃さえ問題なければ何も持たなくても行けると思う。エイドの食べ物を持ち運べるようジップロックも持参したが使わず。ひとくち羊羹や塩タブレットのような小分けのもののみいくつか持った程度。エイドでほとんど食べ切ってから出発していたが、エイド滞在時間を削るならジップロック作戦の方がいいかもしれない。

・水分:Innerfactの500mlフラスク×2 常に1Lは持って移動。全部飲みきったセクションはなかったので、次のエイドが近い場合や気温に応じて少し減らしてもよさそう。


<服装、装備>

・ヘッドギア:HerenessのFOCUS CAP(チームのロゴ入りオリジナルデザイン)

・上半身:Finetrackのノースリーブドライレイヤー+Patagonia半袖T(どこかのレース会場で買ったもの)、C3-fitのアームカバー(いつも使っていたORのものが現在行方不明のため)、チャリ用グローブ

・下半身:知り合いがカモシカの刺繍を入れて販売してくれているバギーズショーツみたいな感じの短パン(3000円くらいの)、CW-Xのボディバランスアップスパッツ・ショート(BCY101)、ドライマックスのソックス、cepのカーフサポーターみたいなやつ(厚手の方)

・ライト:レッドレンザーH8R
・ザック:The North FaceのTR10

・シューズ:SCOTT Supertrac Iltra RC

・その他(必携装備等):エマージェンシーキット、雨具(モンベルのストームクルーザー上下、一度も着ず)、ココヘリ端末、Finetrackのフラッドラッシュ長袖T(長袖必携のため持参したがこれも着ず)、レッドレンザー予備電池、モバイルバッテリー(Ankerの10000mAh必携装備ではなかったが持参。しかしケーブルを忘れたためただの荷物になってしまった)、ONのゼロジャケット(ウィンドシェル、一度も着ず)、ヘリテイジのULトレイルポール、ワークマンのメリノグローブ、ティッシュ&ビニール袋、モンベル熊鈴(小)、Don’t Panic調光偏光サングラス、Fold-a-cup(マイカップ必携のため)、手拭い(顔から汗が垂れるほど暑くならず、結局持ち運んだだけで一度も使わず)