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2025/08/24

20250822-24_秋田-岩木山-五能線(どこかにビューーン!)(前編)

JREポイントを貯めると申し込める、JR東日本の「どこかにビューーン!」というサービスをご存知だろうか。検索してもらえれば詳しい記事がたくさんあるのでまずは他のサイトを参考にしていただくのが良いと思うが、簡単に言うとダーツの旅みたいな感じで行先が確定するシステムで、1往復5000~6000円で購入ができる。往復新幹線のチケットが破格で購入できてしまう代わりに、支払いを済ませないと行先が確定しない。金額に幅があるのは、起点を東京近辺かそれ以外のエリアにするかの差であり、東京・上野・大宮起点の場合は6000ポイントが必要になる。
3週間前から予約が始まり旅の6日前までなら申し込めるので、アウトドアアクティビティを絡めるのであれば天気予報がある程度見えてきてから直前に申し込む方が良いだろう。しかし直前だと通常の予約が埋まってしまって行先のチョイスが狭まる気がしたので、今回は3週間前に申し込みをし、日程は往路木曜夜、復路日曜夜とした。出発日を金曜夜や土曜朝にしなかったのは、その日時の枠の競争率の高さを見越してのことだ。システムにより4駅がランダムにチョイスされるのだが、条件を少しずつ変えて2-3回行先の組み合わせを試して、行き先候補駅 【長野駅】【米沢駅】【秋田駅】【二戸駅】になった時点で申し込みをした。長野になった場合はちょっと近すぎるしよく行くエリアだし微妙だなぁと思ってはいたけれど、4か所のうち3か所はほぼ自分にとっては当たり駅な気がしたのでこれで申し込みを確定。

3日程で駅が決まり連絡がくるとのことだったので暫くドキドキしながら待つのもそれはそれで楽しい。結局丸1日で行先確定のメールが届いた(これはケースバイケースで、数時間で返信がくることもあれば、本当に3日くらいかかって返信がくることもあるのだそう)。メールに行先は書かれておらず、JREのマイページだったか何かに飛ぶとそこに行先が書かれている。私の行先は秋田だった。一番遠かった二戸より近いとはいえ一般的にも当たり駅といえるターミナル駅だし、温泉も多い上に県内には知り合いもいるので雨でも晴れでも楽しめそうだ。毎週末の山行をこなしながらこのエリアの計画を立てるのはそれなりに時間がかかったので、前もって申し込んでおいて結果的には良かったと思う。

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<今回の計画の特徴>
大宮-秋田間往復新幹線ではあるものの、秋田より手前の駅である田沢湖下車→盛岡乗車のようなアレンジは可能だったため八幡平エリア縦走なども考えたが、既にこのエリアは歩いたことがある上に紅葉の時期という訳でもなかったので、行ったことのない場所へ行くことに決めた。
1.
高速バスでは中々自転車を積み込めない為、新幹線移動であるというメリットを最大限に活かすべく、今回は自転車をメインとする。
2.

全日程の荷物を持って自転車を漕ぐ必要があるため、荷物を軽量化した。ガス缶やバーナーは無し、食料も現地調達。但し下界での宿泊用にシュラフカバーを持参(暑そうだったので寝袋はなし)、登山を絡めるため自転車用・登山用・移動用の服をそれぞれ持参。
3.
かねてより乗りたかった五能線に乗る。
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2025/8/21 (Thu)
18:45 大宮発こまち37号
22:07 秋田着
初めてのこまち!(大興奮)くすんだ赤が滅茶苦茶格好いい
大人の嗜み
ザ・秋田
出発前日、秋田は災害級の雨に見舞われており、当日も午前中いっぱい新幹線は運転を見合わせていた。運転再開したこまちには乗車したものの、現地の状況はわからない。滞在中の天気はなんとか持ちそうではあるが、通ろうとしている道の荒れ具合はどうなのか。現地の友人からちょこちょこ情報が共有されるのを見ながら、ルート変更や途中から電車に乗ることも考えないとなぁなどと思いながら、しかし大して深刻に考えもせず呑気に過ごす。尚、この日最大の難関は秋田駅のステビだった。ターミナル駅のステビは結構どこでも問題ないものなのだが(静岡、松本、甲府あたりでのステビ経験済み)、今回は登山を始めてから初めてステビを警備員から指摘されて寝床を片付ける羽目になった。
とはいえ4時間弱くらいは眠れたので良しとしよう・・・
暑くてシーツしか使わなかった

2025/8/22 (Fri) ロードバイク156km(累積標高1100m程)
午前3時過ぎに起こされ、ベンチに座って目を閉じてみるも、流石の私でももうそこから眠ることもできずに5時前に自転車を組んで出発。事前に調べてあった最寄りのすき家で朝食をとり、大盛ご飯で1日を始める。この日の移動距離はおよそ160km弱。海岸沿いを走っても良かったのだが、最終日に五能線から海を見ることが決まっていたこともあり、自転車のルートは内陸を選んだ。
おはようございます
最近のマイブーム、すき家の朝食大盛。
ここでがっつり食べると午前中の行動食があまり要らない。
つまり食べることに時間を割かずに済むので進みが速いw
道中、雨のせいで荒れたと思われるような場所は無かったものの、いつもなら綺麗に透き通っているであろう川の水が濁りに濁っていたのが印象的だった。残念だったけれど、いやこれ晴れている日に来られただけでも御の字だよなぁと思いながらペダルを踏む。骨伝導イヤホンで流していた無料のSpotify、途中でサブスクのトライアルを申し込もうとしたが、アプリから申し込みができないという糞仕様で諦め。こんな状況でウェブから申し込めと言われて申し込む訳がない・・・
上小阿仁でコンビニ休憩
濁った川
信号はあまりないので結構なペースで進める。あまりに山間部だと熊が出そうで怖いなぁと思っていたけれど、そこまで山間部を走る感じでもなかったので良かった。とはいえ、翌日秋田県の熊速報LINEでは、私が通過した道の熊目撃情報が出ていたので、決して油断はできないエリアであることは確かだ。景色はひたすら米・米・米の田んぼだらけ。こうべを垂れた稲穂が大雨でやられなくて本当に良かった。
フライトという謎の商店のようなコンビニのようなところでソフトクリームを頂く
これだけに留まらず、カフェオレやらなにやら水以外の水分を補給
岩木山どーん!
すこし坂を上がるととりあえずの目的地であるあたご温泉に到着。
露天風呂はないものの、冷温ふたつの大きな湯舟があって最高に気持ちが良かった。一日中漕いで火照った体で冷泉に入れるありがたさよ!脱衣所では何やら異国語が聞こえてきて、こんな辺鄙なところにまでインバウンドかぁ、、、よく調べてくるもんだなぁ、、、などと驚いていたのだが、その後よくよく耳をそばだててみたらただの津軽弁だった。相変わらず何を言っているのかは全く分からなかったが、日本語であるということは分かった。そうだ、ここまでくると言葉はほぼ分からないんだった・・・。最早英語の方がわかるくらいだ。
冷泉もそこまでキンキンに冷えている訳でもないのでゆっくり入れるのが嬉しい。
本当は温泉よりもスーパーの方が低いところにあるし、先にスーパーに寄ろうかとも思っていたのだが、晩酌用のビールがぬるくならないようにスーパーは後にした。買い出しを済ませてから本日の宿泊地予定だった岩木山近くの道路の東屋に向かおうとしたが、最後かなりの登りになりそう、且つ、山の上で虫が多そう、しかも熊が居そう、ということで少し下にある民家近くの東屋に変更。こちらは滅茶苦茶風通しも良く涼しくて、何故だか虫もいなくて快適に眠れた。朝まで爆睡。
東北に行くと必ず食べている具入り卵豆腐。
冷やした茶碗蒸しみたいで美味しいのだが関東甲信越では全然売っていない。

2025/8/23 (Sat) 岩木山登山17km(累積標高1500m程)
特に百名山をやろうとしている訳ではないのだが、じわじわと増えている百名山は現在70弱くらい。五能線と併せてロードバイクを考えた時に森吉山、太平山、和賀岳も考えたのだが、いずれも考えれば考えるほどアクセスが悪すぎたり行程が長すぎたりして実現可能性が低かったので岩木山へ行くことにした。(秋田のビューーンなので秋田の山を登った方がいいような気もしたが。。。)この日の登山を終えた後の夜は山の東側にある川部駅界隈で夜を明かす必要があったということもあり西に抜けたくはなかったので、東から登って東に降りるラウンドコースにしてみた。最後林道は5kmちょっとあるが、まぁ荷物も軽いし走ればすぐだろう。

寝床からいこいの広場オートキャンプ場までひと漕ぎ。登山客用の駐車場に自転車を停め、ヘルメットや自転車メンテ用具、ビンディングシューズなどだけデポして山へ。駐車場には車は1台もなかったが、キャンプ場の駐車場に停めている登山客もいるのかもしれない(などと期待を寄せつつ)。
キャンプ場なので、登山口付近に自販機も水場もトイレもあって有難い。
因みにこの翌々日くらいに熊が出て、キャンプ場は月末で閉鎖になった・・・w
(間一髪)
くだりに使う予定の百沢コースには水場があるものの、登りで使う新弥生コースには水場はないので2L弱ほど水分を持った。
地図で見たらCT4時間程だったので3時間ちょっとで着くかな?と思っていたらこの看板。1時間多いけど。さてどうなるか。
入山直後にタマゴタケ。でもたくさん生えていた訳では無かったのでこれは持ち帰らず。
何だろう?と思って写真を撮ってきたが、どうやらオオワライタケという毒キノコのよう。
荷物軽量化のためと、林道は走るつもりだったことからこの日は短パンだったのだが、それでも汗が凄くて手拭いで汗を拭っては絞るというのを繰り返しながら進んだ。
標高250mの登山口から山頂1625mまでの登りである。別の登山口から行けばかなり上の方まで舗装路がついているので車で行けてしまうのだが、自分が選択したルートからだと結構骨のある登りを延々とやらされる。そして当然誰にも追いつかない、というかおそらく暫くこちらから誰も登っていない。6合目の少し下あたり、1100mくらいで視界は完全に藪に覆われ、腰からくの字に折れ曲がって地面を見ないと踏み跡が見えない。区間によっては250cmはあろうかという背丈以上の藪が続く。一向に進まない。空がかろうじて見えるか見えないか、当然地形なんてわからない。熊と鉢合わせしたらひとたまりもないだろう。こんなメジャールートあるかよ!聞いてないよ!こんなの人によっては遭難するだろうよ!などと1人でブツクサ声を上げて音を出しながら進む。山頂まで延々と標高差500mもこの手強い藪が続くのだとしたら相当時間がかかりそうだ。
六合目。道標のところだけはなんとなく開けているのだが、それ以外がもう完全に藪に閉ざされている。
そろそろ短パンの限界か・・・(痛い)
雨は降っていないので笹は濡れていないが、笹が痛くてレインウェアを着たくなってくる。とはいえ暑い。謎の葛藤を繰り返しつつ高度を上げる。脚はギタギタのキズキズ。汗が沁みて痛い。
少しだけ空
標高1300mを過ぎた辺りでようやく藪が落ち着いてきて一安心。そうこうしている内に山頂の気配が訪れ、汗冷えしそうだったのでレインパンツを履く。
お天気悪化。雨が降らなくてよかったけれど寒い
山頂直下までくると上の方から人の声がしてきた。もう上の登山道は近いぞ!と思ったら、刈り払い作業の方々が新弥生コースを下りてくるところだった。なんとこの日に刈り払いなのだそうで「ほとんど道無かったでしょ?w」と言われた。運が悪かったw
登頂!
登り始めてから山頂までの所要時間はたっぷり3時間半ほど。山頂には矢張り沢山人が居て、強風の中ラーメンを作っている人なんかもいたが、何故だか避難小屋に入る人が1人もいない。私はひとりで中に入って行動食をあれこれ齧って過ごした。外寒いじゃんね、なんで中使わないんだろうねw
風がよけられる有難い空間
午後雷雨という予報を出しているサイトもあったので、山頂で晴れ間待ちをすることもなくそそくさと撤収。百沢コースの方は人もそこそこいて安心だったが、沢沿いなので少し滑りやすい。水場があるのは有難い。
ちょっと私が登る時間が早すぎたのか、私が降りる時間帯に登ってくる人が多かった
絶対に枯れないであろう安心の水場
下の方で完全体のタマゴタケらしきものを発見したが、タマゴを割ってみたら違うキノコだった。
下山して、走る予定だった林道はほぼ全部歩いて自転車を回収して、のんびり体勢整えてから今日の温泉へ向かう。もし時間と体力に余裕があったら岩木山の周りの環状線40-50km程を自転車で回ろうかなと思っていたのだが、藪で想定外に消耗した上、下山途中に右足首を少し捻挫していたため環状線は諦めた。更に言えば、前の週に立山エリアを縦走していて転んだ時に打った肋骨の痛みが悪化していて、走ると響いて痛かったということもあって、まぁ諸事情により色々中止。体はボロボロw
この日の岩木山山頂付近はずっとこんな感じだった。待っていてもきっと晴れなかっただろうしさっさと下山したのは良い選択だったかもしれない。
お腹が減りすぎていたのでファミリーマートでファミチキなどを食らい腹ごしらえをしてようやく温泉へ。目を付けていた温泉で、自分的には至って自然なチョイスだったと思うのだが、どうやら大分ローカル向けな温泉だったらしく、この後に行った呑み屋でこの温泉に行ったことを話したら大そう驚かれた。湯温は極めて高く、湯量は豊富で終始湯船から流れ続けていて、いかにも青森らしい温泉だった。泉質が良いのに湯船に長いこと浸かっていられないのが勿体無い。こんな温泉が300円とか400円とかなんだから本当に東北はどうかしている(絶賛)。
受付のおばちゃんも皆気さくで良い人ばかり。お風呂あがりに自販機のジュースを2本くらい買って飲んでのんびりさせていただく。体の熱が中々おさまらない。
この日は川部駅待合室ステビ予定だったのだが、川部駅は奥羽本線と五能線が両方通っていて終電が案外遅いため、早い時間から寝床を広げることができない(因みに2路線走っているにも拘らず無人駅というのがすごい)。自分としてはどこかで暫く時間を潰して終電が終わってから駅に行くか、弘前まで自転車で移動して快活CLUBにでもチェックインするかの二択だった。しかしお風呂後に弘前まで移動して、また朝7時過ぎの電車に乗るために弘前から川部に戻ってくるのに自転車を漕いで、それから自転車をバラして・・・等々考えると弘前に行くのは大分面倒臭い。というわけで、事前に調べてあった川部駅近くの飲食店に行ってみることにした。

本命のつもりだった1軒目、お店のドアを開けると、何やら髪色の明るい女子が二人いるだけで、誰も何も食べていない。営業はしていると言われたけれど、これは自分一人で飲食したところで全く長居できる気がしないばかりか、滅茶苦茶居心地が悪そうだ。2軒目、次の候補地でもあったお店の暖簾を潜ると、既に完全に仕上がったおじいちゃんが1人と人の良さそうな女将さんが1人。外には赤提灯。どのメニューにも値段は書かれていないのが怖いけれど、レビューを見る限り全く高くはなさそう。ここにしよう。
こういう店でビールを頼んで、ジョッキではなくグラスで出てくると思わなかったw
お通しのイカと胡瓜と菊の花の和え物が既に美味しい
あまりご飯らしいご飯は無いけど大丈夫?と聞かれたが、ホワイトボードに書かれたメニューはおつまみとして必要十分。仕上がったおじいちゃんの津軽弁はきつく、7割以上何を言っているかわからない。女将さんは私に対して標準語に近い言葉で話してくれたので会話が成立したけれど、女将さんとおじいちゃんが話している会話はまったく不明だった。聞き取れるのは数字とか固有名詞くらい。途中で外は大雨になり、結構汚れてドロドロだった自転車はすっかり綺麗になった。自転車を漕いでいる最中に降られなくて本当に良かった。
そうこうしている内に常連さんが1人、2人とやってきて、カラオケが始まって大盛り上がりに。おじいちゃんは今日の飲み代をツケにして(今もツケ文化とかあるのかというのも驚いたが)サンダルを忘れて片足裸足のまま帰路につこうとするし、やいのやいのと大騒ぎ。最後まで残っていた隣のおじちゃんが日本酒やらこまいやら御馳走してくれた。隣のおじちゃんが主に話に付き合ってくれたが、基本的に店内の会話は理解ができない。
こまい美味しかった!
居心地良すぎて結局5時間くらい滞在w
女将さんのお孫さんの若い女子もお店を手伝っていた。
孫がお店手伝ってくれるなんて、女将さん滅茶苦茶幸せだろうなぁ。
電車はすべて終わったので寝床をつくる。お店に居た人達曰く「そもそも、電車がきてもこの駅で乗降する客なんてほとんど居ないから早目に寝てても大丈夫だよ」とのことだったw
快適と思われた寝床は暑くて寝苦しく、明け方には蚊が増えてきて4時前には起きてしまった。。。持参していた蚊取り線香が小さかったので、数時間で燃え尽きてしまったのが敗因。
因みに線路逆側にはもっと綺麗な待合室もあったが、気密性が高すぎて余計暑そうだった。蚊がいなかったとしても暑過ぎたら矢張り眠れないw


後編へ続く

2018/09/18

20180913-18_朝日連峰-飯豊連峰(6日目:本山小屋-弥平四郎)

2018/09/18 (Tue)
5:50 本山小屋
 - 1:00
6:50 切合小屋
 - 1:10
8:00 三国岳
 - 0:30
8:30 疣岩山
 - 1:30
10:00 祓川山荘
 - 1:50(早く着きすぎるので休みながらのんびり)
11:50 弥平四郎

想像以上の強風と大雨が続いた。これはひょっとしてひとつ先の切合小屋まで標高をさげて泊まった方が良かったんじゃないだろうかと思ってみたり、いやいやそこまで標高さげてしまったら朝晴れた場合に山頂まで登り返す時間もなくて悔しいじゃないかと思い直してみたりしながら過ごした長い夜。日の出予定時刻は5:20過ぎ、私の計算だと5:00にテン場を引き上げて下山を開始してCTの0.85のスピードで歩いたとしても、バスまでに7分しか余裕がない。万が一朝晴れていたり、もうじき晴れそうだったりした場合、私は何時までここで粘って良いのだろうか?仮に予定していたルートではないルートで歩けば少しは時短になるかな?でもこっちの方が・・・zzzzzz

目が覚めてもまだなお外は暴風だった。少しだったけれど雨の音もしていたと思う。標高下げずに粘ってみたけれど矢張り無理だったか、また来いってことかもしれないな。山頂ピストンをしないのならばと半ば諦めて再び眠っていたのだが(←学習しない。本当はこのタイミングでとりあえず起きたほうがいい事があるはずなのに・・・w)、いよいよいい時間になってきたので朝食準備にとりかかった。外が僅かに明るくなってきた気がして、ぐっしょり濡れたテントのフライのジップを上げると強い風に煽られてフライが捲れた。
朝焼けだ!やばい、完全に出遅れた。山頂まではCTで片道20分、往復40分ある。食べて、片して、大急ぎで外に出た。強風でテントはまったく畳めなかったのでとにかくぐるぐるに丸めてパッキングして、荷物をその場に置いたまま山頂へ向かう。この時すでに5:00過ぎ、しかしこうなったら頑張ってハイペースで下山するしかないと思った。それでも山頂に行っておきたかった。ええい、なんとかなるだろう。

私よりずっと先にテントの撤収を始めた学生カップルのような二人がすぐ前を歩いていたが、追いついてしまった。二人きりで山頂に立ちたかったかもしれないよなぁと申し訳ない気持ちもあったが、まぁ仕方ない。それにしても、本山小屋で幕を張ると決めて下へおりずに留まって、しかもこんなギリギリの時間まで粘って山頂に登り返して、誰に言われた訳でもない、この自分自身の判断でこのタイミングでこの場所に立っていることが本当に嬉しかった。以前厳冬期の茂倉新道で思った、「すべての判断がピタッとはまった」という感覚に近かった気がする。
見た目は穏やかでも風は爆風w 雨は止んだが上下シェルを着用。でないと寒くて凍えそう
もう思い残すことはない。願わくばもっとずっとここで朝日を眺めていたかったけれどそうも言っていられないので5:50にはテン場を後にした。12:50までに弥平四郎のバス停に降りなくてはならない。下山を始めてからまだ標高のたかいところではそれなりに写真も撮ったが、後半は景色も良くないし時間も短縮しなければならないしということで全然撮らなかった。

CTよりずっと早く、あっという間に切合小屋に到着した。水はほとんど消費していなかったがもう水場になってしまったので、手持ちの水はここで一旦2Lほど捨てて、新しくここで冷たい水を1Lくらいいただく。
地面に置かれた?打たれた?道標がかわいい。
ドタバタ降りていく。これから高気圧っぽいのに勿体無いなぁ。しかしまぁ6日も遊んだのでやむなし。これから山に入っていく方々とすれ違うときに「これから降りちゃうの?勿体無いねー」などと言われながら進む。はい、私も勿体無いと思います!でも今日6日目なんです!(飯豊でどうやって6日間も?という顔をされて、そこから大抵説明を始めることになる)
大所帯でしかも荷物の重そうなグループが居るなぁと思ってすれ違ってきた人達は、どうやらNHKの百名山の番組の撮影クルーだったらしい。三国小屋の小屋番さんが教えてくれた。重い装備を背負う時のための背面パッドのようなものを着けていた。あんなアイテムがあるんだね・・・
ここまででも大分CTを巻いていたので少しだけここで人と話したりしながら休憩をとった。カモシカスポーツの山飯をぽりぽりと食べる。美味しい。

三国岳から疣岩山までの道からは飯豊から大日岳までの稜線が見えて美しかった。その後一気に急勾配を登り切ると疣岩山。近くに獅子沼という沼に行く分岐もあったが、時間がないかもしれないのでスルー。主稜を一望できるナイスビュースポットだった模様だが・・・この時には既に一帯が白いガスで覆われていたので、行ったとしても展望はなかったかもしれない。
さて旅も終盤、私はもともと計画していたルートとは別のルートを歩いてしまっていたらしい。結果オーライで、時間短縮になったからよかったのだけれども。どうりでめちゃくちゃ早く下山したわけだ。後になって謎が解けた。
私が歩いたのは紫のルート、元々計画していたのは青いルート。
しかし私は、元々ピンクのルートで計画していたと勘違いしていた。
疣岩山から弥平四郎までのCTの差は長いほうから順に、4:45(青), 3:40(ピンク), 3:20(紫)
出発時刻が大幅に遅れたにも関わらず余裕で下山できたのも頷ける
疣岩山から松平峠を経て祓川山荘に向かうこのルートでは何人かとすれ違ったけれど、こんなところから登ってくる人がこんなに居るのかというくらい地味なルートだった。疣岩山の分岐後ガレて乾燥した急坂を降りはじめて15分ほど経った頃、予定していた道(この時はピンクのルートが予定していた道と思い込んでいた)ではないと気付いて焦る。ピンクと紫のルートでは20分の差があるので、ただでさえ時間を縮めていかなければならないのに20分も増えてしまったのはまずい!と思った。実際は青のルートを選択していない時点で大分時間短縮できていたので全く焦る必要もなかったのだけれど。

松平峠から先は鬱蒼としていて展望もない。ただ、水は豊富で水には困らず、しかし当然ながらじめじめしていて足元も悪かった。そんな中、当人はバスに間に合わない可能性を想定し非常に焦っているため汗だくで飛ばしていた。
岩に苔が乗っていてすべる
大急ぎで降りてきて祓川山荘到着。ここまできてまだ10時なら安心。むしろ早過ぎるw なんでこんなに早いのだろう??(この時色々なことにまだ気付いていないため、どうしてこんなに早く着いてしまったのかまったく理解できていない。寧ろ地図のCTがゆるすぎるのではないかと疑っている。)
これまで見た小屋に比べると圧倒的に古くて朽ち気味。窓は一部割れていて少し雰囲気が怖い
中は割と普通でした。
頼母木小屋の小屋番さんと舞茸ハンターの話によると、飯豊の地図のCTを計算している人が結構今高齢らしく、最近の地図に書かれているCTは昔のCTに比べて1.2倍くらいになっているとか、なっていないとか。そんな話を聞いていたので、きっと0.85より早く降りられるはずだと思って、賭けでギリギリまで山頂にいたけれど、確かにかなり早めに降りることができた。しかも、その時は気付いていなかったが、元々最長ルートで計画していて、それより早く下山できるルートを歩いてきていたから余計に時間の余裕があったのだ。

しかし、ひょっとすると、頭の中で無意識に、どこかのタイミングでリルートしていたのかもしれない。遅くまで山頂にいるためには、ピンクの最短ルートを取るのがベストだ、と朝考えたのか、夜考えたのか、、、更に言えば最初の計画段階で、時間的にぎりぎりにも関わらず一番長いルートを歩くと決めたのか、それとも長めのルートで組んでおけば何かあった時に短いルートに変えれば事足りるようにしておこうと思ったのか、結局考えたのは全部自分なのだけれどあまり良く覚えていない。少し大袈裟かもしれないが、山によく行っていると、切羽詰まった時の判断がオートマティックに為されすぎて意識的にしたものだったかどうかの記憶が消え落ちることがある。不思議なものだ。
飯豊連峰に登り始めた日に既にバスは予約済み。
長いこと林道をあるく(元々の計画だとここは歩く予定になっていなかったんだなぁ、と後で気付いた)
ようやく道路に飛び出すと、そこはこれまでに見たことのないような静かな村だった。廃校になった小学校の前がバス停なのだが、バス待ちの1時間で見かけた住人はおばあちゃん1人。人の気配のこれほど無い村は初めてだと思った。バスの運転手さんとも話をしたのだが、案の定、この村には数えるくらいしか人が住んでいないという。高齢化も進み、いつ廃村になってもおかしくは無いらしい。それでもこの村まで、毎年除雪はされていて、連絡があればもちろん来てくれるのだそうだ。因みに、冬季ここから登る人も降りてくる人も当然居ないとのこと。そりゃそうか。
マイクロバスが早目に到着。事前予約必須なのだが、時刻通りに下山できない登山客も居るらしく
その時は暫く待たされたりもするらしい(待ってくれるのかw)
野沢駅まで徒歩20分ほど手前にあるロータスインという温泉施設で下ろしてもらい、さっぱりしてから徒歩で野沢駅へ(野沢駅行きの100円バスもあったが時間が合わず)、ここから会津若松行きの電車で移動。
残念ながら近くにビールを買える店はない!
すこし離れたところに道の駅はあったが電車に間に合わないので断念。
駅前の自販機でオランジーナを買ってしのぐ。
新潟側に出てから東京方面へ帰るという手もあったが、高速バスの時間や値段からいって会津若松経由の方が都合が良かったので、今回は会津若松から高速バスで帰ることにした。会津若松駅からほど近くのラーメン屋さんでラーメンを食べてからバスに乗って、ようやくタイムマネジメントから解放されて今回の旅がほぼ終了。

*****

そんなに歩けるのならもう膝なんて治っているだろう、と言われそうな長い旅だったが、実は途中で痛みは出ていたりしてロキソニンを飲んだり、膝周りをマッサージしたりなどしながらの6日間だった。癖になるほど痛みが続くのは逆に良くないから痛み止めを飲んだ方がいいと医者からも言われていたので特に抵抗もなく飲んでいた。自分なりに距離や強度をコントロールしていたので、下山後もそこまで強い痛みは出なかったし、痛みもすぐに引いたんだったと思う。

朝日と飯豊の間に温泉を挟んだのも良かった。まぁ全く疲労回復にはなっていないとは思うのだけれど、今回のルートは自分にとってソロ山旅の新たな拡がりを感じさせてくれるもので、自分の足だけでこんなにあちこち行けるんだ!という発見にもなった。もちろん、車ではなくて足で動く分、行動範囲は狭くなるし、駅や登山口から歩いて行ける場所という制約はついてしまうのは仕方ない。けれども、こんなの思いついて実行してるの私だけなんじゃないか?というワクワク感もあるし(もちろん乗り換えとかで失敗すると物凄く破綻するのだけれども)、まぁとにかく楽しかったな。冬はこういうのは出来ないけれど、来年の夏もこれまでのひたすら山の中を歩き続ける縦走ではなくて今回のような旅感のあるルートを考えてみてもいいかもしれない。山遊びは終わらない。

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