2019/12/14

20191208-14_しまなみトライアングル&石鎚山系縦走 後編(最終章)

前編
山編1
山編2
山編3
中編

Day7--12月14日(土)
8:00過ぎに音戸の瀬戸公園を出発、この日のゴールは尾道駅で、その日のうちに家まで帰る予定だ。別に翌日さしたる用事がある訳でもないし、帰りの電車のチケットを買ってある訳でもなかったのでそのまま関東に向かって漕いでみてもいいのかとも思ったが、しまなみトライアングルがトライアングルたる所以がよくわからなくなるので、尾道までで終えようと思っていた。1日も雨に降られず、歩けて漕げただけで満足で、美味しいものもたくさん食べられたし十分だなぁと・・・そう、思い残すことは何もない・・・1点を除いては・・・。

私は牡蠣が好きだ。とりわけ生牡蠣には目がない。今回の旅も2日目にBBQで1つ焼き、5日目には店で蒸したものを5つ食し、それでもまだ生牡蠣にはありつけていなかった。広島まで来て、好物がきっとそこらじゅうにあるにも関わらず、食べることができずに帰るのが唯一の心残りだった。前の日の夜に友人が教えてくれた剥き牡蠣の直売店のようなところが兎に角気になったので、この日の最初の目的地はその牡蠣屋さんに決めた。牡蠣のシーズンだけ営業していて、しかもシーズン中は無休だという。ビニール袋にみっちり詰まった剥き牡蠣を購入したところで、私がそれをどうやって、どこで、どのようにして食べるのかは全く考えていなかったが、そんなことはどうでもよかった。

安芸川尻駅のすこし手前あたりで昨日のルートに復帰し、ここからさざなみ海道に入った。海を見ながらこうして自転車を漕ぎまくるのも今日で最後か、としみじみしたのも束の間、これまでにないくらい牡蠣の直売所が海岸沿いに乱立していて心が掻き乱された。しみじみしている場合ではない!!
牡蠣の殻なのか、中身の入っている牡蠣なのかはわからないが、天に向かってのびるベルトコンベアに乗って
牡蠣があがってゆき落下する。エサ狙いのカモメ?が二羽・・・賢いなぁw
そして辿り着いた不動商店。住宅街の中に突如現れるのだけれど、店主体調不良とのことでまさかのおやすみ・・・。
(泣)
いよいよ切羽詰まってきて、どうせ同じ海からとってきた牡蠣でしょうどこも美味しいんでしょうと、手当たり次第に直売所に入っていって声をかけ始めた。犬に吠えまくられたりもした。しかしどこも答えは同じ、直売所はレストランじゃないから牡蠣を開けて食べさせることはできないとのことだった。こんなに沢山の牡蠣が目の前にあるのに食べられないのか、私はこのまますごすごと帰るしかないのか。直売所で買って家に送り、家に帰ってから食べるという手もあったけれど、そういうことじゃない。そういうことじゃないんだよ。ここで食べたいんだよ。
紅葉が残る山
ずっと沿岸を走るルートとはいえ、この牡蠣海道(勝手に命名)がどこで途切れるかもわからない。実際問題、次第に直売所の数が減ってきたような気もする。ネットで調べてみると、少しルートを外れた所にかき小屋があったりBBQのできる地元のなんちゃらがあったりするようだったが、いやいや旅の前半で既に焼き牡蠣やってるしそういう焼き焼きイベントはもう要らないんだよ、、、と独り言ちつつ進む。しかしこのままだともう牡蠣にありつけないかもしれない、いっそ途中のドライブインのようなところで牡蠣フライ定食でも食べてしまおうか。

前日に買ったレモンケーキとおにぎりで済ませた軽めの朝ご飯はもうすっかり消化してしまった。お腹すいたな。牡蠣フライ定食も、牡蠣バター定食も食べログで見る限り美味しそうじゃないか。でもそうじゃない。牡蠣フライも好きだし美味しいのはわかっているけれど、今すぐに食べないと倒れる程の空腹ではないからもう少し頑張って生牡蠣を探してみよう。もしかしたら、もしかするかもしれない。私が食べたいのは生だ。生牡蠣だ。

さらに漕ぐこと暫し。道の左側に僅かばかりの人だかりが見え、ただならぬ雰囲気を察して減速する。
!!!!!!!!!!!!!!
むむむ!これは!!!!
店の中や外には10人弱ほどのお客さんがいて、水がザーザー溢れる水槽には牡蠣が無造作にがちゃがちゃ入れられている。他の直売所では、作業場の奥の方で作業をしている従業員がいて、牡蠣そのものがこんな風に見える所に出されていなかった。明らかに他の店とは違う。とはいえここも地元の人に販売するだけの販売所かもしれない。

黙々と牡蠣のサイズの選別をしている女性に声をかけると中国の方だったようで言葉が通じず、店主らしきおかみさんに再度お尋ねする。ここで牡蠣を開いて頂いて私がここで食べることとかって、できま・・・

「できますよ、開けますよ!」

!!!

明らかにストレンジャーな私が地元の方々の列に並んで待つこと暫し。ああさっき牡蠣開けて欲しいって言ってた子ね。で、どれにする?ってな塩梅で聞かれ、興奮冷めやらぬ私はこれ2個これ3個と次々に頼んでいく。私がこの場でそんなに食べると思っていなかったようで、明らかにおかみさんは戸惑っていた。忙しい時に申し訳ないんですけど、でももう口も胃も牡蠣モードなんでお願いします!お願いします!と心で言いながら笑顔のわたし。結局100円3個、150円3個、200円1個、300円2個の合計9個で1550円分お買い上げ。なにやらかき小町というブランド牡蠣らしい。
最初に声をかけた中国のお姉さんが牡蠣をあけてくれる
おかみさん「あんたこれ開けてくれる?」
中国のお姉さん「え、全部?」
おかみさん「そう全部なのよw」

みたいなやりとりの後、さっきのあんたか・・どんだけ牡蠣好きなのよという目線をこちらに向けてニヤリとしてから手際よく牡蠣を開け始めるお姉さん。ひとつめが開くのをワクワクしながら背後で見守るわたし。ん、んん!?大き過ぎないか?これがたまたま大きいのかな?そしてふたつめ、またまたデカイ。食べ切れるのか・・・?w
もうどれが200円とか300円とかよくわからないけど大きい!
お店の人が牡蠣を取るのに使っているバケツがその辺に積み上がっていたので、そのバケツをひとつ借して頂き、逆さに置いてテーブル代わりにした。私はかなり手が大きくて、手を広げると親指から小指まで23cmあるのだが、その巨大な手と比べてもこのサイズ感。
そもそもこの場で食べることを前提とした店ではないからお醤油などは置いていないのだが、私は昨夜スーパーでお刺身と一緒にお醤油の小袋を2つもらっていたのでそれを使うことにした。ひとつはお刺身用、もうひとつはスーパーで一緒に買ったじゃこ天用のつもりが、まさか生牡蠣にかけることになろうとは、誰が想像しただろうか。
たぶん過去食べた生牡蠣の中でも最大サイズ!いただきます!!!
店の前にどっかと胡座をかき、ヘルメットを脱いで牡蠣を食う。ウマーーーー!買おうか迷っているらしき人がその大きな牡蠣の身を見ては「大きいですね!これ幾らのやつですか?」と聞いてくる。全種類買いましたけどもうどれがどれだかわからないですよねー!ワハハ!でもどれも滅茶苦茶美味しいですよーーー口に入りきらないっス!!もごもご。
嬉し泣き
1時間半車を運転してわざわざここへ買いに来ては、九州の親戚に年末送ってあげて喜ばれているというおじさんと暫く立ち話をした。ここの牡蠣は生でも食べられる、あたったことは一度もない。独自の洗い方をしているみたいだよ、とのことだった。ここの牡蠣を食べるようになってから、他のところの牡蠣を食べられなくなっちゃったんだよね、近所でも買える場所はあるんだけど、わざわざここまでいつも買いに来るんだよ、と。

今日は宴会だといって40個とか買っていくご夫妻、発砲スチロールの箱を持ってきてそこに詰めて持ち帰る方など色々なお客さんがいた。剥き牡蠣も売っていたなぁ。牡蠣は旨味のかたまりで味付けなど不要なくらい、9個の牡蠣を食べるのに小袋の醤油が半分以上残ってしまうほどった。牡蠣ひとつ口に入れるのに、口からはみ出したのはこれが初めてだった。

ここから尾道まで気を付けて頑張って漕いでねー!とおじさんに見送られて再び海沿いを走る。もう思い残すことはないよ。
途中でまたお腹がすいてきて、やる気のないたこ焼きを食べたりしつつちゃかちゃか漕いでいくと尾道間近のところで僅かに雨が降り出した。でもなんとかギリギリ降られなかったと言っていいくらい。駅から片道6kmほどの温泉を目指そうとしていたけれど、本気の夕立がやってきて急に気温が下がったので目当ての温泉は諦めた。まぁこれもご愛嬌、ここまでずっと天気が崩れなかったのだから良しとしよう。結局夕立が去るのを待って、最寄りの温泉施設へ立ち寄ってから帰ることに。
お疲れ様でした!パンクもなく、大きなトラブルもなく。
15年くらい付き合っているマイKLEINですがよく頑張ってくれました。
出発前夜にピカピカにしたチェーンもそれなりに汚れたw
お風呂から戻り10分ほどでチャリを畳んで尾道ラーメンで〆。行きたい尾道ラーメンの店はいくつかあったのだけれど、一番駅から近くてしかも評価も高かった「たに」へ。電車出発20分前に着丼というドタバタw
時間ないのわかっていてチャーハン定食を頼んでしまう悲しいサガ・・・
自転車を漕いだり、宿の近くのスーパーで物色したり、宿でテレビを見ながらお酒を飲んだり、山を歩いたり、山までの往復で初めての電車やバスを利用したり、色々な人と出くわしたり話したり。7日間たくさんのことがあったけれど、本当にどれも楽しくキラキラした素敵な旅だったなぁと思う。一瞬一瞬が楽しくて、こんなにいい旅はなかなか無いし一生の宝物になるなぁと噛み締めることもできた。私はたぶん、一回の旅の行程が長くて、旅をしながら旅の詳細を煮詰めたり臨機応変に旅をかえていく感じが好きなのだと思う。思えば昔からそうだった。旅先で会った人にすすめられた場所に立ち寄ったりするのも楽しいし、ネット経由で友達からすすめられた場所に行ってみたり、たまたま通りがかった店に立ち寄るのも楽しい。基本的に自分がしたいことしかしないし、行きたいことしかしないし、人といる訳でもないので気を遣う必要もないし自分が食べたいものしか食べないから、どんどん旅に対して貪欲になって自分の感覚が鋭くなっていくのがわかるのもいい。大袈裟だけれど、生牡蠣の店なんてまさにそうだ、何の前情報もなく食べログも見ずにここでいきなり牡蠣を開けて道路で食べるという判断ができたのは紛れもなく自分だ。誰に聞いたわけでもない。そういう瞬間は嬉しいものだ。まぁこんなことばかりしているとどんどん一人化が進んでいくので、いいのか悪いのかは分からないけれども、またこんな旅がしたいな。旅はいいものだな。

最後に会計面の備忘録。
7日も国内で遊んで交通費込で7.5万円程におさまったのが地味に凄いと思っているw このうち新幹線通常料金で自宅尾道間往復3.4万くらいかかっているので、宿代食費酒代バス代などの往復交通費以外の費用がを4万くらいにおさめたことになる。予め飛行機のチケットなんかを取っておけば四国方面へは片道6000円くらいでも行けるみたいだが、自転車漕いだり山に行ったりしようとすると天気が良くないといけないので直前まで予定が立てられず、しかも自転車だと高速バスもほぼ使えないので交通費はかなりかかった方だとは思うが、特に何かを我慢したわけでもないのにこの値段でこれだけ遊べたのは我ながら上出来だと思った。

おわり

2019/12/13

20191208-14_しまなみトライアングル&石鎚山系縦走 中編

最初から読む
山編1
山編2
山編3

色々調べたり行ったお店やら何やら保存したものはひとつのマップにまとめてあった方が見やすいよね、ということでチャリ編は以下のGoogle Mapにまとめてみましたので、行く方がいらしたら参考にしてみてください。(青→緑→赤→黄色で4日間です。赤は新広のあたりでログが途切れてしまっていますが185号をそのまま呉まで進みました。)ちゃかちゃか走る人なら1-2日とかで走ってしまうと思いますが、私は久々のロングかつ遠方ということもあり、かなりのんびり走りました。

Day6--12月13日(金)
旅も後半戦!いざ!

前日夜更かししてしまったので朝9:30今治発の船は諦め、12:00のフェリーに乗ることにした。まずは荷物をコンビニから家宛に送る。宿の最寄りのコンビニがローソンだったのだが、最安のゆうパックを利用できるのが有難い。レーパンでザック背負って国道を歩くのはなかなか痺れた(恥ずかしい)・・・。ひととおり整えて、本日の目的地である音戸の瀬戸公園を目指す。
お世話になりました!!
「カブトガニ繁殖地」西条市。そうなのねw
今日走るとびしま海道は今治から広島までのルートなので、伊予西条から今治はおまけコース。30kmほど走って今治港に到着、乗船券を買ってからご飯。
尾道駅で入手したサイクルーズパスで割引がきく。
このあたり出身だという知り合いに教えてもらった地元のマルト食堂という定食屋さんでオムライスをいただく。港からすぐのところにあってよかった。
朝早くからやっている定食やさんで休憩時間もなく通し営業なので行きやすい
今治らしさは全くないけれど完璧なオムライスなのでまた食べたい
道中二度目の船はフェリー。
何やら、フェリーに乗った船が物販をしていたのが興味深かった。1時間半くらいの船旅なので、まぁパンなどを売っているのは有難い気がしたが、何故だかしめじとかまで売っていて、船の中で売る意味もよくわからなければ、買う理由もよくわからなかった。どうしてなんだろう・・・。
すぐ隣りの床の上では叔父様方が巻き寿司を並べてストロングを飲みながら宴会をはじめる。こちらは船を降りてからも自転車を漕がなくてはならないので珈琲。うーん、宴会に混ざりたいけど混ざれない。叔父様方はひとしきり飲んで30分程で眠り始めた。途中の島で乗って来る人達は皆知り合いのようで、そこらを走る地元のバスのような感覚で利用されている船なのだなぁと思い知らされる。島の生活といったところか。
船を降りて、いよいよとびしま海道を走る!まずは岡村島から。
いきなり景色が良くて、すぐに降りて写真を撮る・・・(進まない)
広島に戻る!
とびしま海道、あまりにも休憩スポットがないのでここで休憩。
しかしトイレも自販機もない!
しまなみ海道と比べてとびしま海道は休憩所とかそういうところが少ないという情報はあったけれども、それにしても本当に休憩するところがない。トイレも行きたいしお腹もすいてきたがなにもない!道の駅もない。上蒲刈島と下蒲刈島の間に架けられた蒲刈大橋の手前にようやく蒲刈であいの館という道の駅が現れたので入ることにしたが、自転車をロックしてトイレに行って、さて何か食べるかといったところで急にみかんを一袋渡された・・・

ありがとうございます、でも私自転車なのでこんなにたくさんあっても食べられないし荷物入らないです・・・少しなら食べたいんですが・・・この辺にいらっしゃる方に分ければ・・・とやんわりと提案するも伝わらず、結局「私が貰って、この辺にいらっしゃる方にお配りする」ことになってしまった。すごく小粒でそんなに美味しくないかもしれないけど、これだけ残っちゃったから貰って、とのことw

手元に4個残し、あとは近くのご婦人二人組に貰って頂いた。この辺りの人は皆みかんを食べ飽きていて、今更大量に渡してももしかしたら迷惑がられるのかなと思ったが結構普通に喜んで頂いたのでよかった。そして自分も食べ始めたのだが、これがまた美味しい!!3個まとめて一気に食べてしまって、もう少し手元に残しておけば良かったなぁと後悔したくらいだった。方岡さん、ありがとう・・・
いしじ、というみかんの種類らしい
道の駅は大抵どこも15:00にはラストオーダーが終わっているので、ここではご飯にありつけず、パンとかおにぎりの類の販売もなく、仕方なくちくわと牛乳でしのぐことに。この旅で一体何本目のちくわなのか。。。

その後呉駅の東側の駅あたりまで漕いできて、ようやく市街地らしくなってきた。その付近で定食屋に入って夕飯を食べてからこの日の宿泊地へ向かおうと思っていたので何軒かあたってみたのだが、どこも休業中やら廃業やらで営業していなかった。カプセルのように区分けされた国道脇の自転車&歩行者用道をしばらく走った向こう側は呉の中心地で、ここでも何軒かが貸切だったりして入れなくて、最終的にここへ流れ着いた。長かったぜ・・・。老夫婦が営んでいる昔ながらの定食屋さん。
この辺り、海軍カレーなるものが有名らしく、この店でも海軍カレーを出していたのだが、店主が「いせや特製カツ丼」を強く推してくるので、言われるがままにそれを頼む。
B級w 薄い牛カツにデミソースがかかっている。大盛は無料ぽかった。1200円くらい
多分クセになる味なのだろう、来る人来る人全員がこのカツ丼をオーダーしているのがとてもシュールだった。一緒に浅漬けのぬか漬けが出て来たのだが、何故かお代わりをくれた。野菜美味しいね。

予定よりもだいぶ余計に漕いだので、もう外は真っ暗、しかもこの後ちょいちょい道を間違えて激坂に迷い込んだりなどしていてなかなかゴールに辿り着かない。晩酌セットを調達すべく、ルート上のスーパーに立ち寄ろうとしていたのだが、ここがまたパラダイスでつらい。
きちんとしたナイフでも持ってきていれば!!柵で買ったのに!!はまち!アジ!!
鯵のサイズがね、、、関東で焼き魚として拝見しているサイズをおろしたとは思えないくらいの大きさでね、、、。鯵好きとしてはもうこのまま齧りつきたいくらいだったが、それでは酒の肴としてどうなのかと考え直し、、、お刺身に。(まだ食うのか)
縁石酒w お刺身は全部で400円くらいだったと思う・・・すごい・・・
昨日お店で食べたお刺身には劣るけれど、スーパーのお刺身とは思えないクオリティ!
音戸の瀬戸公園の駐車場は車中泊が多数いるので泊まり易いとの前情報があったので来てみたのだが、確かに車中泊らしき車が多数いて、しかも夜中にも多少の出入りがあったようだった。しかし駐車場の奥側(写真手前側)の木々がガサガサいっていて、何かと思ってネットで調べてみたら、どうやらこの辺りには野犬がうろついているようだった。姿は見なかったけれど、食べ物のにおいがするとテントに寄ってくるかもしれないなぁと思ったので、とりあえずゴミとかにおいのしそうなものは全てドライバックにいれてテント中央付近に置くようにした(キツネ対策と同様)。結果的には特に問題もなく、ガサガサいっていた犬も途中でどこかへ行ってしまったようでおとなしくなったが、また次に使いたい場所かと言われたら、、、ちょっと考えてしまうかもしれないw

明日のご飯と温泉のことを調べながらちびちびやって就寝。
因みに、ここに至るまでの坂道が激坂で漕げなかったので少し歩いた。。。
最終章へつづく

2019/12/12

20191208-14_しまなみトライアングル&石鎚山系縦走 山編3

最初から読む
山編1
山編2

Day5--12月12日(木)
満月がまだ空に残る刻に起床。稜線に向かって登っている間はガスガスだったが、月も出ていたし良い天気になるといいな思っていた。稜線までは北面で雪があり、少し凍り気味だったためスパイクをつけることにした。稜線手前くらいまであがるとすぐに雪はなくなり、もわもわと広がる雲の中から朝日が顔を出した。太陽よ、頑張ってこの雲を消してくれたまえええ!
6:30 丸山荘発
↓ - 1:30
8:00 ちち山分れ
↓ - 0:55
8:55 獅子舞の鼻
↓ - 0:35
9:30 七番越
↓ - 1:10
10:40 綱繰山
↓ - 2:35
13:15 下山
↓ - 0:35
13:50 マイントピア別子

祈りは届かず・・・
ガス 
そしてガス
昨日のルートに増して更に笹の深いルートが続く。ちち山山頂はおそらく景色が良いのだろうけれど、このガスでは登頂する意味も感じないので淡々と巻道を歩くことにした。朝露のついた笹薮がうるさく、靴というよりズボンが濡れてきたので途中でレインスパッツをつけて進む。ちち山分れで稜線を後にするので、10分くらい雲が切れるのを待ってみたがまったくその兆しがないので諦めて先へ進む。
四等三角点。四等と思えないほど立派、というか四等ってわざわざ書いてある三角点を今まで見た記憶がない
たまに苔むしている
銅山越え、なんて地名があるくらいだから銅山なんだろうなとか呑気に思っていたら、ここ別子銅山か(今更w)。地理に疎いので、別子銅山が四国にあるっていう認識すらありませんでした・・・。地面に転がっている石がやたらと緑色をしていて角ばっていたり、沢筋に堆積している石も緑色だったりして、自分にとっては珍しい光景が広がる。調べてみるとこれは透緑閃石(アクチノライト)というやつか?違うかな?
平面的なものが重なってできているような不思議な緑の石がごろごろ
銅山越え到着。
「別子銅山は、1690年に発見されて1972年に閉山するまでの280年間に鉱石を30メガトン(銅量にして700キロトン)生産した。この銅の生産量は、栃木県の足尾銅山に次いで日本で2番目に多い。」(東京大学総合研究資料館「動く大地とその生物」岩石の項より抜粋)

すごくないですか???(語彙・・・
過酷な銅山越えで亡くなった方々の無縁仏を祠ったものだとか。閉山がそんなに昔じゃないというところが感慨深い。そこらの山のそこらのトロッコなんかも、自分が生まれてからしばらくは走っていたのかと驚くことがあるけれど、今のこの世界というのも極く最近になって一気に出来上がってきたものだよなぁと思うと、この先数十年の間に何がどう変わっていくのか恐ろしくもあり楽しみでもある。
マイントピアから銅山越えまではハイキングで来る人も多いようで、トレイルがかなり明瞭。
しかし、第三通洞の分岐(この写真ではない)あたりは道が色々ありすぎてわかりづらい。
遠登志(おとし)方面へ進む。山と高原地図に載っていない踏み跡が多数。
ダンジョン感!
東洋のマチュピチュという別名がついている別子銅山。この山行のゴール地点であるマイントピア別子からは観光用のトロッコみたいなものが出ているらしく、それに乗るとこの写真よりも更にマチュピチュ感の色濃い建物が見られるようだ。今回は割愛。
道路に出たところから振り返って
そして道路をしばらく歩いてバス停まで。とりあえず山といえばダム
ダムといえば発電所
マイントピアで売っていたビールを、安売りの太巻きと一緒に流し込みながらバスで数十分。バスでそのまま伊予西条まで行くこともできたが、電車と乗り継いだ方が早くて交通費も安いことがわかったので途中で乗り換えることにした。私はほろ酔い、けれども日はまだ高い。小学生の下校時間と重なった。二日前、宿から伊予西条駅に向かって歩いていた私とすれ違った小学生達のことが頭をよぎり、きっと同じ学校の子供らだろうなと思う。初めて来た土地で、その土地に住む子供らを横目に、私は二日前と違うルートを無駄にぐるぐる歩いて宿まで帰る。宿に戻って、おかえりなさいと言われてもなんの違和感もなかった。きっとどの土地に住んでも、私はこういう感じで生きていくんだろうなぁとぼんやり思った。

部屋に戻り、山道具のアンパッキングと翌日からのチャリ用パッキングを進めながらテレビをつけてお風呂が沸くのを待つ。同じ宿に泊まっているのは2日前と同じ土木関連職の方のようで、平日17:00になんて帰って来る筈もなく、毎回私が一番風呂だ。(どうやら土木系の会社が一週間とか二週間とかの単位で部屋を押さえているらしかった。)宿泊客は更にもう一人増えていたようだが、いずれにしても17:00に入る人はいないのでゆっくりと入らせていただく。

山の帰りだったか帰宅してからだったか忘れたが、延々調べて見つけたお店を目指し歩くこと10分ほどで海沿いのお店へ。お客さんが少なくて一抹の不安がよぎる。
しかし!!!!
980円くらいだったか
もっとうまい頼み方もあったと思うがとりあえずで頼んだ刺し盛り3点盛り。うまーーい!おそらく、刺身定食プラス数点の単品って頼み方が賢いと思う。または、何かしらの定食を頼んだ人だけが頼めるミニ刺し盛りみたいなものを頼むのが良さそう。ビールと刺身で体が冷えたので熱燗。生牡蠣が大好きなのだが、生はなかったので蒸し牡蠣をオーダー。これまたうまい。蒸しているのにでかい。そして旨味がぎゅっと閉じ込められている。美味しすぎて一人でニヤニヤしまくっていてやばい。
700円くらいだったか。ひとつにひとつずつレモンが入っているのも嬉しい。
レモンなんて、ここではそこいらじゅうになってるから惜しくもないのだろう・・・
〆の海鮮丼を待つのに頼んだ、つなぎの塩辛が大量すぎて面食らう。
食べきれない分は持ち帰らせてもらった。なんの躊躇いもなく普通にパックとビニール袋を出してくれたので
結構持ち帰るお客さんも多いのかもしれない・・・
はい〆の海鮮丼きた!
刺し盛りで出てきたネタと完全に被ってしまったけれども、それでも美味しい!隠れてしまっているけれどレモンの下は鰹とホタテ貝柱、シソの下は穴子だ!お味噌汁はアオサだ!文句のつけどころがない!!

何故かお酒を飲んでいる人はほぼ居なくて、私以外は96%が定食を食べて帰ってしまっていた。店員さんに聞いてみると、お昼はよく行列ができるらしく、夜もこの時期だけ何故かお客さんが少ないが普段は賑わっているとのことだった。ゆっくり召し上がって頂けてよかった!と素敵なお言葉を頂いて塩辛ぶら下げて帰宅し、二日前の濁り酒とテレビで結局2時まで眠らずのんびりしていた。

中編へつづく

2019/12/11

20191208-14_しまなみトライアングル&石鎚山系縦走 山編2


Day4--12月11日(水)
朝。小屋を出発して10分ほど歩くと、昨日小屋を探しながらうろついていた工事現場の脇に出た。なんと、関係者以外立入禁止と書かれた分岐に出た。工事が終われば立入禁止の札も取り除かれるのだろうし、そもそも私も明るい時間帯に到着していないので偉そうなことは言えないけれども、、、うーん、これは迷う気がするし危ない感じw
出発前に写真を撮るも、暗くてよく見えない・・・すみません
逆側は二段ベッドというか二階建てになっているので収容人数は多め
土間には小さなだるまストーブ
6:00 シラサ峠
↓ - 1:25 
7:25  瓶ヶ森登山口
↓ -  0:35
8:00 瓶ヶ森(女山)
↓ - 1:25
9:25 神鳴池
↓ -  0:50
10:15 自念子ノ頭
↓ - 0:15
10:30 主谷分岐
↓ - 0:30
11:00 東黒森
↓ - 0:40
11:40 伊予富士
↓ - 1:05
12:45 桑瀬峠
↓ - 1:00
13:45 寒風山
↓ - 1:30
15:15 笹ヶ峰
↓ - 0:30
15:45 丸山荘
舗装路より少し高い位置につけられた縦走路をゆく。石鎚山系の縦走は数年前から行きたいなと思っていて、地図はその時に買ってあったのだが、地図を見ると舗装路が登山道の近くをずっと走っているのがわかり、少し熱が冷めてしまったのだった。しまなみ海道とセットにできると気付かなければ、私はなかなかここに来ることはなかったかもしれない。
峠から50分ほどで、なにやら巨大なスラブを有する岩と遭遇する。地図にも何も書かれていないのだが、何か書いておいてもいいんじゃないのかと思うくらいのインパクトのある岩だ。写真ではなかなか伝わらないけれども・・・
子持権現山をトラバースした後のところに祠
子持権現山は地面から急に生えてきたような山で斜度がすごい。東側にトラバース道がついており、山頂への道は地図でもルートとして記載がされていなかったので私も例に漏れずトラバース道を利用した。後で調べてみると、子持権現山頂へのルートは矢張りちょっとしたバリエーションルートのようで鎖場が5回も連続するとかなんとか・・・。ここで時間を費やさなくて良かった。。。

再び舗装路に出て、次は瓶ヶ森。時期が時期だけに誰もいなかったが、自転車の人も来る場所であるらしく、バイクスタンドやベンチなどが置いてあった。確かにこのあたりまでヒルクライムしてくるのも面白そうだ(下りが滅茶苦茶寒そうなので秋か春くらいがいいな・・)。
瓶ヶ森は男山経由で女山まで。男山への分岐で山に登らずトラバースしていくとキャンプ場が二箇所ほどある模様。
少し急な坂をあがると男山
まあるい山頂は女山
15分足らずで女山山頂到着。2000mに満たなくてもずっとこの辺りは森林限界は超えているようで360度の大展望!
海の方。しまなみ海道の方まで見える
長々と写真を撮ったりなどしていたが、なんだかんだ風が強くて寒いので適当に切り上げて先を急ぐ。ここから先も伊予富士のあたりまではずっと下に道路が見え隠れしているのだが、道路に車の影はなく、勿論登山道にもまったく人がいない。この時期のこのあたりはここまで不人気なのか。まぁ確かに雪があったりなかったりで地面のコンディションも良くはないけれども・・・
たまに道路
道路を歩いてもトレイルを歩いても結局同じところに着くといった感じが、奥武蔵グリーンライン界隈を彷彿とさせる・・・きっとこの辺りもランナーの峠走練習エリアなのだろうなぁ。
笹が多い、一番向こうが伊予富士
伊予富士の手前の分岐で舗装路に下りると水場があるようだったが、この時点では特に
水を追加する必要もなかったのでスルー
初日に土小屋までしか行けなかった場合は寒風山付近でビバークになるかなぁなどと思っていたのだが、初日にシラサ小屋まで頑張れたのでこの日の宿は丸山荘まで行けそう。寒風山の先あたりは、地形図を見ると割と平らなところが多くて、テントを張れるかなと想像していたのだが、実際歩いてみると笹がすごいわ道は狭いわで全然テントなんて張れる感じじゃなかった。まぁ眠ろうと思えば眠れるけれども・・・
読んで字のごとく、風が抜けて滅茶苦茶寒い寒風山・・・
丸山荘と笹ヶ峰山頂の分岐点に荷物をデポしてとりあえず山頂を踏むも、ガスのため展望なし・・・そしてここも風が強い!
水場を有した丸山荘へはCT0:35の下り。友人からここはいい山荘だと聞いて下りることに決めたのだが、この日ここへ降りて水を汲むのを前提にした水の量しか汲んできていなかったので、山荘が営業しているかどうかよりも、水が出ているかどうかの方が自分にとっては死活問題だった。さて・・・
写真中央あたりに見える赤い屋根が丸山荘
草ボーボーの平場(テント場なのかどうかは定かではない)を過ぎると小屋が現れた。なんとも言えない味わいのある古びた小屋で風情がある。しかし引き戸には南京錠がかかっていて営業していないようだった。代わりに、写真奥側の長屋のようなところが避難小屋として解放されていたので、こちらを使わせて頂くことに。結局山では二泊とも避難小屋で、テントは一度も使わずに担いだだけで終わってしまったw
張り替え作業中の網戸が置かれている。作業小屋の一角を使わせていただける感じ。
断熱材フォームなどが板の間に敷いてあり、結構暖かい。
水場はどうだ。
小屋の手前には蛇口が複数ついたシンクがあった。沢だろうが湧き水だろうが、水さえあれば十分なのにまさかの立派な蛇口!ほっと胸を撫で下ろし、手持ちのプラティパスに水を入れようと早速蛇口をひねる。トクトクトク、なんともいえない水流に疑問を感じながら20秒くらいすると1Lちょっとで水が止まった。複数の蛇口の全てを順番にひねり、出せるだけの水を出しても1.5Lにもならない。凍っていた感じもない。一旦蛇口に見切りをつけ、もみじ谷と書いてある方へ行ってみたが特に水場も現れない(翌朝登るルートがもみじ谷ルートという名前であるだけのようだった)。この先に水場があるかどうか調べたかったけれど、そもそもここは携帯の電波が入らない。

小屋に戻って蛇口のつくりを観察すると、どうやら水色の大きなタンクから水が引かれているように見える(写真左奥がタンク)。山の中から管が出て一台目のタンクに繋がり、そこから二台目のタンクを経由して蛇口側に通じている。タンクが浄水器になっているのかもしれない。山の方から水がじわじわ下りてきているのだとしたら、時間が経てばきっとまた水が増えてきて蛇口から出るだろうと踏む。寝る前に蛇口をひねると僅かに水が出てきたが、この調子だと朝になって調達できる水の量は高が知れている。このままだと翌日の行動中の水は200mlくらいしかなく、足りなければ途中で少しルートをそれて水を汲みに下りる必要が出てくる。

水がギリギリなので、焼酎のお湯割も自ずと濃い目に作らざるを得ないが致し方ない。

山編3へつづく