2025/08/25

20250822-24_秋田-岩木山-五能線(どこかにビューーン!)(後編)

前編はこちら

蚊のせいで無駄に早起き。あちこち痒くてもう二度寝できない。まだバラしていない自転車を漕いで少し離れたところにあるコンビニにでも行こうか、とも思ったが、悩んでいるうちに段々時間がなくなってしまって結局朝食もお酒も何もないまま五能線の旅が始まることに。

割と最近建て替えられたそう
はらぺこで電車の到着を待つ。因みに岩木山はこのザックで歩いた。
本日はサドルバッグなどを全部ザックに入れてひとまとめに。

五能線はリゾートしらかみという特別車両が有名なのだが、別に私はリッチな車両を楽しみたい訳ではないので通常の列車が走るダイヤを探して朝7時過ぎの東能代行きに乗車。詳しく調べてはいなかったのだけれどなんとなくレトロな車両がくるような気がしていたのに結構新しい車両が到着して拍子抜け。どうやら2021年3月のダイヤ改正で新型のGV-E400系にかわってしまったらしい。それまで走っていたキハ40・48のの老朽化に伴う交換だそう。以前の車両に乗りたかったなぁ。

現行の車両はこちら
数駅進んで五所川原駅到着。結構大きな駅だなーと思っていたらここでまさかの30分待ちwかといって別に改札の外に出られる訳でもなく、とりあえず駅構内を偵察。
上から撮影
この駅から津軽鉄道というのが出ている。五所川原~津軽中里の路線だが、津軽中里では何の電車にも接続しないw 津軽半島の十三湖に近いところまでいけるようだが・・・いつか乗ってみたい気もするが、乗ったところでどこに行くというのかw
改札のレトロ感がすごい
津軽鉄道の旧車両。滅茶苦茶良い・・・
手持ちの食べ物も一切ないまま3時間以上乗り鉄。駅の自販機で買ったカフェオレのカロリーでしのぐ。でも正直、コンビニでお酒を調達して呑み鉄していたら途中で盛大に寝落ちしてしまっていたかもしれないので、コンビニに行かなくて良かったかもしれない。実は素面でも30分くらい寝落ちしてしまったので。。。(明け方蚊に起こされ手寝不足になってしまったのが敗因だろう)

五能線は川部から暫く内陸を走り、途中から海が見えるようになる。その瞬間がまたとてもよかった。
相変わらず川は濁っていた
海も手前側は濁っていた(この写真はまだ良い方)。
10時半過ぎ、ようやく東能代に到着。ここで1時間待ち、乗り継いで秋田駅まで。鹿角在住の山関係の友人が東能代で合流してくれ、東能代-秋田間は一緒に乗り鉄、呑み鉄。とりあえず腹ペコの私は東能代の待合室でおにぎりを1つ食べてしのぎ、その後乗り換えてからは友人が用意してくれていた秋田名物で呑み。
まさか車内でじゅんさいを食べることになるとはw
左に熊肉、右にギバサ(アカモク)。ワンカップは萌音。
小一時間の電車の旅でやる呑みではない・・・
あっという間に秋田駅に着き、新幹線までの数時間で県立美術館に足を運ぶことにした。ここに展示されている藤田嗣治の「秋田の行事」という大作があるから見てこいと都内の友達に言われたので行ってみたが、美術館そのものも安藤忠雄の作で格好良く、絵画も幅20mという規模で圧倒された。企画展で現代アートの展示が多数あったが、こちらは正直よくわからなかった。とりあえずキース・へリングと奈良美智の絵を初めて実際に見られたのはちょっと良かったような気もする。
駅の近くに地下駐輪場があったのだが、畳んだままの自転車を預かって貰えたのは助かった!ついでにザックも預かってくれた。有難い。
こうして旅は終わった。
新幹線はすごい。3時間半かからずに大宮東京のあたりまで着いてしまう。とか言って、帰りの新幹線は熊に衝突したとかで盛大に遅延しており、帰るのに結局6時間以上かかった。しかも大宮で降りるはずが寝過ごして東京まで行ってしまい、おそらく乗り過ごした大宮から東京までの区間で無駄に1時間半以上かかっていた(というか多分暫く電車が止まっていた)。私は一杯呑んでからずっと車内で爆睡していたので途中の出来事は全くわからなかったが、結果的に各駅停車やら高速バスやらで行くのと同じくらいの時間がかかってしまったようだ。まぁとりあえず帰れたし、涼しい空間で快適に眠れたので疲労もとれた(気がする)。

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今回3週間も前に予約をしたのに、3日間ほぼ雨に降られなかったのは奇跡に近いように思う。直前に雨予報に変わっていたら、短期間で代案が組めたか謎だし、行程の途中で大雨に降られたら靴やザックが濡れて色々と重くなり身動きも取りづらくなっていただろう。山ではなく下界で1人で宿泊するとなると宿も割高なことが多いし、ちょっとの移動も自転車がないとなると全部タクシーになったりして色々大変だったように思う。行先が決定した後、レンタカーの案内メールなどが届いていたが、それが一番実行しやすい移動手段だろう。自分は運転免許は持っているものの、最後に運転してから10年以上経っているのでちょっとすぐにレンタカーしようという気にはなれないのだけれども・・・。

次回どこかにビューーンをする時どのような計画をするかは分からないが、自転車との相性は結構いいような気はした。天気に左右されまくるのが玉に瑕ではあるが、また次のどこビュンに向けてポイントは積極的に貯めていこうと思っていて、既にもう2000ポイントくらいまで来ている。支払い系統をすべてView Suicaにまとめてしまってもいいんじゃなかろうかとさえ思っているくらいだ。周りの知り合いでこれを使っている人が誰もいなかったので誰からかアドバイスをもらうことも無かったのだが、試しに使ってみて本当に良かった。

どこビュン最高。使ってみてね。

2025/08/24

20250822-24_秋田-岩木山-五能線(どこかにビューーン!)(前編)

JREポイントを貯めると申し込める、JR東日本の「どこかにビューーン!」というサービスをご存知だろうか。検索してもらえれば詳しい記事がたくさんあるのでまずは他のサイトを参考にしていただくのが良いと思うが、簡単に言うとダーツの旅みたいな感じで行先が確定するシステムで、1往復5000~6000円で購入ができる。往復新幹線のチケットが破格で購入できてしまう代わりに、支払いを済ませないと行先が確定しない。金額に幅があるのは、起点を東京近辺かそれ以外のエリアにするかの差であり、東京・上野・大宮起点の場合は6000ポイントが必要になる。
3週間前から予約が始まり旅の6日前までなら申し込めるので、アウトドアアクティビティを絡めるのであれば天気予報がある程度見えてきてから直前に申し込む方が良いだろう。しかし直前だと通常の予約が埋まってしまって行先のチョイスが狭まる気がしたので、今回は3週間前に申し込みをし、日程は往路木曜夜、復路日曜夜とした。出発日を金曜夜や土曜朝にしなかったのは、その日時の枠の競争率の高さを見越してのことだ。システムにより4駅がランダムにチョイスされるのだが、条件を少しずつ変えて2-3回行先の組み合わせを試して、行き先候補駅 【長野駅】【米沢駅】【秋田駅】【二戸駅】になった時点で申し込みをした。長野になった場合はちょっと近すぎるしよく行くエリアだし微妙だなぁと思ってはいたけれど、4か所のうち3か所はほぼ自分にとっては当たり駅な気がしたのでこれで申し込みを確定。

3日程で駅が決まり連絡がくるとのことだったので暫くドキドキしながら待つのもそれはそれで楽しい。結局丸1日で行先確定のメールが届いた(これはケースバイケースで、数時間で返信がくることもあれば、本当に3日くらいかかって返信がくることもあるのだそう)。メールに行先は書かれておらず、JREのマイページだったか何かに飛ぶとそこに行先が書かれている。私の行先は秋田だった。一番遠かった二戸より近いとはいえ一般的にも当たり駅といえるターミナル駅だし、温泉も多い上に県内には知り合いもいるので雨でも晴れでも楽しめそうだ。毎週末の山行をこなしながらこのエリアの計画を立てるのはそれなりに時間がかかったので、前もって申し込んでおいて結果的には良かったと思う。

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<今回の計画の特徴>
大宮-秋田間往復新幹線ではあるものの、秋田より手前の駅である田沢湖下車→盛岡乗車のようなアレンジは可能だったため八幡平エリア縦走なども考えたが、既にこのエリアは歩いたことがある上に紅葉の時期という訳でもなかったので、行ったことのない場所へ行くことに決めた。
1.
高速バスでは中々自転車を積み込めない為、新幹線移動であるというメリットを最大限に活かすべく、今回は自転車をメインとする。
2.

全日程の荷物を持って自転車を漕ぐ必要があるため、荷物を軽量化した。ガス缶やバーナーは無し、食料も現地調達。但し下界での宿泊用にシュラフカバーを持参(暑そうだったので寝袋はなし)、登山を絡めるため自転車用・登山用・移動用の服をそれぞれ持参。
3.
かねてより乗りたかった五能線に乗る。
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2025/8/21 (Thu)
18:45 大宮発こまち37号
22:07 秋田着
初めてのこまち!(大興奮)くすんだ赤が滅茶苦茶格好いい
大人の嗜み
ザ・秋田
出発前日、秋田は災害級の雨に見舞われており、当日も午前中いっぱい新幹線は運転を見合わせていた。運転再開したこまちには乗車したものの、現地の状況はわからない。滞在中の天気はなんとか持ちそうではあるが、通ろうとしている道の荒れ具合はどうなのか。現地の友人からちょこちょこ情報が共有されるのを見ながら、ルート変更や途中から電車に乗ることも考えないとなぁなどと思いながら、しかし大して深刻に考えもせず呑気に過ごす。尚、この日最大の難関は秋田駅のステビだった。ターミナル駅のステビは結構どこでも問題ないものなのだが(静岡、松本、甲府あたりでのステビ経験済み)、今回は登山を始めてから初めてステビを警備員から指摘されて寝床を片付ける羽目になった。
とはいえ4時間弱くらいは眠れたので良しとしよう・・・
暑くてシーツしか使わなかった

2025/8/22 (Fri) ロードバイク156km(累積標高1100m程)
午前3時過ぎに起こされ、ベンチに座って目を閉じてみるも、流石の私でももうそこから眠ることもできずに5時前に自転車を組んで出発。事前に調べてあった最寄りのすき家で朝食をとり、大盛ご飯で1日を始める。この日の移動距離はおよそ160km弱。海岸沿いを走っても良かったのだが、最終日に五能線から海を見ることが決まっていたこともあり、自転車のルートは内陸を選んだ。
おはようございます
最近のマイブーム、すき家の朝食大盛。
ここでがっつり食べると午前中の行動食があまり要らない。
つまり食べることに時間を割かずに済むので進みが速いw
道中、雨のせいで荒れたと思われるような場所は無かったものの、いつもなら綺麗に透き通っているであろう川の水が濁りに濁っていたのが印象的だった。残念だったけれど、いやこれ晴れている日に来られただけでも御の字だよなぁと思いながらペダルを踏む。骨伝導イヤホンで流していた無料のSpotify、途中でサブスクのトライアルを申し込もうとしたが、アプリから申し込みができないという糞仕様で諦め。こんな状況でウェブから申し込めと言われて申し込む訳がない・・・
上小阿仁でコンビニ休憩
濁った川
信号はあまりないので結構なペースで進める。あまりに山間部だと熊が出そうで怖いなぁと思っていたけれど、そこまで山間部を走る感じでもなかったので良かった。とはいえ、翌日秋田県の熊速報LINEでは、私が通過した道の熊目撃情報が出ていたので、決して油断はできないエリアであることは確かだ。景色はひたすら米・米・米の田んぼだらけ。こうべを垂れた稲穂が大雨でやられなくて本当に良かった。
フライトという謎の商店のようなコンビニのようなところでソフトクリームを頂く
これだけに留まらず、カフェオレやらなにやら水以外の水分を補給
岩木山どーん!
すこし坂を上がるととりあえずの目的地であるあたご温泉に到着。
露天風呂はないものの、冷温ふたつの大きな湯舟があって最高に気持ちが良かった。一日中漕いで火照った体で冷泉に入れるありがたさよ!脱衣所では何やら異国語が聞こえてきて、こんな辺鄙なところにまでインバウンドかぁ、、、よく調べてくるもんだなぁ、、、などと驚いていたのだが、その後よくよく耳をそばだててみたらただの津軽弁だった。相変わらず何を言っているのかは全く分からなかったが、日本語であるということは分かった。そうだ、ここまでくると言葉はほぼ分からないんだった・・・。最早英語の方がわかるくらいだ。
冷泉もそこまでキンキンに冷えている訳でもないのでゆっくり入れるのが嬉しい。
本当は温泉よりもスーパーの方が低いところにあるし、先にスーパーに寄ろうかとも思っていたのだが、晩酌用のビールがぬるくならないようにスーパーは後にした。買い出しを済ませてから本日の宿泊地予定だった岩木山近くの道路の東屋に向かおうとしたが、最後かなりの登りになりそう、且つ、山の上で虫が多そう、しかも熊が居そう、ということで少し下にある民家近くの東屋に変更。こちらは滅茶苦茶風通しも良く涼しくて、何故だか虫もいなくて快適に眠れた。朝まで爆睡。
東北に行くと必ず食べている具入り卵豆腐。
冷やした茶碗蒸しみたいで美味しいのだが関東甲信越では全然売っていない。

2025/8/23 (Sat) 岩木山登山17km(累積標高1500m程)
特に百名山をやろうとしている訳ではないのだが、じわじわと増えている百名山は現在70弱くらい。五能線と併せてロードバイクを考えた時に森吉山、太平山、和賀岳も考えたのだが、いずれも考えれば考えるほどアクセスが悪すぎたり行程が長すぎたりして実現可能性が低かったので岩木山へ行くことにした。(秋田のビューーンなので秋田の山を登った方がいいような気もしたが。。。)この日の登山を終えた後の夜は山の東側にある川部駅界隈で夜を明かす必要があったということもあり西に抜けたくはなかったので、東から登って東に降りるラウンドコースにしてみた。最後林道は5kmちょっとあるが、まぁ荷物も軽いし走ればすぐだろう。

寝床からいこいの広場オートキャンプ場までひと漕ぎ。登山客用の駐車場に自転車を停め、ヘルメットや自転車メンテ用具、ビンディングシューズなどだけデポして山へ。駐車場には車は1台もなかったが、キャンプ場の駐車場に停めている登山客もいるのかもしれない(などと期待を寄せつつ)。
キャンプ場なので、登山口付近に自販機も水場もトイレもあって有難い。
因みにこの翌々日くらいに熊が出て、キャンプ場は月末で閉鎖になった・・・w
(間一髪)
くだりに使う予定の百沢コースには水場があるものの、登りで使う新弥生コースには水場はないので2L弱ほど水分を持った。
地図で見たらCT4時間程だったので3時間ちょっとで着くかな?と思っていたらこの看板。1時間多いけど。さてどうなるか。
入山直後にタマゴタケ。でもたくさん生えていた訳では無かったのでこれは持ち帰らず。
何だろう?と思って写真を撮ってきたが、どうやらオオワライタケという毒キノコのよう。
荷物軽量化のためと、林道は走るつもりだったことからこの日は短パンだったのだが、それでも汗が凄くて手拭いで汗を拭っては絞るというのを繰り返しながら進んだ。
標高250mの登山口から山頂1625mまでの登りである。別の登山口から行けばかなり上の方まで舗装路がついているので車で行けてしまうのだが、自分が選択したルートからだと結構骨のある登りを延々とやらされる。そして当然誰にも追いつかない、というかおそらく暫くこちらから誰も登っていない。6合目の少し下あたり、1100mくらいで視界は完全に藪に覆われ、腰からくの字に折れ曲がって地面を見ないと踏み跡が見えない。区間によっては250cmはあろうかという背丈以上の藪が続く。一向に進まない。空がかろうじて見えるか見えないか、当然地形なんてわからない。熊と鉢合わせしたらひとたまりもないだろう。こんなメジャールートあるかよ!聞いてないよ!こんなの人によっては遭難するだろうよ!などと1人でブツクサ声を上げて音を出しながら進む。山頂まで延々と標高差500mもこの手強い藪が続くのだとしたら相当時間がかかりそうだ。
六合目。道標のところだけはなんとなく開けているのだが、それ以外がもう完全に藪に閉ざされている。
そろそろ短パンの限界か・・・(痛い)
雨は降っていないので笹は濡れていないが、笹が痛くてレインウェアを着たくなってくる。とはいえ暑い。謎の葛藤を繰り返しつつ高度を上げる。脚はギタギタのキズキズ。汗が沁みて痛い。
少しだけ空
標高1300mを過ぎた辺りでようやく藪が落ち着いてきて一安心。そうこうしている内に山頂の気配が訪れ、汗冷えしそうだったのでレインパンツを履く。
お天気悪化。雨が降らなくてよかったけれど寒い
山頂直下までくると上の方から人の声がしてきた。もう上の登山道は近いぞ!と思ったら、刈り払い作業の方々が新弥生コースを下りてくるところだった。なんとこの日に刈り払いなのだそうで「ほとんど道無かったでしょ?w」と言われた。運が悪かったw
登頂!
登り始めてから山頂までの所要時間はたっぷり3時間半ほど。山頂には矢張り沢山人が居て、強風の中ラーメンを作っている人なんかもいたが、何故だか避難小屋に入る人が1人もいない。私はひとりで中に入って行動食をあれこれ齧って過ごした。外寒いじゃんね、なんで中使わないんだろうねw
風がよけられる有難い空間
午後雷雨という予報を出しているサイトもあったので、山頂で晴れ間待ちをすることもなくそそくさと撤収。百沢コースの方は人もそこそこいて安心だったが、沢沿いなので少し滑りやすい。水場があるのは有難い。
ちょっと私が登る時間が早すぎたのか、私が降りる時間帯に登ってくる人が多かった
絶対に枯れないであろう安心の水場
下の方で完全体のタマゴタケらしきものを発見したが、タマゴを割ってみたら違うキノコだった。
下山して、走る予定だった林道はほぼ全部歩いて自転車を回収して、のんびり体勢整えてから今日の温泉へ向かう。もし時間と体力に余裕があったら岩木山の周りの環状線40-50km程を自転車で回ろうかなと思っていたのだが、藪で想定外に消耗した上、下山途中に右足首を少し捻挫していたため環状線は諦めた。更に言えば、前の週に立山エリアを縦走していて転んだ時に打った肋骨の痛みが悪化していて、走ると響いて痛かったということもあって、まぁ諸事情により色々中止。体はボロボロw
この日の岩木山山頂付近はずっとこんな感じだった。待っていてもきっと晴れなかっただろうしさっさと下山したのは良い選択だったかもしれない。
お腹が減りすぎていたのでファミリーマートでファミチキなどを食らい腹ごしらえをしてようやく温泉へ。目を付けていた温泉で、自分的には至って自然なチョイスだったと思うのだが、どうやら大分ローカル向けな温泉だったらしく、この後に行った呑み屋でこの温泉に行ったことを話したら大そう驚かれた。湯温は極めて高く、湯量は豊富で終始湯船から流れ続けていて、いかにも青森らしい温泉だった。泉質が良いのに湯船に長いこと浸かっていられないのが勿体無い。こんな温泉が300円とか400円とかなんだから本当に東北はどうかしている(絶賛)。
受付のおばちゃんも皆気さくで良い人ばかり。お風呂あがりに自販機のジュースを2本くらい買って飲んでのんびりさせていただく。体の熱が中々おさまらない。
この日は川部駅待合室ステビ予定だったのだが、川部駅は奥羽本線と五能線が両方通っていて終電が案外遅いため、早い時間から寝床を広げることができない(因みに2路線走っているにも拘らず無人駅というのがすごい)。自分としてはどこかで暫く時間を潰して終電が終わってから駅に行くか、弘前まで自転車で移動して快活CLUBにでもチェックインするかの二択だった。しかしお風呂後に弘前まで移動して、また朝7時過ぎの電車に乗るために弘前から川部に戻ってくるのに自転車を漕いで、それから自転車をバラして・・・等々考えると弘前に行くのは大分面倒臭い。というわけで、事前に調べてあった川部駅近くの飲食店に行ってみることにした。

本命のつもりだった1軒目、お店のドアを開けると、何やら髪色の明るい女子が二人いるだけで、誰も何も食べていない。営業はしていると言われたけれど、これは自分一人で飲食したところで全く長居できる気がしないばかりか、滅茶苦茶居心地が悪そうだ。2軒目、次の候補地でもあったお店の暖簾を潜ると、既に完全に仕上がったおじいちゃんが1人と人の良さそうな女将さんが1人。外には赤提灯。どのメニューにも値段は書かれていないのが怖いけれど、レビューを見る限り全く高くはなさそう。ここにしよう。
こういう店でビールを頼んで、ジョッキではなくグラスで出てくると思わなかったw
お通しのイカと胡瓜と菊の花の和え物が既に美味しい
あまりご飯らしいご飯は無いけど大丈夫?と聞かれたが、ホワイトボードに書かれたメニューはおつまみとして必要十分。仕上がったおじいちゃんの津軽弁はきつく、7割以上何を言っているかわからない。女将さんは私に対して標準語に近い言葉で話してくれたので会話が成立したけれど、女将さんとおじいちゃんが話している会話はまったく不明だった。聞き取れるのは数字とか固有名詞くらい。途中で外は大雨になり、結構汚れてドロドロだった自転車はすっかり綺麗になった。自転車を漕いでいる最中に降られなくて本当に良かった。
そうこうしている内に常連さんが1人、2人とやってきて、カラオケが始まって大盛り上がりに。おじいちゃんは今日の飲み代をツケにして(今もツケ文化とかあるのかというのも驚いたが)サンダルを忘れて片足裸足のまま帰路につこうとするし、やいのやいのと大騒ぎ。最後まで残っていた隣のおじちゃんが日本酒やらこまいやら御馳走してくれた。隣のおじちゃんが主に話に付き合ってくれたが、基本的に店内の会話は理解ができない。
こまい美味しかった!
居心地良すぎて結局5時間くらい滞在w
女将さんのお孫さんの若い女子もお店を手伝っていた。
孫がお店手伝ってくれるなんて、女将さん滅茶苦茶幸せだろうなぁ。
電車はすべて終わったので寝床をつくる。お店に居た人達曰く「そもそも、電車がきてもこの駅で乗降する客なんてほとんど居ないから早目に寝てても大丈夫だよ」とのことだったw
快適と思われた寝床は暑くて寝苦しく、明け方には蚊が増えてきて4時前には起きてしまった。。。持参していた蚊取り線香が小さかったので、数時間で燃え尽きてしまったのが敗因。
因みに線路逆側にはもっと綺麗な待合室もあったが、気密性が高すぎて余計暑そうだった。蚊がいなかったとしても暑過ぎたら矢張り眠れないw


後編へ続く

2025/08/07

20250802-03_ブナ立尾根-不動岳-扇沢74k(後編)

前編はこちら

2025/8/3
 (Sun)
00:31 蓮華岳
01:29 針ノ木峠
02:49 針ノ木岳
03:43 スバリ岳
05:53 赤沢岳
07:00 鳴沢岳
07:40 新越山荘(水2L補給)
08:35 新越岳
08:47 岩小屋沢岳
10:04 種池山荘(山荘にて珈琲飲んでまったり休憩)
12:42 柏原新道登山口(ラン装備に整えるなど諸々調整)
16:00 蓮華の湯

蓮華岳から朝焼けが見られたら最高だったけれど、その後ペースダウンした場合に下山が遅くなって夕立にやられても嫌だなと思い直して仮眠は22時過ぎに切り上げて歩き始めることにした。仮眠する前まではずっと短パンだったが、仮眠後はモンベルのジオラインレッグウォーマーを装着。
夜間は夜露を纏ったコマクサがやたらと元気そうに見えた。ぷりぷりして可愛いらしい。それにしても今回はコマクサが滅茶苦茶咲いていて、過去に見てきたコマクサを全部足しても今回の数には及ばない程だったと思う。

白コマクサもあった
蓮華岳の登りは結構岩がちで鎖場もあり、またなんでこんなところを夜間に・・・と思わずにはいられなかったがとりあえず慎重にこなす。そして仮眠を経てもまだまだ眠い。早く朝になってほしい。
景色良さそうですが夜ですね
針ノ木峠に降りていく途中、1時頃にソロのお兄さんとすれ違った。おはようございますなのかこんばんはなのかよく分からない時刻。話すと「槍を目指している」とのことで針ノ木峠から0時過ぎに出てきたらしい。いやそのルートも大概長いな・・・(日数は聞いてないけど)

船窪小屋の次は針ノ木小屋で水の補給かななどと思っていたけれど、よくよく考えたら針ノ木小屋の通過は真夜中だし、そもそも針ノ木小屋の水場マークが雪渓ルートの方だった。あー、やらかした。新越小屋まで水場がないなということで、水を飲む量をなるべく少なめにして進むことにする。
夜景は見事!(勿論、星も綺麗だった)
ここも景色がいいのは知ってる(何も見えない)
ここも景色いいのは知ってる(見えない)
ようやく明るくなってきた
雲海きた!ヤマテンの雲海予報が当たったw
赤沢岳格好良い!(って前も登ってる筈だけど・・・)
しかし気持ちの良い稜線歩きと思いきやハイマツやら名前の分からない葉っぱやらがトレイルにがっつり被っていてちょっとした藪漕ぎ状態。朝露でびしゃびしゃになりそうだったので途中からレイン上下を着て歩いた。雨降ってないのにレイン濡らすの嫌なのよな(洗濯物が増えるw)。
これ、ダムの水が少ないってことよな・・・(白いところまで水がきてない)
山頂に着くと4人パーティーがいて写真を撮ってくれた。
日が昇って少しだけ目が覚めてきた
長めに歩くと、人と会った時の「どこから来てどこに行くの」的な話がややこしくなりすぎる傾向がある。かといってあれこれ省略して小さな嘘をつくみたいになるのも嫌なので、私はとりあえずざっくり話すことにしている。自分の周りには私なんかよりもっとずっと速くて強い人がたくさん居るので、自分はそこまで常軌を逸しているとは思っていないけれど、それでもやっぱり驚かれることは多い。
水がラスト200mlを切ったくらいのところでやっと新越小屋到着!一気に水を2L補給して、500mlくらいガブ飲みした。次の種池小屋でも水はあったが、もう食料もだいぶ食べて荷物も軽くなってきているので別に水が多少増えて重くなったところで大勢に影響はない。
体内のカロリー負債が積もりに積もって腹減りが加速していく・・・
山行中に4個ほどアルファ米を食べたがこの辺りでも少し食べ進めた
新越山荘を過ぎてすぐ、雷鳥に遭遇!
写真に写りこんでいないけれど、子雷鳥もいた
土曜の夕方に夕立がなかっただけでもラッキーだったのに、ここへきて雷鳥まで見られて本当にラッキー!とはいえ、雷鳥が出てきたということは矢張り今日の午後に雨がくるというのは本当かも知れない。先を急ぐ。
種池山荘までの道は滅茶苦茶暑くてくらくらしたが、水もあるのでのんびり無理せずこなす。ようやく到着した種池山荘は10時スタートのピザ祭りも手伝って大賑わいだった。人が一気に増えた。因みに最初に頼めばすぐ食べられたのだろうが、気付いた頃にはもう40~50分待ちとのアナウンスだった。
布で作られたピザが滅茶苦茶可愛い。
ピザもいいけれどこちらは兎に角眠気がMAX、眠りたいけれども日陰は無く、人は多く、仮眠できる状態ではなかった。少し降ってから仮眠しようかとも思ったが、人の往来も多そうだったのでとりあえずここで珈琲を飲むことにした。今回、夜間歩くつもりだったくせに最初にセブンイレブンで買った珈琲以外にカフェイン的なものを全く持たなかった(忘れてきた)のは失敗だった。
350ml450円のコーラと200円のインスタントコーヒーで迷って珈琲に軍配が上がったw
カフェインの量を考えたら珈琲の方が目は覚めそう・・
珈琲を飲んだら一応ちゃんと覚醒したのでここからペースが上がった。とはいえまた途中で失速したのだけれども。
自分はすこぶる元気だったが、人が多くて抜くこともできずに序盤はスローペースで進む。黙々と降ってきてから、あっそういえば歩きたかった柏原新道これじゃん、と思い出し(脳味噌死にかけててポンコツ)、焦って写真を数枚撮る。私はテレビを持っていないのだけれど、そんな私が実家だかどこかでたまたま見たテレビだか動画だかで柏原新道の整備の様子みたいのを数年前に見かけたことがあり、いつか歩いてみたいなぁと思っていたのだった。まぁ思ったより普通の道だったが、普通の道を普通の道としてキープしておくということが即ち整備なのだろうと思う。
降れば降るほど上がっていく気温。嗚呼、下山したくない。下界は一体何度なんだ。
お疲れ様でした
2022年に計画した時はここで扇沢からバスに乗ろうと思っていたのだが、今年よくよく調べてみたら扇沢から信濃大町まで16kmくらいしかないことがわかったので走ってみることにした。線路に向かうのだから下り基調だしそんなに大変でもなかろう。暑さだけが敵だ。
不審者w
下り基調とはいえ山をこれだけ歩いた後だと脚は疲れている訳で、そうそうまともには走れず、微妙に膝が痛みだしたので無理せず歩いたり走ったりでどうにかこうにか街まで辿り着いた。新越山荘で補給した水もすべて飲み切り、舗装路を走っても自販機すらなく、ようやく見付けた自販機では2-3本あれこれ飲み散らかしてやった。山の上で450円のコーラを見た後なので自販機が安く見えて仕方がないのだ。
セブンイレブンで揚げ鶏食べたりなんかしてからひとっ風呂浴びて信濃大町から松本へ電車移動。松本に着くまでの間に、外は酷い雷雨になった。
松本で電車待ち
なにやらあずさが止まっているとかで改札口に人が集まっている。ふん、私は各停で帰るのさ。集まる人達を尻目に各停のホームへ向かうも、こちらの電車も出発しないではないか。途中の駅で線路が冠水したとかで電車が一向に出発しない。18:43松本発の電車は、あーでもないこーでもないと行先変更やら途中停車やらを繰り返してようやく0時過ぎに大月に到着し、そこでゲームオーバーとなった。なんだよ今夜もステビかよ!(とはいえこういう時山装備があるとすこぶる強いw)

しかし結果的には、数時間遅れで25時過ぎに大月通過予定というあずさが我々を乗せてくれて新宿まで移動することができた。そして新宿で人生初の"列車ホテル"なるものを経験。宿泊用の車両が用意されていて、ここで朝まで待機して良いという。なんだよ逆に楽しいじゃないかよ。
空調も効いて快適。
電気は消えなかったがトイレも洗面所もあるし歯磨きもできて何の問題もない。
災害用の缶入りパンと水が支給された。
まぁ雨のせいでこうなってるから一応災害ではあるのか。駅員さんも大変だわ
始発だと家に帰るまでの所要時間が長くなるので、始発の次の次くらいで帰ることに
もうたくさん歩いたし走ったのでとっとと家に帰りたかったが、まさかの列車ホテルでこれはこれで楽しかった。興奮してなかなか眠れなかった。

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レースではないオーバーナイトの山行が今年はなんだか楽しくて、ここ数か月の間にあちこちの山で夜通し歩いたりしていた。2022年の時はあまりそういうことはしていなかったのに急にTJARに感化されて前のめりに計画を立ててしまっていたので、仮に天気が悪くなかったとしても山行が破綻していたような気がする。今年は他のエリアである程度やっていたからこそ計画が遂行できたのだろうし、楽しめて良かった。どのあたりからだったか覚えていないが土曜のうちに汗による股擦れやら足指の擦れが始まり、しかもプロテクトJ1を忘れてきていたのでちょっと焦ったが、エマージェンシーキットに入れてあったワセリンでなんとかしのいだ。濡れた靴下を脱いで絞ったり、あれやこれやとやりながら進んでいくのはやっぱり楽しいのだ。
今回の山行を踏まえて、景色の良いところを歩くオーバーナイト山行の時は、どこで朝を迎えるかはよく考えるようにしようと思った。計画通りにいくかどうかはわからないけれども、どこで朝焼けを見たいかは考えた方が満足度は高くなるような気がする。

あれこれ書きながら、ワセリンの補充をしておかなきゃと思い出したのでここでおしまい。日々パッキングなのである。