JREポイントを貯めると申し込める、JR東日本の「
どこかにビューーン!」というサービスをご存知だろうか。検索してもらえれば詳しい記事がたくさんあるのでまずは他のサイトを参考にしていただくのが良いと思うが、簡単に言うとダーツの旅みたいな感じで行先が確定するシステムで、1往復5000~6000円で購入ができる。往復新幹線のチケットが破格で購入できてしまう代わりに、支払いを済ませないと行先が確定しない。金額に幅があるのは、起点を東京近辺かそれ以外のエリアにするかの差であり、東京・上野・大宮起点の場合は6000ポイントが必要になる。
3週間前から予約が始まり旅の6日前までなら申し込めるので、アウトドアアクティビティを絡めるのであれば天気予報がある程度見えてきてから直前に申し込む方が良いだろう。しかし直前だと通常の予約が埋まってしまって行先のチョイスが狭まる気がしたので、今回は3週間前に申し込みをし、日程は往路木曜夜、復路日曜夜とした。出発日を金曜夜や土曜朝にしなかったのは、その日時の枠の競争率の高さを見越してのことだ。システムにより4駅がランダムにチョイスされるのだが、条件を少しずつ変えて2-3回行先の組み合わせを試して、行き先候補駅 【長野駅】【米沢駅】【秋田駅】【二戸駅】になった時点で申し込みをした。長野になった場合はちょっと近すぎるしよく行くエリアだし微妙だなぁと思ってはいたけれど、4か所のうち3か所はほぼ自分にとっては当たり駅な気がしたのでこれで申し込みを確定。
3日程で駅が決まり連絡がくるとのことだったので暫くドキドキしながら待つのもそれはそれで楽しい。結局丸1日で行先確定のメールが届いた(これはケースバイケースで、数時間で返信がくることもあれば、本当に3日くらいかかって返信がくることもあるのだそう)。メールに行先は書かれておらず、JREのマイページだったか何かに飛ぶとそこに行先が書かれている。私の行先は秋田だった。一番遠かった二戸より近いとはいえ一般的にも当たり駅といえるターミナル駅だし、温泉も多い上に県内には知り合いもいるので雨でも晴れでも楽しめそうだ。毎週末の山行をこなしながらこのエリアの計画を立てるのはそれなりに時間がかかったので、前もって申し込んでおいて結果的には良かったと思う。
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<今回の計画の特徴>
大宮-秋田間往復新幹線ではあるものの、秋田より手前の駅である田沢湖下車→盛岡乗車のようなアレンジは可能だったため八幡平エリア縦走なども考えたが、既にこのエリアは歩いたことがある上に紅葉の時期という訳でもなかったので、行ったことのない場所へ行くことに決めた。
1.
高速バスでは中々自転車を積み込めない為、新幹線移動であるというメリットを最大限に活かすべく、今回は自転車をメインとする。
2.
全日程の荷物を持って自転車を漕ぐ必要があるため、荷物を軽量化した。ガス缶やバーナーは無し、食料も現地調達。但し下界での宿泊用にシュラフカバーを持参(暑そうだったので寝袋はなし)、登山を絡めるため自転車用・登山用・移動用の服をそれぞれ持参。
3.
かねてより乗りたかった五能線に乗る。
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2025/8/21 (Thu)
18:45 大宮発こまち37号
22:07 秋田着 |
初めてのこまち!(大興奮)くすんだ赤が滅茶苦茶格好いい |
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大人の嗜み |
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ザ・秋田 |
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フライトという謎の商店のようなコンビニのようなところでソフトクリームを頂く これだけに留まらず、カフェオレやらなにやら水以外の水分を補給 |
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岩木山どーん! |
すこし坂を上がるととりあえずの目的地である
あたご温泉に到着。
露天風呂はないものの、冷温ふたつの大きな湯舟があって最高に気持ちが良かった。一日中漕いで火照った体で冷泉に入れるありがたさよ!脱衣所では何やら異国語が聞こえてきて、こんな辺鄙なところにまでインバウンドかぁ、、、よく調べてくるもんだなぁ、、、などと驚いていたのだが、その後よくよく耳をそばだててみたらただの津軽弁だった。相変わらず何を言っているのかは全く分からなかったが、日本語であるということは分かった。そうだ、ここまでくると言葉はほぼ分からないんだった・・・。最早英語の方がわかるくらいだ。
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冷泉もそこまでキンキンに冷えている訳でもないのでゆっくり入れるのが嬉しい。 |
本当は温泉よりもスーパーの方が低いところにあるし、先にスーパーに寄ろうかとも思っていたのだが、晩酌用のビールがぬるくならないようにスーパーは後にした。買い出しを済ませてから本日の宿泊地予定だった岩木山近くの道路の東屋に向かおうとしたが、最後かなりの登りになりそう、且つ、山の上で虫が多そう、しかも熊が居そう、ということで少し下にある民家近くの東屋に変更。こちらは滅茶苦茶風通しも良く涼しくて、何故だか虫もいなくて快適に眠れた。朝まで爆睡。
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東北に行くと必ず食べている具入り卵豆腐。 冷やした茶碗蒸しみたいで美味しいのだが関東甲信越では全然売っていない。 |
2025/8/23 (Sat) 岩木山登山17km(累積標高1500m程)特に百名山をやろうとしている訳ではないのだが、じわじわと増えている百名山は現在70弱くらい。五能線と併せてロードバイクを考えた時に森吉山、太平山、和賀岳も考えたのだが、いずれも考えれば考えるほどアクセスが悪すぎたり行程が長すぎたりして実現可能性が低かったので岩木山へ行くことにした。(秋田のビューーンなので秋田の山を登った方がいいような気もしたが。。。)この日の登山を終えた後の夜は山の東側にある川部駅界隈で夜を明かす必要があったということもあり西に抜けたくはなかったので、東から登って東に降りるラウンドコースにしてみた。最後林道は5kmちょっとあるが、まぁ荷物も軽いし走ればすぐだろう。
寝床からいこいの広場オートキャンプ場までひと漕ぎ。登山客用の駐車場に自転車を停め、ヘルメットや自転車メンテ用具、ビンディングシューズなどだけデポして山へ。駐車場には車は1台もなかったが、キャンプ場の駐車場に停めている登山客もいるのかもしれない(などと期待を寄せつつ)。 |
キャンプ場なので、登山口付近に自販機も水場もトイレもあって有難い。 因みにこの翌々日くらいに熊が出て、キャンプ場は月末で閉鎖になった・・・w (間一髪) |
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くだりに使う予定の百沢コースには水場があるものの、登りで使う新弥生コースには水場はないので2L弱ほど水分を持った。 |
地図で見たらCT4時間程だったので3時間ちょっとで着くかな?と思っていたらこの看板。1時間多いけど。さてどうなるか。
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入山直後にタマゴタケ。でもたくさん生えていた訳では無かったのでこれは持ち帰らず。 |
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何だろう?と思って写真を撮ってきたが、どうやらオオワライタケという毒キノコのよう。 |
荷物軽量化のためと、林道は走るつもりだったことからこの日は短パンだったのだが、それでも汗が凄くて手拭いで汗を拭っては絞るというのを繰り返しながら進んだ。
標高250mの登山口から山頂1625mまでの登りである。別の登山口から行けばかなり上の方まで舗装路がついているので車で行けてしまうのだが、自分が選択したルートからだと結構骨のある登りを延々とやらされる。そして当然誰にも追いつかない、というかおそらく暫くこちらから誰も登っていない。6合目の少し下あたり、1100mくらいで視界は完全に藪に覆われ、腰からくの字に折れ曲がって地面を見ないと踏み跡が見えない。区間によっては250cmはあろうかという背丈以上の藪が続く。一向に進まない。空がかろうじて見えるか見えないか、当然地形なんてわからない。熊と鉢合わせしたらひとたまりもないだろう。こんなメジャールートあるかよ!聞いてないよ!こんなの人によっては遭難するだろうよ!などと1人でブツクサ声を上げて音を出しながら進む。山頂まで延々と標高差500mもこの手強い藪が続くのだとしたら相当時間がかかりそうだ。
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六合目。道標のところだけはなんとなく開けているのだが、それ以外がもう完全に藪に閉ざされている。 |
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そろそろ短パンの限界か・・・(痛い) |
雨は降っていないので笹は濡れていないが、笹が痛くてレインウェアを着たくなってくる。とはいえ暑い。謎の葛藤を繰り返しつつ高度を上げる。脚はギタギタのキズキズ。汗が沁みて痛い。
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少しだけ空 |
標高1300mを過ぎた辺りでようやく藪が落ち着いてきて一安心。そうこうしている内に山頂の気配が訪れ、汗冷えしそうだったのでレインパンツを履く。
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お天気悪化。雨が降らなくてよかったけれど寒い |
山頂直下までくると上の方から人の声がしてきた。もう上の登山道は近いぞ!と思ったら、刈り払い作業の方々が新弥生コースを下りてくるところだった。なんとこの日に刈り払いなのだそうで「ほとんど道無かったでしょ?w」と言われた。運が悪かったw
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この日の岩木山山頂付近はずっとこんな感じだった。待っていてもきっと晴れなかっただろうしさっさと下山したのは良い選択だったかもしれない。 |
お腹が減りすぎていたのでファミリーマートでファミチキなどを食らい腹ごしらえをしてようやく温泉へ。目を付けていた温泉で、自分的には至って自然なチョイスだったと思うのだが、どうやら大分ローカル向けな温泉だったらしく、この後に行った呑み屋でこの温泉に行ったことを話したら大そう驚かれた。湯温は極めて高く、湯量は豊富で終始湯船から流れ続けていて、いかにも青森らしい温泉だった。泉質が良いのに湯船に長いこと浸かっていられないのが勿体無い。こんな温泉が300円とか400円とかなんだから本当に東北はどうかしている(絶賛)。
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受付のおばちゃんも皆気さくで良い人ばかり。お風呂あがりに自販機のジュースを2本くらい買って飲んでのんびりさせていただく。体の熱が中々おさまらない。 |
この日は川部駅待合室ステビ予定だったのだが、川部駅は奥羽本線と五能線が両方通っていて終電が案外遅いため、早い時間から寝床を広げることができない(因みに2路線走っているにも拘らず無人駅というのがすごい)。自分としてはどこかで暫く時間を潰して終電が終わってから駅に行くか、弘前まで自転車で移動して快活CLUBにでもチェックインするかの二択だった。しかしお風呂後に弘前まで移動して、また朝7時過ぎの電車に乗るために弘前から川部に戻ってくるのに自転車を漕いで、それから自転車をバラして・・・等々考えると弘前に行くのは大分面倒臭い。というわけで、事前に調べてあった川部駅近くの飲食店に行ってみることにした。
本命のつもりだった1軒目、お店のドアを開けると、何やら髪色の明るい女子が二人いるだけで、誰も何も食べていない。営業はしていると言われたけれど、これは自分一人で飲食したところで全く長居できる気がしないばかりか、滅茶苦茶居心地が悪そうだ。2軒目、次の候補地でもあったお店の暖簾を潜ると、既に完全に仕上がったおじいちゃんが1人と人の良さそうな女将さんが1人。外には赤提灯。どのメニューにも値段は書かれていないのが怖いけれど、レビューを見る限り全く高くはなさそう。ここにしよう。
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こういう店でビールを頼んで、ジョッキではなくグラスで出てくると思わなかったw お通しのイカと胡瓜と菊の花の和え物が既に美味しい |
あまりご飯らしいご飯は無いけど大丈夫?と聞かれたが、ホワイトボードに書かれたメニューはおつまみとして必要十分。仕上がったおじいちゃんの津軽弁はきつく、7割以上何を言っているかわからない。女将さんは私に対して標準語に近い言葉で話してくれたので会話が成立したけれど、女将さんとおじいちゃんが話している会話はまったく不明だった。聞き取れるのは数字とか固有名詞くらい。途中で外は大雨になり、結構汚れてドロドロだった自転車はすっかり綺麗になった。自転車を漕いでいる最中に降られなくて本当に良かった。
そうこうしている内に常連さんが1人、2人とやってきて、カラオケが始まって大盛り上がりに。おじいちゃんは今日の飲み代をツケにして(今もツケ文化とかあるのかというのも驚いたが)サンダルを忘れて片足裸足のまま帰路につこうとするし、やいのやいのと大騒ぎ。最後まで残っていた隣のおじちゃんが日本酒やらこまいやら御馳走してくれた。隣のおじちゃんが主に話に付き合ってくれたが、基本的に店内の会話は理解ができない。
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こまい美味しかった! |
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居心地良すぎて結局5時間くらい滞在w 女将さんのお孫さんの若い女子もお店を手伝っていた。 孫がお店手伝ってくれるなんて、女将さん滅茶苦茶幸せだろうなぁ。 |
電車はすべて終わったので寝床をつくる。お店に居た人達曰く「そもそも、電車がきてもこの駅で乗降する客なんてほとんど居ないから早目に寝てても大丈夫だよ」とのことだったw
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快適と思われた寝床は暑くて寝苦しく、明け方には蚊が増えてきて4時前には起きてしまった。。。持参していた蚊取り線香が小さかったので、数時間で燃え尽きてしまったのが敗因。 因みに線路逆側にはもっと綺麗な待合室もあったが、気密性が高すぎて余計暑そうだった。蚊がいなかったとしても暑過ぎたら矢張り眠れないw
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後編へ続く