2012/09/11

20120905-11_恍惚のロングトリップ(7日目:双六小屋~新穂高温泉下山)

この界隈を歩いている人の殆どはきっとこの辺りを歩くことが目的でやってきていたのだろうが、我々にとってはもう今日の行程は下山に過ぎない。少しだけ双六岳に申し訳なさを感じながらも、勿論ピークは踏まない。今回近くを通りながらも、16座全てのピークを踏まずに降りるのだ。踏んではならない。以下ナッツさんによる16座まとめ。「ピークなんか踏まないんだからね」。

高嵐山(2152)/湯俣岳(2379)/硫黄岳(2554)/赤岳(2416)
樅沢岳(2755)/双六岳(2819)/三俣蓮華岳(2841)/鷲羽岳(2924)
ワリモ岳(2888)/祖父岳(2825)/水晶岳(2986)/赤木岳(2622)
黒部五郎岳(2840)/弓折岳(2592)/大ノマ岳(2662)/抜戸岳(2813)
■9月11日(火)雨のち晴れ
8:22 双六小屋
↓ - 0:40 
9:02 花見平
↓ - 0:10
9:12 弓折乗越(弓折岳分岐)
↓ - 0:24
9:36 鏡平小屋
↓ - 1:11(休憩)
10:17 小屋出発
↓ - 0:24
10:41 シシウドヶ原
↓ - 1:01
11:42 秩父沢
↓ - 0:29
12:11 小池新道登山口
↓ - 0:21
12:32 わさび平小屋
↓ - 0:34(休憩)
13:06 小屋出発
↓ - 0:56
14:02 新穂高温泉
雷鳥・・・嫌な予感・・・
花見平。ガッスガス。
最初は調子良かったのでタンさんよりお先に鏡平に到着。
ここへきてようやく携帯の電波が入る!
メールを受信したりアレコレしていると、ナッツさんからもショートメッセージが。小池新道は地味にキツイから頑張れと。ああこの大雨の中、キツイんですかそうですか・・・というわけで頑張る。
秩父沢に水場マークがあったのだが、ここと勘違いして勝手に水分補給をする。
特に問題は無し。秩父沢はこの少し先に。
鏡平のあたりから私の下痢がスタート。下痢どころか気持ちが悪くなってきて一気にペースダウン、タンさんに先を歩いてもらい、私はノロノロ運転に切り替え。
以前鳳凰三山で下痢山行のキツさを経験しては居たものの、矢張り下痢山行はキツくてツライとしみじみ感じながらトボトボと歩く。。。ナッツさんはこんなのを初日からやり続けていたのかと思うと本当に心が苦しくなる・・・・・。
既にここはメジャールート、その辺でしゃがみこんでブリっと致すのも憚られるので、お腹の急降下が無いことを祈りながら進むしかなく。幸いにして鏡平以降の急降下はなかったけれど。。。
こっちが秩父沢
ダラダラと長い
橋のところが小池新道登山口
やれやれ
わさび平小屋到着。トマトやきゅうりなんてのが100円くらいで売ってました。
この時は食べる気起きなかったけれど、体調万全だったら絶対に食べてるだろうな
金木戸沢という文字を見てキラキラ
笠ヶ岳への登山口を右手に見ながら進む
ゲートを越えるとすぐ新穂高温泉

お疲れ様でした!
新穂高温泉のエリアには温泉は2軒しかないとかで、元々ナッツさんが以降としていた温泉「ひらゆの森」を目指すべく、一旦平湯へ出る。バスまで1時間ほど待つことになったが、その間に帰りの松本→新宿行高速バスの予約などをしていたのであっという間に時間が過ぎた。

ひらゆの森、凄く良かったのでおすすめ。めちゃくちゃ広いし安いし(なんと500円)、施設も綺麗で従業員の方の対応もとっても素敵。
脱衣所で「どの山に行ってきたの?」と声を掛けてくれたお掃除の従業員の方は、ご本人も山が好きで山に行かれているのだとか。山は本当にいいわよね、私が今元気で足腰にトラブル抱えずこうしていられるのは山をやっていたお陰、山があればなんか嫌なこととかもうどうでもよくなっちゃうわよね、山は是非続けてね、と言われた。本当に山好きなんだなと思わせるような目をこちらへ向けて語るその彼女は、最後に、「ゆっくり温まっていってね、最高のお湯だと思うよ」と言った。最高のお湯かもしれないけど、貴女はもっと最高だよ。仕事場を愛せるって素敵なことだね。

バタバタしていたのでひらゆの森の写真は1枚も撮れなかった。1時間半あると思っていた滞在時間もあっという間だった。何故かわさび平で貰ったパンフレットに書いてあった松本行バスの時刻と本当の発車時刻少しだけ違っていたので無駄に焦った。お風呂あがりに先に一杯やっていたタンさんを急かし、注いであった日本酒を瓶に戻して握りしめ、食べかけの唐揚げ串を手に持たせてバス停までダッシュw なのにバスの時間もう少し後だったとか何なの・・・
まぁとりあえず乗れたんで。。。
平湯松本間のバスのシートは凄く広くて快適だった。
松本到着!
で、また時間がカツカツに詰まっているのだけれどお腹もすいているし・・・とそこへナッツさんの提案メールでこちらのお店に決定。大盛のカツ丼はラーメンの器で出てくるんだとか。流石に日和って私も普通盛にしておく。。。
高橋。コスパ最強だし美味しいしこれは定番入り確定!
900円のカツ丼。これにお味噌汁と漬物、フルーツ、小ぶりな冷奴がついている。たまらない!
馬刺しもあります(食べなかったけど)
入店から退店まで30分未満という慌ただしさながらもどうにか食べ終えて(日本酒も一杯やり)、今度は新宿行バスの乗り場まで早足で。なんだこの最後へきてからのバタバタ感は。。。
こうして旅は終わった。

街の光はギラギラと輝き、現実なのに現実とは思えなくて、山の中と下界のどちらが現実なのかイマイチよくわからなくなっていた。何度か抱いた感覚ではあるけれど、ここまで心の底からワケがわからなくなってしまったのは初めてだったかもしれない。

目に焼き付けた景色の全てを写真に残せる筈もなく、記憶にしか残っていない景色は沢山ある。というか記憶にしか残せていないものの方が大半で、写真として切り取ったものなんてほんの一部分に過ぎない。しかし残念ながら記憶は消えていくもので、見たものも聞いたことも学んだことも全部が残るワケではない。けれどこの1週間で感じたことは私の血となり肉となる。正確な記憶として残らなくても構わない、でも確実にこの旅を経て、今この文字を綴っているのはこの強烈で恍惚な旅を経た私だ。幸せという言葉はまさにこの実感にこそ相応しい。とてもどっしりとして確かなもの。この感覚はもう言葉にならない。

数日間かけてそれなりに現実には戻っていったのだけれど、正直言うとこの山行で私の中で何かが壊れた。それが良いのか悪いのかはわからないけれど、明らかに山だの沢だのへの執着は強くなり、止められないものになって、収拾がつかなくなって少しだけ気が狂ったような気がしている。この感覚ももう少しすれば落ち着くのかも知れないが、それも今は知る由もない。ただ、今は山や沢のことばかり考えている。

いつかまたこんな旅がしたい。次は今回をも越えるような更なる恍惚を呼び起こす強烈な旅を。

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2 件のコメント:

  1. yasuyo、今回の旅に付き合ってくれて、そしてこんな素敵なレポにまとめてくれてありがとう。

    天候じゃなく、危険だからじゃなく、楽しくてリスケする幸せ。予備日って偉大。ただし連絡出来ず多くの人に心配を掛けてしまった事は大反省。通信手段の見立てが甘くて申し訳なかったです。

    それと一緒に旅を続けてくれたタンさんに感謝します。ありがとうございました。

    3人で源流碑までたどり着くという目標は達成できなかったけど満足してる。いや残念。でも楽しかった。またいつか新しい旅を。

    なつより。

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  2. ナッツさん
    コメントありがとうございます!
    リスケした原因は、ひとつに某所での釣り時間が長すぎたこと(その時はまさか全体の日程が延びるほどとは思ってなかったですけど)、もうひとつは立石の下降が時間かかりすぎたこと、だと思っています。ルートが長くて複雑だったから、予定通りに行けなかったのは致し方ないけど、矢張り釣りってついつい時間忘れてやってしまうものだろうし、釣りの時間をガッツリ考慮に入れて計画した方が余裕があったかもしれないですねw ロング釣行の計画って難しいですね。

    電波がこんなに入らないとは正直驚きました。双六は山頂近くしか電波入らなかったですが、三俣小屋の前で以前ツイートした記憶があったので、さすがに三俣双六間の登山道は電波入るだろうと思ってたのですが。でもそもそも三俣で以前電波入ったのはラッキーだっただけで、小屋に衛星電話置いてあるくらいだから矢張り繋がり難いんだろうな。私も電波のことは事前にある程度調べておけばよかったです。反省。

    今回はひょんなことからお声掛け頂いてこんな素敵な旅ができて、本当に感謝してます。タンさんも最後の最後まで付き合ってくれてありがとうございました。またいつか!!!

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