2014/09/07

20140903-07_唐松岳-栂海新道4泊5日(5日目:栂海山荘〜親不知)


5:20 栂海山荘発
↓ - 1:25
6:45 菊石山山頂
↓ - 0:35
7:20 下駒ヶ岳山頂
↓ - 1:00
8:30 白鳥小屋
↓ - 0:20(大休憩)
8:50 白鳥小屋出発
↓ - 0:52
9:42 水場
↓ - 0:36
10:18 坂田峠
↓ - 0:42
11:00 尻高山
↓ - 0:53
11:53 入道山
↓ - 0:47
12:40 下山

泣いても笑ってもこれが最終日。この日もとても良い天気になるはずだったが朝だけは多少どんより。
ささやかなピークにもきちんと山頂標が。
鬱蒼とした木々の間を歩いていると、途中で視界が開けてたまに遠くの景色が見えたりする。と、なんだか空に白いの浮かんでるよね・・・ん?あれは空か?いや、海だな!

下の写真の右の方、遠くの山の端の上のあたりに白いものがぽつんと浮かんでいるように見えたのだけれど、よく見ると海にうかぶ船だった。空と海の境界線はぼんやりとにじんでぼやけている。いよいよ海が見えてきたんだ。
海が見えてきた。右端の方に船がみえる(拡大してみてください)
下駒ヶ岳に向かう道は思ったより険しい。地図には「木の根と露岩の急登」とあるのだが、急登の具合が激しい。危険ではないのだが、とにかくきつい。身を削って粛々と進む・・・
下駒ヶ岳に向かう急登の途中。ロープまでかけてある・・・
赤ペンキに電話電話とか書かれていて、気持ち悪いな誰か遭難でもしたのかなとか思っていたら
ここなら電波入るよという印だった。なんだか呪いのよう・・・
下駒ヶ岳の山頂から1時間ほど歩くと白鳥小屋に到着した。そして海の姿はいよいよ近く大きく、これから船に乗せるであろう車や貨物がドバドバと並べてあるのがよく見えた。
小屋はとても新しくて綺麗だった。日が余っていればここでのんびり泊まっていきたいと思えるほど。景色も良いし最高。中の様子を見たり行動食をたべたりなどしつつしばし休憩。風に吹かれて汗を乾かしつつのんびり。
冬場一体どれほど雪が積もるのだろう、、、屋根に梯子がかけられている
中はとてもきれい。避難小屋とは思えない
シキ割の水場かな?それなりに水量はあった
そしてぬかるみは続く
最後、いきなり海に出て下山!となるわけではなく、微妙に二度ほどトレイルが舗装路と交差するため若干ドラマティックさを欠く(贅沢言うなって感じですが)。というわけで坂田峠、一度目の道路。そしてまたトレイルに戻る。
再びトレイルへ
立派!
そして再び舗装路、からのトレイル戻り。もどかしい!
階段で舗装路に降りる
二度も舗装路に出させるなんてなんなんだよ・・・と思ったりもするのだけれど、この手の道標を見るたびにいちいち感極まる。栂海新道が終わる、もうじき終わるんだ・・・。涙腺がいちいちゆるんでその度に耳がグググと鳴る。
エンディング間近というのにこれでもかとぬかるみが訪れるのには参った。靴が乾いた状態で下山したいのに。。。
白いタマゴタケみたいな・・・毒かな?
最後の登り(だったと思う)
これはなんだろう。美味しそう
いよいよです・・・
車の音がいよいよ近付いてくる。木の間から広い道路と、物凄い速さでかっ飛ばすトラックが突然見えたと思ったら国道に出て、栂海新道は終わった。ここが北アルプスの末端か。
不思議なエンディング
いろんな条件が揃わなければなかなか歩けないところだと思う。しみじみ。

道路を挟んだ向かい側の親不知観光ホテルは、界隈で唯一のお風呂スポット。お風呂にはもう入れるかと尋ねると、まだ準備中とのことだった。海にまだ行っていないならとりあえず先に海に行ってらっしゃいとフロントの奥さんに促される。栂海山荘で私が振舞ったラムのお返しにとAさんがホテルでビールを買ってくれた。そのレジ袋をぶらさげて、ぶらぶらとホテルを後にする。

栂海新道を歩く人達の間では、最後に「日本海ドボン!」をやるのが定番らしい。聞くまで知らなかった。きっとAさんと出くわさずに私ひとりで下山していたら、海を見ただけできっと終わっていただろうな。
写真で見るよりもずっと青くて綺麗な海!そしてそこに向かって延びている階段!
すこし粒の大きな砂利の砂浜に降りて、安全に踏破できたことを称え合い乾杯をする。プハー!この時のビールの美味しかったことといったら!そしてほろ酔いで海に突っ込む半裸のAさん。気持ち良さそうすぎる・・・(流石にこれは真似できない)
しかしこれはドボンしないわけには行かない!かといって服を全部着たまま海に入って、その後着替えがなくなるのも困る・・・。結局着替えを持ち合わせていたものだけは身につけ、着替えを持ってきていなかったトレッキングパンツだけ脱いで海にダイブ。ひゃっはー!
スイー  スイー
なんだろうこれは。散々山の中で汗かいて4日半、その後全身を海水に揉まれる感覚っていうのは。沢でジャブジャブするのとも違う、下山して温泉に浸かるのとも違う。浮くし、泳げるし、泳ぐと山で歩いたのとは別の方向から筋肉が刺激されて体がほぐれていくのがわかるし、そもそもお酒入ってほろ酔いになりながら少しだけぬるい海水の中をゆらゆらと漂ってみたり、水をぐんと蹴って泳いでみたり。なんたる贅沢。体の細胞が海のミネラル分と手をつないでいくような感じとでも言おうか、体と海との境界線がなくなって溶けていく。体が疲れているからこその、えも言われぬ無重力感。寒くもなく暑くもない。ふわふわと揺蕩うこと暫し。
1500円くらいだったかそれくらいでお風呂と親不知駅までの送迎がセットになる。
歩いて1時間くらいの距離なので、ここは是非送迎車の利用を。
お風呂からは圧巻の眺め!海〜そして独り占め〜
車に揺られて親不知駅に到着。多くの人が憧れる栂海新道の終着地、親不知駅はこんな小さな小さな駅。栂海新道に出会わなければ、きっと一生で一度も利用することはなかったなじゃないかなぁと思うと感無量である。ありがとう。
さよなら親不知
さすがに親不知駅界隈には食べるところがなく、なんやかんやで結局越後湯沢駅まで移動してAさんと打ち上げ。早くに下山したのであれこれしていても結構余裕の時間帯。
おいしゅうございましたー
山で出会ってその後車で駅まで送ってくれた人とか、一緒に飲みに行った人とか、SNSで繋がった人とか、これまでにもたくさんの人と友達になってきたけれど、これほど多くを喋った相手はいなかったような気がする。栂海新道という特別な場所で出くわしたということも一因だろうし、相手が私と同様に話好きだったということもある。絶対に雪倉小屋から栂海山荘までなんて1日で女の子が辿りつくわけないだろうから、雪倉小屋で別れたらもう二度と会うことはないだろうとAさんは思っていたらしいが、翌日まで日も高いうちに私が栂海山荘に現れて驚いたようだし、そのことである意味私という人となりを理解してもらえたようだった。どういう話の流れかさっぱり覚えていないけれど、家族の話や今住んでいる家の話にまでなったし、スキーを勧められたりもしたし、ただこれまで行った山の話をするにとどまらず本当にいろんな話をした。

越後湯沢からは新幹線と各停とで時間が倍くらいかわるので各停で帰る気になれず、珍しく新幹線にて帰京。新幹線て速いね・・・

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ぎりぎりで行き先を確定して、仕事が終わってからパッキングしてその日のうちに出発したバタバタの夏休み。ロングのソロ沢を釣りあがりながら魚を食らい米を炊いて過ごす、というのが本当は2014年の目標だったので、それが結局果たせなかったのは残念だったけれど、あの不安定な天候で沢にいたら流されたかもしれないし、エリアによるだろうけれどもとりあえず今回は沢はやめてよかったのかなと思った。ぎりぎりの決定によって得られた出会いも本当に素晴らしかったし、そうそう行くことのできない場所に行く機会と条件に恵まれたのは本当にラッキーだった。

Aさんはこのルートにこれまで来たくて来たくて仕方がなくて、本も読んで、温めて温めて、ようやく今回山行が実現したらしいのだが、そんな人がいる中で私のこの気軽な感じ・・・なんだか少し申し訳ないような気もしたが、それもまた良し。

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栂海新道---栂海新道は、日本海の海抜0mから白鳥山(1,286.9m)、犬ヶ岳(1,592m)を経て朝日岳(2,418m)を結ぶ北アルプス最北部の縦走路である。
栂海新道は、「さわがに山岳会」が1961年より黒姫山に新道・黒姫小屋を建設後、1966年から抜開を始め、1971年の全線開通まで、苦節6年間の歳月をかけて未開の朝日岳以北を拓いた岳人の夢の完全縦走路である。
吹上のコルから天険「親不知」まで約27km。所要時間は親不知からの上りコース約18時間、吹上のコルからの下りコースは約15時間を要す。特に上りは超健脚者コースのため、綿密な登山計画が必要である。(リンク先の糸魚川市オフィシャルサイトより)

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今更だけど「栂海新道を拓く」、読んでみようかなと思っている。
バリエーションルートも大好物だし沢も大好きだけど、人の拓いたルートというのもまた浪漫があって良いものだなと思い知らされた5泊5日の素晴らしい夏休みだった。こんな歳になって、山を歩き、海に入り、ここまで夏休みらしい夏休みが過ごせるというのも幸せなことだ。いつかおばあちゃんになってから、また栂海新道を歩いてみたい。きっと何か別のことを思わせてくれそうな、叙情的なトレイル。ありがとう。

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