2025/06/28

20250627-28_Deep Japan / Uonuma 80k(後編)

前編はこちら

遠い記憶を辿りつつ後半戦。

CP2で沙樹さんから「私達、2位と3位みたいですよ!?」と言われていたのだが、私は「自分達より前に女性ランナーが居た筈だし、その人達を抜かしたとは思えない絶対何かの間違いですよ~~」と答えていた。ぬか喜びしても仕方ない、かといって自分でスマホを出してトラッキングを見るような余裕もないし、見たところで何も変わらない。答え合わせは最後だけでいい。

CP2~CP3 ハーブ香園(20:17)
CP2、二度目の山菜会館にはもうおにぎりは残っておらず、炭水化物はヤマザキの薄皮シリーズと安定の甘酒で補給して先を急いだ。とりあえず飲み干していたハイドレーションに1.8リットルくらいまで多めの水を入れ、500mlのフラスクにポカリスエットを入れたのだったと思うが、よくよく考えるとそこまで水が必要だったのかは疑問だ。沙樹さんとはほぼ同時に出発。遅れをとるわけにはいかない。

ここから先、走ろうと思えば走れるというか所謂頑張りどころというか、歩いたり走ったりを繰り返しながら15kmくらい。
舗装路なので深い山の中というよりは確かに日本の深いところという感じ
まさにDeep Japan... ここで生活している人達がいるんだなぁと田んぼを眺めて思う
手前の山が格好良かったのでパチリ。何山だったのだろうw
私にとって初めてのフルマラソンは奥武蔵グリーンラインチャレンジだったのだが(マラソンの距離だったのでマラソンと思ってエントリーしてしまっただけの、ただの峠走・・・)、その時に某氏に説かれた「少し先に目標を作って『あのガードレールまで!』『あのカーブまで!』と走ったり歩いたりを繰り返す」という作戦を積極的に実践することにした。こんなに延々と舗装路のアップダウンをやらされるレースは久々だったが、こういう時にこそこの気力捻り出し作戦みたいなのが活きてくる気がする。
更に言えば、自分で設定した「少し先の目標」に辿り着いたとしてもそこですぐに歩きに変えず、あと5m、10mでも先まで脚と呼吸が頑張ってくれそうならどうにかして頑張らせる。その5m、10mが積み重なれば数分、数十分の差になる筈だ。そう信じながら、でも頑張りすぎて脚が終わったり潰れたりしないように体を使っていく。かといって、潰れると困るから、というのを言い訳にして自分がサボろうとすることも許さない。自分はプロのアスリートでもフィジカルエリートでもないからその身体と精神のやりとりをギリギリに攻めていくことは出来ないのだけれど、自分にわかる範囲でそれに近いことを何時間も繰り返すことで、少しずつ判断の精度があがっていく感覚はあった。(伝わるだろうか?)苦しいのだけれどもレースが楽しいのはこういうところでもあったりする。
自作のタイム表は13.5/14/15/16時間の4パターンで作成(+関門)。
15時間台なら、他の年のリザルトを見る限りでは5位以内に入れるかもという計算。
(勿論その年に誰が出るかにもよるので一概には言えないけど)
CP3には20:17到着、13.5時間ゴールの想定より40分以上早い。この先失速するか?
山菜会館ではほとんど汁物を口にしていなかったが、CP3の山菜汁はしっかりボウル1杯頂いた。多分、夜になって気温が多少下がり、温かいものを食べたいという欲求が少し出てきたからだと思う。昼間は暑すぎたのだ。山菜汁と一緒に頂いた塩むすびの強めの塩気がそりゃあもう美味しくて、エイドを出発するときにももう1つ持って行った。それからスイカを食べたり水分をがぶがぶ飲んだり、ハイドレーションに補給をしたり、ここのエイドでの滞在時間が一番長かったかもしれない。食べていると沙樹さんとまた一緒になり、それ以外の女性ランナーは誰が100マイルで誰が80kmなのかさっぱりわからず、でも複数名居たような気がする。ここで100マイル選手として出走していたTJAR戦士のI氏とも一緒になった。

CP3~CP4 大岳山頂(23:25)
しっかりエネルギーチャージしたのであとは登りをこなすだけだ。とはいえ、ロードで酷使し続けた脚にはそれなりに疲労が溜まっていた。登山口に着くと守門岳という文字が暗闇に浮かび、いよいよこんな夜中から守門岳に向かうのかよと少しばかりの悪態をつく。浅草岳同様、こちらも再び1000mの登りだが流石に浅草岳の時よりも脚は重く、人と人の間隔も離れているので1人の時間も長い。昼間より涼しいとはいえ湿度もすこぶる高い。汗だか湿気だかなんだかわからないがびしゃびしゃのウェアのまま、私は暗い山の中を黙々と登るだけだ。大岳山頂のCPには特にエイドは無く制限時間もなかったので、何時頃に着くようにみたいな目標や目安があった訳ではないが、最近の自分のレースペースだと500m1時間くらいなので、二口登山口からおよそ1000mを2時間で進めたので想定内という感じ。寧ろレース後半、しかも荷物がそれなりに重い割にはいいペースだったと思う。
途中の抜きつ抜かれつみたいなのとか、笹薮がサワサワして脚が痒いとか、いろいろあったような気もするが日が経ちすぎて細かいところは忘れてしまった。勿体無い。
そこそこ風のある、寒い山頂で待機してくださっていたスタッフさん有難う!
防寒テムレスをしているところに、その寒さが垣間見られる・・・
守門岳の山頂は踏まず、ルートは大岳の方に向かう。私は実はまだ守門岳に行ったことがないので、暗闇ガスガスで1座消費してしまいたくなかったから丁度良かった。折角なら天気の良い時にきちんと行きたい山である。
半袖短パンのまま大岳になだれ込むと、寒くないですかとスタッフさんに声を掛けられる。少しだけ肌寒かったけれど、ここから降りで標高も低くなればまた暑くなるはずだと思って特に何も羽織ることなく山頂を通過した。

CP4~GOAL 入広瀬小学校(25:52)
(夜間かつガスで何の写真もありません・・・)
浅草岳の降りも大概ズルズルだったけれど、大岳の降りは更にズルズルだった。水曜日あたりに結構雨が降っていたらしく、その名残でかなりのドロドロトレイル。前編で書き忘れていたが、かなり早い段階で靴は土に飲み込まれてぐちゃぐちゃになっていたので、渡渉があると逆にそこで沢水に入って靴を綺麗にしつつクールダウンしていた。日中の熱中症対策でもあった。
大岳の降りはどろぐちゃに加えて夜間、そして濃霧という三重苦だ。ライトのフォグフィルターを持参しなかったことが悔やまれた。視界は実に2mといったところか、早く霧のない標高まで降りたいと思うものの、どろぐちゃトレイルのせいで中々ペースは上がらない。右側(北側)には雪渓が残っているところもあって、ガスの白だか雪の白だか一瞬分からなくなりそうだった。こんなところで転びたくないし捻挫したくないので、視界が悪い分すこしペースを落としながら進むことにした。

山を下りてからはもうほとんど舗装路で峠走的な感じなので、またこれかよと思いつつも淡々と進んだ。もう温存することはない、出し切ればいい!と思うものの、出し切れる何かがあるほど実力があるわけでもないのでペースが落ちすぎないように、登りも降りも頑張るしかない。たまに登りもある訳だけれど、そこここで出くわす100マイルの人はまだこの先80km残っているんだものなぁ~~それに比べたら私なんてもうあと数キロで終わりだものなぁ~(よっしゃがんばろ)、といった感じだった。これからまた夜の闇に歩みを進めていく100マイルの戦士達とすれ違うたびに、私は「いってらっしゃい!」と声を掛けた。尊敬の意を込めて。

道路に導かれるままにずんずん標高を下げていくと遠くにぼんやりと明かりが見えてきた。入広瀬小学校だ!ただいま!松永さんが出迎えてくれた。到着してすぐ2位と聞かされた。Finishers Portraitsのブースが設置されているレースに出たのは今回初めてだったが、自分が撮影されてそれを買うなんてことはしない、、、と思っていたので撮影も別にしなくていいと思っていたのだけれど、今回は副賞で無料だよと言われて数枚撮影してもらった。有難いけれど非常にこっ恥ずかしかった。まぁ良い思い出だ。

写真を撮り終えて椅子に座っていたら、ふと精神的に完全に1人きりになったような瞬間が訪れて、自分の周りに緞帳が降りる感じがした。入れるならば3位以内に入りたいなぁって思ってはいたけれど、私3位どころか2位なのかぁ、そう思ったらぐっとこみ上げるものがあって目頭が熱くなった。直後に何かのきっかけで緞帳が上がってしまって泣きはしなかった。

そうこうしている内に沙樹さんもゴール。やっぱりすぐ近くに刺激し合える人が居ると居ないとでは大違いだったと思う。一緒に走れて本当に良かった。ありがとう!
序盤できいた2位と3位らしいっていう情報はガセじゃなかった!
一緒に記念撮影。
その後着替えもせず、1位のみほさんも一緒に3人でエイド食を貪りお腹を満たしてから一旦控室へ。
温泉のオープン時間は10時くらいだったのでゴールしてから長いことお風呂には入れなかった。とりあえず汗拭きシートでひととおり体を拭いて着替えてから控室で仮眠しようとしたのだが、レース後半で投入したカフェインの影響と、2位でゴールできた興奮でまったく眠れない。折角なのでゴールゲートで観戦することにした。これといったボリュームゾーンとかがある訳でもないのでまばらにやってくる選手達をひとりひとり待ちながら、スタート前の準備時間からずっと起きっ放しだという松永さんとひたすらお喋り。先週私が行った餓鬼岳の話なんかもした。
お風呂から戻ると追加でお米が炊かれていて再びご飯を頂くw
魚沼だもの、お米が美味いのよ
表彰式&集合写真
レースに開催場所が魚沼ということで、声を掛けてあったこちら方面の友人と一緒にレース後は慰労キャンプへ。私はといえば寝袋とマットくらいしか持参していかなかったところからこの一式揃えて頂けたのは有難い限り。因みに友人は魚沼ではなく糸魚川の人であった・・・(割とレースの直前に気付いた)。魚しか合ってなかった。
寺泊で海鮮やらなにやら買い出しをしつつキャンプ場へ!
シャトレーゼでケーキも調達。2人で一瞬でぺろりw
ビールに始まり、唎酒師の友人チョイスの日本酒や焼酎とひとしきり飲み、私は途中で眠らないようにお酒を飲み始める前にコーヒーを飲んであったので無事最後まで完走することができた(完走とは・・・)。
翌日は低山ハイクへ。Deep JapanのフィニッシャーTシャツを着て歩いていたら、たまたますれ違った人から「レースのライブ配信も見てました!!」と声を掛けられてびっくり。
角田山へ!海が綺麗
暑かった!
盾が我が家に!
最初に見た時瞬間的にこれ欲しいなと思った檜の盾がひとつ、我が家に嫁いできた。いい香りだ。1位は1st placeじゃなくてChampionって表記になっていたのを見て、あれの方が格好いいなって思ってしまったり、名前が書いてあったらもっといいなぁとか思ってしまったり、欲は深くなる一方なのだけれども、まぁ自分程度の走力で表彰台に上がれただけでもラッキーなので、あまり調子に乗らないように謙虚でありたいと思う。とはいえやっぱり嬉しいものは嬉しい!順位も然ることながら、今回は完走することが目的だったので目的を達成できたのもホッとした。

自分があまり得意ではない林道系の、走れる区間が長いレースでここまで走れたということは素直に嬉しかった。もうそこそこいい歳で、放っておけば日に日に体は衰える一方の筈だけれど、自分は山に登り続けたいから走るのだ。

因みに、何故完走しなければならなかったかについてはまた近いうちに書きます。
そしてもうひとつ、今回入賞は5位までだったのに何故3位以内にちょっと拘っていたかというと、どうやら3位以内だとタイのレースに招待されるらしいんですね。まだ詳細の連絡は貰ってないんですが本当に私はタイに行けるんでしょうか。

乞うご期待!

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