2013/01/10

20130110-11_毛木平-甲武信-十文字峠-柳小屋-川又(1日目)

誰とも会わなかった。ソロで山歩きをして誰にも会わなかったのは実は初めてのことだったかもしれない。
たったの2日間だったけれど、その山行の間、私は自分のペースで歩き、休み、勝手に起きて、食べて、眠った。それはあたりまえのこと。そこにはいつも尾根と谷、岩と沢、空や星、雪や氷があった。私は幾度かワーとかウォーとか言ってみたり、「サイコーだなー!」とか叫んだりしていた。大声で歌も歌った。ブツブツ独り言もたくさん言った。泣いたり笑ったりした。人と一緒に行く山というのはそれはそれで楽しいのだけれど、一人で行く山というのも最高に楽しいものだ。歩いたルートは月並みだったかも知れないが、何気に色々と実りの多い山行だった。

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1月の三連休は八ヶ岳あたりに行こうと思っていたのだが、連休初日の12日に予定が入ってしまって連休が使えなくなった。その為、大慌てで計画を立て水曜夕方に都内を出発、久しぶりの奥秩父を目指した。

今回の目的は、幾度となく踏んだ甲武信ヶ岳へ初めてのルートから上がってみること、そしてこれまた初めての十文字峠〜柳小屋経〜川又ルートを歩くこと、の2つだった。

特に柳小屋というのは随分前から個人的に気になっていた場所にある小屋だったし、長いこと行ってみたいと思っていながらもなかなか行かれずにいた場所だった。そもそもこの川又から十文字峠の間にあるルートというのはなんだか得体が知れなくて、私にとっては少し不思議で不気味な存在だった。深いような深くないような位置にあって凄く地味だしアクセスは悪いし、奥秩父は散々歩いてきたけれどもここだけはまだ殆んど歩いていない。廃道もいくつもあるし足を踏み入れたいなと思いつつ、如何せん公共交通機関を使ってのアクセスだと中々難しくて時間もかかるため、行く機会に恵まれなかったのだ。

また、昨夏計画していた真ノ沢遡行も、悪天候や日程的な都合で叶わずじまいだった。入川水系は水量が多いと言われているので、遡行予定の数日前に集中豪雨などがあって水量が増えると遡行グレードが上がってしまうらしい。今年こそ遡行してみたいと思っているので、この時期の入川と真ノ沢の水量がいかほどのものか見ておくのも良いだろうと思った。
■1月10日(木)晴れ
7:35 梓山BT
↓ - 0:52
8:27 毛木平駐車場
↓ - 0:20(休憩&装備チェック、登山届投函)
8:47 駐車場出発
↓ - 0:39
9:26 慰霊碑
↓ - 0:53
10:19 ナメ滝
↓ - 1:00
11:19 千曲川信濃川水源池
↓ - 0:23
11:42 稜線
↓ - 0:37(国師側へ抜けるかかなり悩んで立ち往生)
12:19 甲武信ヶ岳山頂
↓ - 1:03(途中でワカン、バラクラバ装着等で時間を食う)
13:22 三宝山
↓ - 0:35
13:57 尻岩
↓ - 1:42
15:39 大山
↓ - 0:25
16:04 十文字小屋
9日夕方に都内を出発し、その日の内に信濃川上駅まで行くつもりだったのだが、小淵沢駅の乗換えに失敗。小淵沢の到着時間を勘違いしており、うっかり一時間近くも乗り過ごす失態をかます。気付けば塩尻駅(松本のちょっと手前)。。。当然信濃川上への電車は終わっているため、仕方なく小淵沢駅にてステビすることに。最寄りのコンビニは14分くらい歩いたところにあるデイリーヤマザキJA梨北小淵沢店。信濃川上駅の近くにコンビニがなかったため、翌朝の朝食やら行動食やら含めて少々の買い出しに行った後に就寝。
改札を出て右側の駐輪場。すぐ脇にトイレと小さな公園、飲料用の水場がある

幸い、小淵沢から信濃川上までの始発が、信濃川上発の始バスに接続するようだったので時間的なロスはなくて済んだが睡眠時間は少し削られてしまった。やれやれ。
信濃川上到着、駅の近くにはコンビニなどは何もない
電車到着後10分足らずでバスがやってくるので急いで乗り込む。しかし停留所のアナウンスもなければ電光掲示もない。一体どこが停留所なのかよくわからない。事前に調べた到着時刻と現在時刻を照らし合わせながら、そろそろ着く頃かなというところで運転手さんに声をかけて下ろしてもらう。こちらが梓山のバス停。特に何もないが、少し進むとまたデイリーヤマザキがある。ここが最終コンビニ。自販機もあり。
公共交通機関利用の場合はここから先の舗装路を徒歩で進むしかない。
車なら毛木平の駐車場まで入れる
しばらく歩く
到着
ここに一応トイレと登山届のポストがあるのだが、トイレの方は冬期閉鎖とあり利用ができない。写真左奥の車止めのあたりからトレイルがスタート。
トイレの奥に東屋があり、そこに掲げてあったコース案内図。
私のこの日のルートは、右下のゆるやかな傾斜で甲武信まで登り、アップダウンのある道を辿って
十文字峠まで行くというルート。
しばらく沢沿いを歩くがひたすら凍っている。きれい。 
渡渉のような、、、氷歩き
たまに渡る必要のある沢はいちいち凍っていてツルツルに滑る。少し緊張。
雪は積もっているがトレースがしっかりついているので歩きにくさは無い
結局ほとんどCT通りに到着。
元々は十文字峠に進む予定でいたのだが、ふと稜線に上がって国師ヶ岳方面に目をやると、割としっかりとしたトレースが着いていた。このルートをトレース無しでCT通りに進めると思えなかったし、トレースがあるとも期待していなかったので、今回この日程でここを通過するのは無理だろうと思っていたが、いざトレースがあるのを見てしまうと心が揺らいだ。今日中に大弛小屋まで着けるのかなと思ってCTを計算してみるとどうやら無理そう。だとしても、途中にいくらでも平らな地形がありそうだし、途中でビバークして進むこともできるだろう。一度は行ったことのある十文字峠の冬期小屋のある脇で安全に幕営するよりは、ここの稜線で幕営した方が余程楽しいのではないか?自問自答が続く、、、
国師ヶ岳側のトレース
しかしここは電波が通じない(実は今年になってauに替えたばかり)。もしも国師に抜けるルートを辿るとしたら、甲武信の山頂まで上がってからここに戻るとなるとタイムロスにはなる。とはいえ甲武信の山頂で電波が拾えるかも知れないしとりあえず登ってからもう一度考えよう、ということで登頂。
雪はそれほど無かった
しかし山頂でも電波は入らない。仮に国師に抜けるルートを取って、ルート変更のことを誰にも伝えないまま事故があった場合、家族や登山届で伝えてあるルートとは異なるため、捜索が難しくなる。そして現在ラジオ紛失中のためラジオも持っておらず、翌日の天気もよくわからない。更に言うと、国師に抜けるルートは夏も歩いたことが無い初めてのルートだった。

この天候と日程的には是非是非国師へ抜けたいと思う気持ちは強かったけれども、条件として良くないと判断して泣く泣く元の計画通りのルートを歩くことに決めた。積雪期にいつか歩きたいと思っているルートだったので、こんな近くまできて諦めるというのは非常に残念だったけれど、万が一のことを考えると矢張り突っ込まない方がベターだったのかなと(行ったルートは行ったルートでそれなりに大変だったけれども)。
割と雪が深い
トレースはあったのだけれどそれほどしっかりしたものではなく、前に歩いた人が踏み抜いた跡だらけで非常に歩きづらかった。大してもぐる訳でもなかったが、明らかにワカンの方が歩きやすそうだったので、スパイクの上からワカンを装着して歩くことに。
そして、風が強くもないのにバラクラバを装着。気温が-12度ほどと低かったため、鼻水が凍って少し痛かったからだ。
ひとまず到着。
ちょっとピンぼけしているけどスパイクとワカンの相性はこんな具合。
スパイクのでっぱりがワカンのベルトの位置を固定してくれているためか、何もつけずにワカンを履くよりも
ずれにくかった。これはいいかも(今更)。
鎖場もちらほら
ちょっと切れ落ち系。外すのが面倒臭くてまだワカン履いたまま歩いているので歩きづらい
大山に向かう最後の登り
甲武信〜十文字小屋間は2010年11月に一度歩いたことがあったのだけれど、すっかり記憶が薄れていて、歩いてみたら案外きつくて面食らった。こんなところだったっけか。。。
ようやく電波が入った
あと少し!と思いきやここからの急な下りがまた厄介な感じで。
つるつるに凍った鎖場。上から。
鎖場を下り終わったところから見上げて。
十文字峠といえばシャクナゲ群生地。というわけで冬の寒さに冬眠中?のシャクナゲ達のお出迎え。不気味・・・
到着
冬期小屋として小屋は解放されているため中に入ることができる。独り占め。
すぐ脇の蛇口からは水は出ておらず完全に凍結している。ここの水場は沢水なのできっと大丈夫だろうと思いながら水場まで下って行くと案の定水が流れていたので1.5L程汲む。
少し登ったところで水をとる。
右下に見えているホースは単に放ってあるだけで水が出てきている訳ではない。
手前は沢が凍っていて水がとりづらかったので、右奥の倒木のあたりまで登ったところで水を汲んだ
小屋はこんな感じ。きれい。小屋内に時計があるのでカチカチと音がする。
今日は小屋でいいや、と思って小屋で夕食をとった後ダラダラと本を読んでいたのだが、少し寒くなってきたので小屋の中にテントを立ててその中で眠ろうと思い、おもむろにテントを設営。その後お手洗いへ行こうとして21時過ぎに小屋の外へ出てみると、星のきれいな無風の夜、気温も小屋の中と外とで殆んど同じだった。強風や猛獣の危険があるわけでもなし、外で眠りたい気分になったのでテントやらシュラフやらを全部小屋から引っぱり出してお引っ越し。
既に小屋の中で建てていたテントは横に置いておき、いよいよ寒くなってきたり雪が降ってきたりしたらすぐ入れるようにしておこう、とも思ったのだが、よくよく考えてみたら、荷物は敷物やら枕やらで使ってしまうため、テントの中に入れておくオモシのようなものが何も無いことに気がついた。かといって何も入っていないテントが飛ばされないようにするためだけにこの時刻からわざわざガイラインを張るのも面倒臭かったので結局テントは畳んで足元に置くことにした。仰向けになって目を開ければそこには満天の星空。

2日目へ続く
ヤマレコはこちら

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