山における自分達の志向が定まってくると、志向の似た人同士で集い出す。
気付いたらマスタと私は、とあるチームの一員になっていた。
これまでも一緒に山へ入ったことのある仲間ばかりだけれども、想いが近いことを確認するかのように
山に入って行くのは、これまでとはまた一味も二味も違った気持ちの高まりを感じる。
事前に都内で勉強会と銘打った飲み会なんかもしたりして、まぁ兎に角山のことしか考えてない日々な訳で。
今回のメンバーはnutsさん、ワンさん、ハンさん、いのうえさん、マスタ、私の6名。
ハンさんの「クライミングシューズ忘れました」という衝撃の告白も何のその。一路二子山へ。
いのうえさん、マスタ、私にとっての初めてのマルチピッチ。
いつものゴロ寝。しかし想像したより涼しくて、シュラフカバーとかビビィとか何も持ってきてなかった私は 寒くて眠れず。まぁ眠れなかったのは緊張してたからだろ、という話もありつつ。 |
朝7時出発。ロープじゃんけんの敗者はワンさんとハンさん! |
登山道を30分ほど歩く |
祠前を通過。 |
二子山中央稜経験者はナッツさんとワンさんの2人だったので、この2人が同一パーティーに入ると
もう片方のパーティーが危なっかしいかもw ということで
ワンさん・マスタ・私、ハンさん・ナッツさん・いのうえさん の2パーティーに分けて進む。
で、何故だか我々のパーティーが先行。。。
折角のチャンスなので、「自力で二子山中央稜を登った」と言い切れるような登攀をかましてやりたいと
多少の闘志は湧くものの、如何せん目の前に聳え立つ岩壁は余りにも大きい。
1ピッチ目。下の方は割と登れそうに見えたので、トップ行きなさいよと言われるがままに
さしたる迷いも無く「行きます」なんて格好良さげに返事をしたものの、
自分でも驚くぐらい、取り付いてすぐに動けなくなる。最初のピッチが難しいなんて聞いたことなかったし
こんなところで躓いていたのでは先が思いやられる・・・
結果、時間はかかったが、どうにかこうにかフォールもなく登り切った。
終了点のスリングにカラビナをかけ、クローブヒッチでロープをフィックス。
2番手ワンさんはアッセンダーで登り、3番手マスタは私がセカンドビレイで登る。
前回の小川山でも実際に私がセカンドビレイをする場面は出て来なかったので、
今回が初めてのセカンドビレイだったということになる。
セカンドビレイの脳内シミュレーションが全く足りておらず、ワンさん到着後に静かに急かされつつ
ロープ引き上げ、からのセット完了、ビレイ開始。
それにしてもロープが重い。
それにしてもロープが重い。
自分がトップで登ってきて大分腕の力も精神的にも尽き気味で、しかもアッセンダーのワンさんは
あっという間に登ってきてしまったので、こちらは休む暇もあまり無かった。
なのに今度はビレイで右腕を酷使するとは。
ビレイ速度よりも登り手の速度の方が速くて全体的に追いつかない。
そうこうしている内にマスタがテラスに到着。
そうこうしている内にマスタがテラスに到着。
マスタがトップ、アッセンダーでワンさん、最後に私がセカンドビレイをしてもらいながら登る。
全員が2ピッチ目を終えて集まったのが多分9時半手前くらい。
で、9時半スタートで私が再びトップで登る。
3ピッチ目が核心だと言われていたので流石にココは私以外の人が登るんだろうと思っていたけれど、
1ピッチ目を私が登ったということは、順番からいって私が3ピッチ目もやるのだろうということは
最初から判っていたことだ。今更ごちゃごちゃ言っても格好悪い上に迷惑だし、
大体からして、ここで私が泣き言いってリタイヤするという展開は面白くない。
しかし登り始めてみるとホールドは無いし、クラックに手を突っ込んでも何も出てこないし、
挟まって休んだりしてみてもそんなのはただの気休めで、まだまだ先は絶望的に長く、
でも何故だかここでは「下ろしてもらおう」という考えはあまり出て来なかった。
無理だ、行けない、、、、とは何度も何度も思ったけれど、降りるというコト自体イメージできなかった。
下から聞こえてくる声に煽られ、鼓舞されながら兎に角上を目指すしかないと腹をくくる。
しかし体が危険を察して便意が止まらない(私の体がそういうふうにできているもので)。
どれくらいの時間が経っただろう、喉も乾いたし便意は相変わらず止まらなかったがどうにか登り切った。
その時は必死に岩に張り付いてもがいて、ランニングの間隔が開きすぎたところには支点を作って
そもそも生き方自体が生ぬるい自分にしてはかなり本気でアレコレ試行錯誤して頑張ったつもりだが
記憶力が弱いからか緊張しすぎたからか、登っている最中の岩の様子とかあまり覚えていない。
ただ、ゴールである大きなテラスが見えてきた時、嘘じゃなく本当に泣きそうになった。
実際は泣くだけの余力もなく、泣いている場合じゃなくてやることがあるって判っていたので泣かなかったけど。
到着して時計を見たら10時半だった。
ワンさんに「1時間やって無理だったら下ろしてあげる」と言われ、冗談半分に聞いていたが
まさか本当に1時間も岩に張り付いているなんて思いもしなかった。
下で待っていてくださった皆様本当にお待たせ致しました・・・
というわけでロープフィックスのコールをかけるとワンさんが、続いてマスタが登ってくる。
あまりの疲労っぷりを見兼ねてか、マスタのビレイは途中からワンさんが代わってくれた。
ただ、途中ルートミスをしたらしく、3ピッチ目の終了点から少しだけ登ったところにあるテラスで
一旦集合し、そのあと正しいルートで再びマスタが上を目指すことに。
名も無きテラスへの集合とあって、ワンさんはフリーで、私は確保してもらって登った。
4ピッチ目登攀中のマスタ |
アッセンダーが意外と怖くて、しかも3ピッチ目で力を使い果たしてしまっており、全然登れず。
(最初から大人しくビレイしてもらって登れば良かった・・・)
多分これが2ピッチ目とかに出てきていたら登れるであろう難易度と判りつつも手が言うことをきかない。
やむを得ず近くの支点にセルフをとり、8環をセット、アッセンダーを解除して懸垂下降。。。
ショボいwww けれど仕方ない。仮に突っ込んだとしても何度かフォールしていたと思うし。
死にはしないとわかっているフォールだから、それでも登れば良かったのかもしれないけれど、
もう腕がパンプしていて全然登れる気がしなかった。
結局この最後のピッチは、時間もなかったので2パーティーには分けず
1本のロープでナッツさん、ハンさん、ワンさんの3人がアッセンダーで上がり、
私はビレイしてもらって半ば引っ張り上げてもらうような形でどうにかこうにか登り切った。
どうせ懸垂下降で降りるのだからとザックもテラスにデポした。
いのうえさんは最後のピッチは登らずに、ワンさんと私がデポしたザック、そしてもう1本のロープと一緒に待機。
マスタが撮ったのでマスタが不在だけど終了点で記念撮影パチリ。 ハンさん最高の笑顔!でも足元はトレランシューズwww よくぞここまで登られましたね結構な変態ですねw |
クライミングならピーク踏んでもいいかなと思っていたけれど結局踏まずw
この徹底したピーク興味無し感。。。
では懸垂下降スタート。
ワタクシ下降中 |
ワンさん下降中 |
下りは3ピッチ。最後は60m2本を連結しての60m大懸垂。 ロープの回収はかなり冷や汗モノだったがなんとかひっかからずに回収完了。 最後の懸垂はナッツさん。 |
帰りのロープじゃんけんの敗者は私と、またしてもワンさん! |
甘辛ダレのしみたサクサクカツのクドさのないカツ丼はまた食べたくなる味。おいしゅうございました。
私個人としてはこれはもう近年稀に見る疲労感と緊張感のある1日だった。
カツ2枚乗せで800円! 隣においたタバコのサイズと比較してもかなりデカい。 |
一番疲れたのは矢張り3ピッチ目。終了点での放心状態たるやかつて経験したことがないくらいだった。
何だかもう全体的に刺激が強すぎ。
刺激の具合がどれくらいかといえば、それは喩えようも比較のしようも無いのだけれど。
正直、今はまだ手放しで「楽しかったーーー!!!」と言えない。
でも、山に於ける怖かった経験は、その経験をしてから一定時間を経過した後に
人生を変えるくらい楽しかった経験へと変化することを私は知っている。
きっと今後もずっとクライミングに出掛けていくことになるだろう。
核心ピッチ、トップでいったんですね〜!
返信削除しかも1時間登ってられるのはスゴイですね。自分は疲れてダメそうです、足もガクブルしまくりそうで…。
そして、相変わらず、わらじカツ丼はドデカイですね…。食べ切れなそう感がハンパないですね〜。
ya8giさん。
返信削除そうなんですよ~、良い経験させて貰いましたよ。1時間といってもランニングとってすぐのトコロとかクラックに半分体突っ込めるようなトコロとかで何度かレストしてました。でも夢中だったし必死でもあったので1時間あっという間でした。
わらじカツは、女性や子供向けの700円というのもあったんですが、さしたる迷いもなく通常サイズを頼みました!結局男性陣と同じだけ食らう点においてはブレがないwww(勿論完食)
今度はご一緒したいですね!急にお仕事予定入れられてしまって行かれなくなった悔しさを次にぶつけてくださいw