2014/05/05

20140503-05_チョキ-八幡尾根-金峰山-大日岩-小川山(3日目)

翌日はどうにか5時半過ぎに起きることができたため、7時前に出発。昨日ここが八丁平だろうと思って見ていた道標は、どうやら八丁平の道標ではなかったらしく・・・
八丁平だと思い込んでいたところ
こちらが正しい八丁平

もう少し進むと本当の八丁平の道標が現れた。とはいえ、実際の八丁平よりも手前の方が余程平らだったのだけれども。テープもトレースもある道をとことこ歩いていくが、割と危なっかしく切れ落ちたトレイルもあるため慎重にいく。お天気は下り坂。
猛々しい岩場がガスの中にうかぶ
北上しているからなのか、雪も次第に深くなり、踏み抜いた時のダメージは昨日や一昨日よりも大きい。。。小川山に到達したあと、本当はそのまま更に北上してあちばけダムの方まで尾根を下ろうとしていた。標高を下げて行けばそれなりに雪もなくなっていくのだろう、しかし一番雪の深い場所がおそらく一番地図読みが厄介なような気がしていた。ハタクボ頭へ下ろうとすると尾根の取り付きの等高線がぼんやりしていて難しそうなのだ。とりあえず山頂までいってから考えよう・・・
雪が深くなってきた
山頂が近づいてくると物凄いシャクナゲの藪だった。破線といえども一応登山道なのにこの藪の濃さは一体・・・。藪を潜り抜け、掻き分け、ようやく辿り着いた小さな頂上標。6畳1間あるかないかぐらいの小さな山頂で、辺り一帯はシャクナゲに囲まれている。
シャクナゲをかき分けながらテープを辿るとひょっこり山頂に飛び出す。別に頂になってないけどここが山頂なのか・・・
説明を追加
一度は北の尾根の様子を見に行ってみることに。藪が濃いのは山頂付近のごく僅かなエリアだけであり、そこを抜ければシャクナゲはもうほとんど無くて、もしかしたらこのまま元の計画通りのルートを踏破できるのではないか?という淡い期待が出てきた。とその時、ズボッと脚が股下くらいまで埋まってしまった。

これは・・・

この調子が暫く続いたりでもしたらとてもじゃないが明日下山できないのではないかという一抹の不安がよぎった。雪から脚を引き抜いて、その特徴の少ない尾根を眺めてからGPSを見ると、歩くべき尾根よりも少し西の別の尾根に乗りかかっていることに気が付いた。これは面倒臭そうである。なんだか自分の力量を超えた読図力が必要そうな気がする。iPhoneのGPSが死んだら多分終わりだ・・・(そしてその時、充電用ケーブルがApple純正品ではないことを示すエラーが表示されており、時折充電ができなくなるという現象が起き始めていた・・・)

シュラフのスペックを落としたことで夜よく眠れず、私自身が意外と今回疲れている上、スマホの充電エラー現象。それに今回はこれまでになく物を必要以上に落としまくっている。夏の登山靴にウールではない化繊靴下(しかも焚火で穴が空いた)+ゴアソックスだったが既に化繊靴下は濡れていて、その状態で踏み抜きを繰り返した足先は、とても冷たくなってしまっていた。テントのフライシートは持ってくるのを忘れてしまったから夜間に強い雨が降り出したらその雨をしのぐ術が無い。色々とフラグが立ちすぎていたので、ここは潔く諦めて下山することにした。目指すは廻り目平。
しかしここはクライミングで有名な小川山エリア。多少予想はしていたものの、想像以上に岩場が連続して現れた。アルミのハシゴがかかっていたり、トレイルの脇が綺麗に切れ落ちていてそれなりの高度感があったり。いやこれ意外とハタクボ頭に抜ける道の方が安全だったんじゃないか?などと思ったりなどしつつ。しかし景色は最高に良い。クールな岩場が遠方にいくつもいくつも連なっているのがよく見える。奇岩を乗り越えたり巻いたりしながら、アトラクションを楽しむように下っていく。これは登りで使ったらかなり辛いルートだろうなぁ・・・
振り返るとぽこぽこした岩のライン。なんだろうあれ?

シャクナゲのトンネルをくぐったりしながら漫然とトレースを辿っていたら、あれこんなトラバースするところあったっけ?となり、案の定トレースが間違って崖に突っ込んでいたりして引き返したりなどしつつ下る。
唐沢の滝を上から眺めてみたり。
もっと近くまで行けるルートもあったが、小雨が降り始めていたため近付く気力はなかった
そして展望台からは小川山のルートが一望できる。格好いい。


ここが展望台。

平気で梯子かかっていたりする・・・
ちょこちょこ戻ったりしながらもCTくらい下るとボルダリングの人のテントの鮮やかな色が見えてきた。予定より1日半ほども短くなってしまった山行だったけれども、欲は出すまい。1回の山行で1ヶ所でも、行きたかったルートを歩けたんだから良しとしよう。ハタクボ頭のルートはまた次にでも。

金峰山荘のお風呂に入ってから川端下(かわはけ)バス停まで1時間ほど歩くも、なんとバス停の位置がわからずうろついているうちにバスに追い抜かれてしまった。仕方なく秋川中央バス停まで更に歩き、結局全部で2時間半ほど歩かされてしまった。とはいえその道すがら、あちばけダムの向こうにハタクボ頭の尾根を観察することができたので、次回の参考としたい。遠くから見た感じでは、ダムよりも西の方へ下る尾根を使った方がよさそうだ。 否、次回このルートをやるとしたらやっぱり登りでやろう。くだりは間違ったときが怖いし。
この店、左側に見えているオレンジの店・・・ファミリーマートやまなかっていうw ファミマではないのだけれどもw
ひとりで破線や無線のルートを歩くことに慣れてはいないという緊張。30mロープとハーネスは持参したものの、懸垂下降した後に万が一上り返す羽目になったら正直ひとりでのぼり返しなんて無理なんじゃないかという不安。如何せん登った先が金峰山だから楽なわけがないという確信。そんな中で攻めた無線八幡尾根だったけれど、なんだかんだいってこれまで破線無線をたくさん歩いてきて「人がちょっとは入っているところ」「人がまったく歩いていないところ」の違いとか、例え藪が酷くて視界が見えなくとも道がどうついているかというような勘はうっすらついていたし、今となってはiPhoneのGPSという心強いパートナーがいるお陰もあったので、どうにか踏破することができた。

他の人の記録では、藪で心が折れそうになるとあったが、私はもっと酷い藪を経験していたので、心が折れそうにはならなかった。でもこれは人それぞれだし藪経験の多さにも拠るだろうから、安易に立ち入らない方が良いような気もする。しかし、かき分け、かき分け、参考程度につけられているテープが暫く現れなくて不安になりながらそれでも藪を漕いでいるといつの間にか少しずつ藪が薄れて突然握った細い木の幹にテープが巻かれていたりなんかして、おおっ!と声をあげながら進む感じ。 これだから藪は楽しい。

あんまり藪が深すぎる上にぼやけた地形だったりすると地図読みどころではなくてGPSに頼り切った山行になってしまう気がするので一概に藪に行くべし藪を漕ぐべしとは言えないのだけれど、地形がダイナミックな場所のハードな藪漕ぎというのが理想ではある。

一人で長くラッセルができる、という能力に似て非なる、一人で長く藪を漕げるという能力。すてきだ。また、先へ進みたいと思わせてくれるような力強い藪と対峙したい。ひたすらに。
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2014/05/04

20140503-05_チョキ-八幡尾根-金峰山-大日岩-小川山(2日目)

翌朝も晴れ。太陽の光が樹林に阻まれてテントに光が注がれず、ついつい長いこと眠ってしまった・・・出発は8時半過ぎ。幕営地点は丁度雪の有無の境界のあたりだったのだが、そのすぐ先からは残雪だった。踏み抜き地獄というほどではないにしても、忘れた頃にズボッとはまるので疲れる。
なんだかもう変わり映えのない藪の写真ばかり・・・。八幡山から先は藪がちであった。初日の藪漕ぎで既に腕が筋肉痛になりかけているというのにまた今日も藪漕ぎ。腕がだるい。(好き好んでやっているのだけれども。)
何が撮りたかったのだろう
テープはたまにあるのだけれど、欲しいとこにはテープがなくて、要らないところにテープがあったりする。その隙間を埋めてくれるのが境界見出標の赤い看板。ここ県境だからね。ありがたい。
出発して20分ちょっと経過した頃、シャクナゲの藪をぬけ小山に到達するとひょっこり祠のようなものが現れた。中を覗くことはしなかったけれど、どうやら中には水晶が祀られていたらしい。そもそもこのエリアは水晶が取れるらしいと聞いて興味を持ったのだけれど、結局今回の山行では一度も水晶なんて見かけなかったな。残念。
尾根をあがってくるとこのように祠を後ろから発見する感じに。
明らかにこのルートで合ってますよ、という印であるにも関わらず、この先のルートもよく見えないので不安になる。なるべく遠くを見る。近くに気を取られているとルートは見えづらいのだが、引いてみると見えてくるものがある。冷静に冷静に行くべき方向を見据えて、木々の重なりの薄いところを見分けてゆく。時に薄目になったりしながら、勿論GPSにも頼りながら・・・
木の根のオブジェ?やたらと綺麗に土がとれている。木が倒れてから大分経つのだろう
藪漕ぎの合間にたまに現れる岩場に乗り上げると、まるでご褒美のようにちょっとずつちょっとずつ小出しに素晴らしい景色を見せてくれるこの尾根よ。なんという飴と鞭。
遠くに何某かのアルプス(ではなく八ヶ岳のよう)
そしてまた藪。
天気が悪くてガスっていたら多分この昂ぶる感じは味わえないだろう。遠くからでもよくわかる五丈岩の特徴的な形が、サイズを違えて何度も何度も目に飛び込んでくる。
藪漕いで岩にのぼって視界が開けて五丈岩。
また藪漕いで岩にのぼって視界が開けて五丈岩(ちょっと大きい)!
またまた藪漕いで岩にのぼって視界が開けて五丈岩(さらに大きい)!!
この繰り返しがたまらない。年齢がバレるけれど、ゲームウォッチのドット感で遠方のものが次第に大きく表現される感じに似ている。経過がなくズン、ズズン、ズズズンと大きくなってくるのだ。いちいち「おおーっ!」と声をあげてしまう。単に目指す山が近付いてくるのとはまたちょっと違う興奮があった。
ずん!
左手には遠くの山々が。そして後ろでは富士山が見守ってくれている。
遠くの山(八ヶ岳のよう)
富士山どーん(見えづらい)
そして岩場。右へ回ったり、左へまわったり、上に乗ったりしながら進んでいく。
歩いてきた道を振り返る。アドレナリンの出る音というべきか・・・耳とも喉ともつかない頭の中央のあたりからグビグビグビというくぐもった音がしてくる。涙がこみあげるのとか、体がゾクゾクするのとか、そういうのととても似た感じでその音が私のもとにやってくる。たまらない。良い山行の証拠。
岩場というか、大きな岩がゴロゴロ積み重なって安定したところに到達。ここを越えれば稜線か?と思ったらまだだった。しかも途中でカメラを落とし、ザックを置いて引き返した・・・。見つかってよかった、ということでザックを遠くからパチリ(写真中央少し下あたりに転がっている青いのがザック)。この距離からだと、最後がなんだかガレ場に見えて不安になるけれど、この尾根の記録はたくさん残っている筈だし(あんまり見てこなかったけれど)、きっと問題なく登れるはず。
五丈岩が近付いてきた!
近づいてみたら矢張りなんてことはない大きな岩が積み重なっただけのエリア。小さく見えていた五丈岩や登山客の姿がどんどん大きくなって、いざ稜線に出るとなるともうちょっと泣きそうになった。よくここまで来たもんだなぁ。
因みに見積り3時間に対して、案の定と言うべきか4時間ほどかかった。初日のサングラス紛失に続き、チェーンスパイクやらカメラやら落としては引き返していたのが原因か(全て見つかったのでよかった・・・)。
歩いた道を稜線から振り返る
しかし私が歩いた八幡尾根は一体なんだったのか・・・登山道が賑わうさまに戸惑いながら五丈岩を見上げる。到達地は同じなのにこちとら疲労困憊、かたやのんびりとトレイルを楽しんでいる登山客。このギャップを感じるたびに、山って不思議なところだな、少しでもアプローチが変わると、もう全然違う山だもんな、と思わずにはいられない。「どの山に行くの?」と尋ねられる違和感はここにある。どの山に行くかはさして問題じゃない。どのルートでどこに抜けるのかが問題であって、その辿るルートにこそ意味がある。だからこそ山は面白い。
で、山としては、金峰山に行ったということになるんでしょうかね。じゃあ大弛峠から登っても金峰山は金峰山かというと全然意味が違うよね。自己満足以外の何物でもないけれども。
因みに前回はこのルートで金峰山に登りました。これも面白かったなぁ。
メジャールートはハイウェイ。整備された登山道の威力を思い知る。快適かつ雰囲気の良いトレイルをずんずん行く。


大日岩に到着すると、八丁平まで40分、大日小屋まで20分との道標と手元の地図とを見比べて唸る。山と高原地図の表記と大分違う気がする。大日小屋経由で八丁平に向かってもタイムロスはほとんど無いと踏んでいたけれど、道標の表記が正しければ、大日小屋をピストンして大日岩から八丁平を目指した方が早いことになる。
大日岩のあたりでロープをごにょごにょしていた方から声を掛けられ、かくかくしかじか伝えたところ、八幡尾根行ってみたいと話していた矢先だったとのことで話が弾んだ。ちなみにその方のブログはこちら
話によると、どうやら大日小屋をピストンして八丁平に行った方が早いみたいだったので、荷物をその場にデポして小屋付近まで下り、水を汲んで再び大日岩へ。八丁平までのルートは一旦岩を登って乗り越えてから下るとのことだった。岩には赤のペンキマークがあってルートは明瞭。
大日岩の上部


しかしペンキマークに従って一旦岩場を抜けると、一体そのあとどこをどう辿ればよいやらさっぱりわからないし、またシャクナゲの藪だし、踏み跡があるけれどあちこち歩き回っているし、そもそもその踏み跡の人が一体どこを目指して歩いていくのかもよくわからないのでむやみに辿る気にもなれない。明らかに尾根から外れているし、一旦尾根上の岩場に乗り上げようと木を掴んでゴリゴリと這い上がろうとしたが、途中でやめた。破線レベルでこんなに激しいルート取りはあり得ないだろう。降りてきてGPSを見ると岩場の左ではなく右側に道がついているように見えるけれど自分は逆側にいるよなぁ。これは一体・・・。
携帯の電波(au)が通じていたので、その場で地形図に示されたルートの信憑性を確かめるべくググることにした。すると「地形図のルートは間違っている、実際は岩場の左側に踏み跡がある」との記述を見つけた。ならば矢張りこの長く続く岩場は大きく大きく左側に巻き続ければ良いのだな・・・?

方向性が見えたところで、大きく大きく巻き始めると、ところどころ銀色のテープが巻かれていた。テープはかなり気まぐれでかなりまばらだったけれど、少しだけ役に立った。思ったより過激な破線だったけれど、小一時間ほどで八丁平手前に到着。八丁平まで行くよりこの辺の方が雰囲気が良いなぁということでこの辺りで幕営。
また木の根のオブジェ。
3日目へつづく

2014/05/03

20140503-05_チョキ-八幡尾根-金峰山-大日岩-小川山(1日目)

何年も前からあたためていたチョキからの八幡尾根ルート。
アプローチに時間がかかる上、ルートは無線である。山と高原地図には県境の線が引かれているだけだ。人が歩いた記録こそあれど、自分が1人で入ってどれくらいの時間で抜けられるのか見当はつかない、土日で行くには危険なルートだった。
折角のゴールデンウィーク、4日もあるのにこんな近場で済ませてしまうのもどうかという気はしたが、大好きな奥秩父で徹底的に藪を漕ぐのもまた一興というもの。

GWということで登山客も多く、韮崎発瑞牆山荘行のバスには臨時便が出ていた。直行便だとリーゼンヒュッテには停まらないので、直行日ではないバスに乗りリーゼンヒュッテで下車をする。当然連休初日の朝一のバスで、ここで降りる人など私しか居ない。この人なんでここで降りるんだろう、的な目でバスの乗客に見送られる。

舗装路をそのまま暫く進むと、木賊峠へ向かう道との分岐があるのでここを右に入り、また暫く歩いたあたりで左に林道への入口ががあるのでここから入ることにする。地形図を見ると顕著な尾根であり迷いようがなさそうだ。韮崎駅のトイレで水は3.5Lほど汲んであったが、最後にここの流れで喉を潤してから入山。
どこからあがろうか事前に頭を悩ませていたのが馬鹿馬鹿しく思えるくらい、少し登るとすぐに踏み跡があった。どこにでも物好きはいるものだな・・・
いきなり骨の歓迎を受ける…南無阿弥陀仏
登ったルートから右を見下ろして林道が見えることは予想していなかったのだが、西側の斜面を見下ろすと興醒めな舗装路が見え隠れしていた。地形図には無いように思えるけれど、新しく作られたのだろうか・・・
踏み跡はあるようでいてないようでいて。柔らかな土は登りにくい
こんなささやかな尾根道なのに、なんだかもう奥秩父感があるのだから流石のエリアだなぁ。なんともいえない想いがこみあげる。
1810m地点あたりで小さな尾根に乗る手前で少しだけ急登する。ここまでくればチョキのピークまではあと少し。日の目を見ないであろうピークだが、堂々たるその姿に意表を突かれながらグイグイ登る。なんというか、左右対称でとても美しく均整がとれた形をしている。
そしてついに到着。このピークに実線のルートで到達するには、木賊峠まで車で行く必要がある。八幡尾根でも行かない限りはただのピストンしかできないし、ピストンしても2時間くらいで終わってしまう。きっと行く人は少ないのだろうなぁ。勿論この日もここでは誰とも会わず。
こんなルートでした。
小腹を満たしてから八幡尾根に足を踏み入れる。踏み跡も明瞭。破線やら無線やらのルートを好む人であればきっと必ず目に付くルートである筈なので、歩いている人も多いのだろう。これは結構呆気なく終わってしまうかも?というある種の期待と不安がよぎる。
南側の斜面
そして尾根道
チョキのピークから1時間ほど歩くと少しだけがちゃがちゃしてきた。まだ序の口。
もっとがちゃがちゃしてきた。イライラさせるシャクナゲの藪が少しずつ。
ここは1900m付近に東南方面に現れた崩落地。ここに入ったら多分抜け出せないんだろうなと思わせるような蟻地獄のような谷底を右に見下ろす。万が一落ちたらどうやって抜けるかなぁと妄想したりなどしつつ、怖いけれどもついつい見てしまう白いガレ。
一歩足を踏み入れたらきっと下までいってしまうんだろう
がぼっと崩落している
私がこれまでに経験してきた藪の中には、他の追随を許さないような激しい藪もあった。だから、八幡尾根のような(一部の人に)名前の知れた尾根の藪がいくら「酷い藪漕ぎだ」と言われたり書かれたりしていたとしても、そこまで大したものではないだろうと少し高を括っていた。実際たしかに手応えのある藪漕ぎだったけれども、それぞれの藪がそう長く続かないので心が折れることはない。何時間も藪の中に居続けるようなことはないので、逆に何時間も藪の中に居るようなことがあれば、それはルートから外れていると考えた方がいいだろう。
因みに帽子に乗せてあったサングラスが藪に奪われてしまった。その程度の藪であったことは確かだ・・・(嗚呼・・・)
P2035かその手前のピークかは忘れてしまったが、どこかの平場にかつての生活のにおい。酒瓶はなかったかなぁ、一斗缶とワイヤー、トタン、空き缶などが散在していた。ここは廃道と言われているが、こちらの記録によると1988年の地図にはもうルートとして記載されていないらしい。一体いつまで登山道として歩かれていたルートとなのだろう。
エリアがエリアなだけに岩場や大岩もある。先の見えない岩場は無いので、先を見越しながらルートを考える。尾根の真上を歩いたり、巻いたり。ログはとらなかったので、どこをどうルート取りしたかの記録は残っていないけれど、それを考えながら進むのがまた楽しみのひとつだろう。因みに、どこだったか忘れたが、一度懸垂で降りようかと考えた岩場もあった。しかし降りてから登ることを考えたら相当大変だなと思い直してルートファインディングを再度仕切り直したところ、正しいと思われるルートが見つかった。トレースは、はっきりしているところはこれでもかというくらいはっきりしているのに、トレースが欲しいところではほとんど無い・・・というのがこのルート。でもうっすらとどこかに、歩き易いラインは残っている。それを嗅ぎ分けて進むのと、そうせずにゴリゴリ進むのとでは、所要時間や危険度はだいぶ変わってくると思う。地形図と地形を頻繁に見比べながら、五感を研ぎ澄ませて、GPSと相談しながら、一番良いラインをみつけていく作業を繰り返す。この作業は2日目の方が多かったかな・・・

遠くの五丈岩の姿が小さく小さく見えている。今はまだとても小さい。
写真中央あたりに五丈岩の姿が。
瑞牆山の猛々しいシルエット
結局とくに八幡山ピークになにか道標があった訳でもなかった(と思う)。ピークの少し先の等高線の幅が広がったあたりで幕営。今回連休後半で降雨があるとの予報が出ていたのでツェルトでもタープでもなくドームテントを持参してきたのだが、なんとフライシートを忘れてきてしまった。失意の幕営、しかしこの日の夜は強風で、樹林帯の幕営だったにも関わらずテントもかなり煽られたので、とりあえずドーム持ってきて正解だったなぁと思った次第。シュラフのスペックを落として、さらにダウンパンツも持参しなかったので、ドームじゃなかったらおそらく寒くて眠れなかっただろう。0度は下回っていた模様。

初めて中サイズのピコグリルを使ってみることに。下に断熱材を敷いて炊飯。大サイズのピコグリルと比べると若干火力を保つのが難しい気がしたけれど、なんとかお米も炊けてひと安心。おかずは手抜き、エスニックごはんの具 ガパオで夕飯とする。目玉焼き作って乗せたら立派なご飯になりそう。残ったご飯は翌朝カップスープに浸して一煮立ちさせリゾット風に。
ギリギリ焚火缶小が乗る・・・見た目は結構危なっかしいけれど、意外と大丈夫。
テントのすぐ近くでやったのでちょっと火の粉が怖い
2日目へ続く