有り難いという言葉の本来の意味と、普段使うアリガトウという言葉のほんの僅かな乖離を想う。
想ったところでそれはいつも堂々巡りで正解は無いし、
その乖離自体あるかどうか他人にはわからない程度の主観的なもののような気もするので、
想いを巡らせることそのものが極めて不毛である。
大抵それを想うのは、自分が有り難い状況下にあってその状況にしみじみと感謝するような時。
つまりはアリガトウと言いたくなる時なのかもしれないのだけれど、私の中では僅かにズレがある。
状況に感謝を捧げるような瞬間を多く与えられるような経験が続くと、
所謂アリガトウという言葉を使うハードルが今以上に高くなってしまうかも知れないと危惧したりもする。
そもそも私が心からのアリガトウを捧げるハードルは割と高いって自覚しているのに。
矢張りこういうのは本当に有り難くて在り難い。こんな状況下に在ることは難い。
回数重ねると麻痺しそうになるけれど麻痺してはいけない。
梅雨ど真ん中、6月の土日。
無線ルートに入ろうにも若干の不安が伴い、沢へ行こうにも増水が怖い。
元々この日、ハードな山行を組む予定もなかった私は、メジャールートで気楽に行ける奥多摩の
MYOGハイクなら雨でも別にいいだろうと思い、飲み会気分で1人参加するつもりだった。
MYOG(make your own gear)、自分のギアを手作りしている仲間との気軽な山行。
私自身はギアと呼べるようなものは作っていないしそもそもミシンもないのでMYOGerと呼べないが
欲しくても高くて買えないとか買うのがバカバカしいかなと思う物については
彼らの影響を受けてチマチマと作るようになり始めた。
自分はその程度なので、今回は「作品を拝見させていただく」つもりで参加する予定だったのだが
作品を見せ合いましょうという目的で集うのに、雨じゃ矢張り都合が悪い、
ということでイベント中止が金曜日に決まった。
まぁ雨で走れないし、明日からの土日で何か山行を決める時間の余裕もないし、
自宅で腐るしかないよねと思っていたら、流れで別の山行に吸収して貰えた。
というわけで私と、同じく吸収されたワンさんを含めた合計7人で金曜の夜から水上へ向かう。
めくるめく行き先変更、からの出発。
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金曜深夜に目的地よりも手前の道路でゴロ寝を決め込む。屋根があるのに朝起きたらなんと浸水してた! |
翌朝は遅めの出発、チャリは3台。あれこれチャリの調整などを現場で行なってから
雨の中を幕営地点までゆるゆると進む。山菜採りのため、今回もルートは内緒で。
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★なんだか北アのタラノメよりもトゲトゲが尖っていた気がする。素手だと痛い! |
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今回新しく覚えた「ハリキリ」という山菜。タラノメにちょっと似ているけど額が赤い。
味はタラノメよりもアクが強めで、翌日になると美味しくなくなるらしいが当日だとかなり美味。 |
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★ハリキリ |
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ひゅーんと伸びているのはトリアシショウマ。これに似ていて茎の色が緑色をしているのがヤマブキショウマ。 |
その他前回も採ったウドやタラノメ、コシアブラ、フキノトウなども採れた。
しかしコシアブラは今年の気候×このエリアではまだ早かった模様。小さな小さな芽がたまに
ちらほら出ている程度だった。因みに残雪はちらほら程度。もう大分溶けていた。
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幕営地点到着 |
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まずは巨大農ポリタープを張る |
タープが張れたら適当に自分の居場所を整えて落ち着いて、釣り人達は釣りに出発。
竿は買ってあったがラインとかハリスとかまだ何も揃えてなかったので、私は今回竿持参せず。
というわけで釣り人をヨーコさんと共に見送り、留守番がてら山菜を洗って待機とする。
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ジャンさんの毛鉤 |
それぞれ沢から戻ってきて調理を始める。
と、魚ではないお土産を携えて戻ってきたのはタンさん。
幕営地に持ち帰っていらした時には既に頭は落としてあったので動く様子は見られなかったけれど・・・
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★シマヘビだそうです、一緒に釣りに入っていたワンさんだけが
この笑顔と動く蛇を見ることができた、いや実に嬉しそうw |
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朝ご飯にjoさんの山菜パスタ。残っている山菜をあれこれ突っ込む |
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更に山菜チャーハン |
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これがまた美味しかったこと |
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と、ヨーコさんのテントにぬらぬらしたナメクジ跡が。よくよく見たらこんな巨大なナメクジ! |
朝食が終わってのんびりした後、沢割をしてそれぞれ出発。
沢靴を持ってきておきながら使わずに持ち帰るのも悔しいので、私も釣師を追って沢を歩くことに。
皆には釣りを楽しんできて頂きたい、でも自分も沢行っておきたい、
だったら釣りビギナーのワンさんとセットで私がついて行って、1ヶ所だけ犠牲にするのが良いだろうと勝手に判断。
初日はタンさん×ワンさんの組み合わせだったが、今日は
ナリさん×ワンさんの組み合わせ。
ココへ私も乗っかることにした。
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歩いている内にどんどん晴れてきた。気持ち良い! |
この沢も今朝までの雨で増水したようで流れも速く濁流である。
沢に降りてすぐ、深くて流れの速いところをグラリと流されかけながらの渡渉でスタート、
いきなり腰まで浸かって何だか色々とどうでも良くなる。
しばらく歩きやすい場所を歩いたと思ったらうっかりまた腰まで浸かったりなどしつつ。
一応スマホを防水ポーチに入れる。カメラ用のジップロックが無いのでヒヤヒヤしつつ。
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ナリさんから指導を受けるも、ワンさんのラインは絡まり続ける・・・
そしてしなやかに伸びるナリさんのライン・・・しかし釣れず |
そういえば今回の釣師は全員フライだったんだけれど、
ふと家に帰ってきてから思い出したのがこのCD、
The Blue Pearl Bohuslan Big Band plays Lars Jansson
1曲目のタイトルがFlyfisherっていう。自分の居たバンドでも演奏したことがある。
YouTubeにはUPされていなかったので、上のはアマゾンのリンク。
私も実はMDでしか持ってない気がするので久しく聴いていないけれど、
これってフライフィッシングをイメージして作られた曲なんだろうか。
そう言われてみればそんな風にも聞こえてくる。渓流釣りの繊細且つダイナミックなイメージが重なる。
何も釣れずに戻ってくる道すがら、朝食の頃に入ってきたオジサマ釣師さんと再び出くわして談笑。
餌釣師だった彼らは大物を何匹も釣ったようで満足気だった。
鼻高々ついでにネマガリを一握り分けてくれたのでお礼を言って別れ、幕に戻ってくると
更に大量のネマガリがあった。どうやらいろんなオジサマ達が、留守番をしていたヨーコさんのためにたくさん分けてくれた模様。最後の収穫祭を粛々と行うことに!
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雨もぱらついたけれどなんとか最後まで天気はもちこたえた |
今季私にとって2回目の山菜で、しかも1ヶ月と間をあけなかったということもあり、
かなり山菜の記憶が定着したような気がする。
来年まで覚えていられるのかはなんとも言えないところだけれど、1回しか行かないまま
シーズンを終えるのではなく、2回行って自分の目で見ることができた意義は大きい。
特に感じたのは、香りで確信が持てるようになったなという点。
食べたことがないものを採って香りを嗅いで、「これは香りを嗅げばわかるから」って言われても
初回は正直よくわからなかった。
確かに山菜ぽい香りはするけれど、なんだかタダの香りの強い草のようにも思える・・・・
しかし一度食べたものだと、同じ香りを嗅いでいる筈なのに感じ方が全然違う。
特にコシアブラ。これだっけ?と採ってみて香りを嗅ぐと、食べた時に感じた風味の記憶と繋がって
すぐに「これはコシアブラに間違いない」という確信に変わる。これは2度目以降でないと分からないと思う。もうそろそろこの辺りでは山菜のシーズンも終わるけれど、また来季以降も山菜を味わいたいものだ。覚えていられるかなぁ。
尚、写真の説明の最初に★がついているものはワンさんが撮影したものです。
janさんによる記録は
こちら
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高速乗る前に手作り餃子でシメました。てかよく食べるよね。 |