2013/01/11

20130110-11_毛木平-甲武信-十文字峠-柳小屋-川又(2日目)

温度計の調子が悪かったのか何なのか理由は良く判らないが、日中-10℃くらいだった割には夜になってもそれ程気温は下がらず、せいぜい-14℃くらいでおさまった。途中何度か目が覚めたものの、明け方一番の冷え込みが終わると若干暖かくなり、目覚める手前の1時間くらいはかなり熟睡できた気がする。
■1月11日(金)晴れ
8:00 出発
↓ - 0:19
8:19 白泰山・股ノ沢分岐
↓ - 2:35
10:54 真ノ沢吊橋
↓ - 0:06
11:00 真ノ沢林道分岐
↓ - 0:07
11:07 柳吊橋・柳小屋
↓ - 0:30(行動食&トイレ休憩)
11:37 小屋出発
↓ - 2:32(凍結箇所突破に30分近く費やす)
14:09 赤沢吊橋
↓ - 0:58
15:07 林道(舗装路)
↓ - 0:38
15:45 川又BT
朝起きてからもう一度水を汲みに行こうかとも考えたが、今日のルートはほとんど沢沿いなので、どこでも水は手に入りそうだなと判断し、残りの水450ml程で出発。
元々メジャールートなので、始めのうちはルートは明瞭だった。トレースはなし。
ここで白泰山側と柳小屋側とルートが分岐する
以前、タツマノ尾根・シャクナゲ尾根をやった時に白泰山の方へ上がって甲武信へ抜けたのだが、ここから先のルートは記憶の中の白泰山の尾根道と少しは似たような雰囲気があるのかな、と漠然としたイメージを持って進む。かたや尾根、かたや沢沿いなので全然違うのはわかっていたのだが、なぜか勝手に似ているものと思い込んでいた。当然全然違う。なんだか今回のルートの方が大分過酷。というか道がよくわからないし本当にメジャールートにしておいて平気なの?という感じ。季節的なものなんじゃないかな、とも思ってみたが、雪のない場所も矢張りトレイルがわかりづらい。ルートサインが割と豊富についているから良いものの、明らかに間違えて突っ込んでいる踏み跡というのも多数あったし、私自身も細かい間違いは幾度となくあった。
崩落地があるな・・・と左にこの崩落箇所を見やりつつ、
まっすぐ進もうとしたらこの右側を下って行くルートが正解だった。正解ルートはすぐわかるけれど
崩落地を見てその脇にトレイルがあるとはあまり思えない気がする、、、
写真に残すまでもなく、目で実際に見ていても「え、ここが正しいルートなの?」と目を疑うような曖昧なトレイルばかり。慎重に進む。
これ道?
そして当然沢沿いなので沢が凍結していたりとか。慎重に渡る
たまにロープあり(別になくても平気だけれど)
またまた凍結
1600m程のところでトレイル上に水場的なものを発見。他にも水が汲める場所はたくさんあったけれど
とりあえず飲みやすかったのでここでコップ2杯ほど水を補給。普通においしい。
場所は忘れてしまったが尾根を乗っ越したところに大岩と、それを祀るような祠があった。
真ノ沢と股ノ沢の出合に到着。真ノ沢側にかけられた吊橋を渡る。
橋の右側から左に向かって流れるのが真ノ沢、左側の手前から奥に流れるのが股ノ沢。
股ノ沢
奥から手前に向かって流れている真ノ沢
確かにこの季節にしてこの量ということは水量多いような気がする。夏場豪雨の後って一体どれくらい水量多くなるんだろう。。。因みに、見える範囲の真ノ沢は全然険しいところもなかったが、グレードの低い沢という訳でもないので、詰めていくとそれなりにキツいんだろうな。
文字が消えかけているけれど、「真の沢林道分岐」と書かれている。
エアリアだと、赤ではなくベージュ色みたいな薄い色の破線になっているのが真ノ沢林道。
こんな立派な道標が残っているとは知らなかったので少し感動。下の写真で私が指を指している方が真ノ沢林道。右下のトレイルを奥から手前に向かって歩いてきた感じ。真ノ沢林道についてはこちらあたりをどうぞ。有名な破線なのでそんなに難しくないんじゃないかという気がする。いつか歩いてみたい。
名も無い鉄製の橋がいくつかかかっているのを越えていくと柳小屋に到着する
おお!見えた!
柳小屋は15周年リニューアルということで(初めて来たのでどこがどのようにリニューアルされたのかはよくわからなかったが)中も外も物凄く綺麗だった。夏場は釣り人がよく泊まる小屋らしいとは以前に聞いたことがあったのだが、まな板や竿なども備品として置いてあった。雑記帳などもわざわざ100均のビニールポーチのようなものに入れてあったりして芸が細かい。シュラフもあり。
雑記帳をぱらぱらめくると、川又からここまで歩いてきた人の書き込みを見て少し血の気が引く。「ここまで来るのが大変で、滑落しそうな切れ落ちたところがたくさんあって生きた心地がしなかった」「途中で歩く気力を失いかけたところに柳小屋が現れてほっとした」・・・というような文章がいくつか目に付く。ダラダラ長い沢沿いのゆるふわトレイル歩き、と勝手に思い込んでいたけれどもどうやら大分違うようだ。地形図をよくよく見ると沢から大分高いところにトレイルがついているようだった。また、沢に対して何本も細かな谷筋があったりするのがわかる。まぁ進むしかないので、とりあえず行動食を食べて再出発。

と、出発早々トレイル凍結。最初の凍結箇所はどうにか突破したのだが、次に現れた大凍結、足元はチェーンスパイク。最初に突破した凍結箇所はまだどうにかなったが、ここは滑って落ちたら結構洒落にならない。頭をひねる。
まずは正規ルートの強行突破を試みる。足を下に向かって氷に蹴り込んで歩いてみようとするが、スパイクが刺さらない。普通にアイゼン持参していれば難なく歩けたのだろうな、と若干後悔しつつ、後悔しても仕方が無いので次の対策を考える。
何本もロープがかけられているのだが、この使い方がよくわからない。。。
カラビナで確保しろってことか?と元の位置に戻ってきて初めて思った。
しかし確保のお陰で滑落しなかったとしても、
ソロでこんなところで宙ぶらりんになったところで対処のしようがない。
トレイルの下方を見下ろすと沢なのだが、勢いがなければ滑落しない程度の斜面であるので、ゆっくり歩いて降りることは可能だろうと判断。少しだけ下を巻いて、凍結していないトレイルに向かって攀じ登るのはどうだろう、ということでトレイルを外れて下りてみる。持ってきたものの使うと思っていなかったが、ここへきてまさかのピッケル登場。

降りることはできたが登れなかった。実際その場に立ってみたら、傾斜や岩の状態が良くなくてどうにも手が出ないというありがちな状況。よく見たら若干ハングしているし、ホールドには悉く氷がついているので滑って握れない。ピッケルをアイスクライミングのようにして使って登ろうとしても、ピッケルが1本なのでどうにも上がれなかった。無理をして滑落したら余計面倒なことになる。

その場で更に考える。もっと沢の方へ降りて、トレイルから離れたまましばらく進んだのちにトレイルに復帰することはできないだろうか。GPSを見ると、この後更にトレイルと沢は遠ざかり、暫く両者が近付くことはないようだった。トレイル上の凍結でさえ越えられなくて苦戦しているというのに、沢に近い場所の凍結をこのスパイクで突破できるとはとても思えなかった。とりあえず一旦元の位置に戻ってもう一度考えよう。

そしてトレイルに戻る。もう一度よく見て、上部に攀じ上がってからトレイルに降りて復帰するのはどうだろう、と考えた。なんだかそれは下に降りるのと同じくらい危険なような気がしたので却下。更によくよく凍結箇所を観察すると、氷の表面が傾斜しているのは最初の数歩だけで、その後は岩に近い場所がわずかに平になっているのがわかった。最初だけ時間をかけてゆっくり進んだら、あとはその平らなところに乗れば滑らないんではないか?
核心は前半の傾斜した氷。どうにもスパイクが効かないので、足を乗せる場所を予め決めてピッケルでガンガン穴をあけて氷の表面をゲジゲジにしてやる。そこへ足を乗せる。ホールドは無いので、ピッケルのピックを壁面に打ち込んでどうにかホールドの代わりにする。足を出す度に足元をゲジゲジ掘るので面倒臭い上、立っている所が決して安定している訳でもないのでかなり際どい作業が続いたが、どうにか平らな凍結箇所まで到達したのでほっと一安心。不安なところはまたピッケルでゲジゲジ削って進む。時間はかかったがどうにか事故もなくクリア。やれやれ。。。

因みにこの、確保用にしては大分高いところにあるなと思ったロープは、実は元々もっとトレイルの近くにあったらしい(多分登山客が掴んで渡るための補助ロープ的なものだったのだと思う)。崩落が進んでこんな意味がないような位置になってしまったのだとか。

その後も崩落地など多々あり。メジャールートならばもう少し直しておいた方が良いのでは、とも思ったが、どうやらこれも2012年10月に直したばかりなのだとか。土質が脆いせいで崩落は今も進んでおり、最初の崩落時と比べて大分傾斜がきつくなっているらしい。
ようやく赤沢吊橋到着!
ここまでくればもう大丈夫(のはず)。一息ついて橋を渡ると、沢沿いの入川森林軌道の跡を辿るゆるふわトレイルに突入。赤沢谷出合に立てられていた看板によると、この入川森林軌道は昭和23年から45年間にわたって使われていたのだとか。平成に入ってもまだ使われていたのかーと思うとなかなか感慨深いものがある。
沢沿いの軌道跡。今来た道(右上)を振り返って。
トレイル上やトレイル脇に軌道が見える
歩きやすい
ところで、今回の山行の初日から幾度となく凍った流れを目にしていて、それを表現するとしたら何て言葉が丁度いいだろう?とあれこれ考えていたら、カルピスを飴にしたみたい、という表現に辿り着いた。しかし氷にも色々な表情があって、カルピス飴だけでは表現しきれなくなってきて、うーん、でもこれ、どこかで見たことのある質感なんだよなぁ、なんだろなんだろと氷を見るたびにもやもやしていた。
ええとこれなんだっけ
で、最終的にひらめいたのがこの琉球ガラスの写真。実際に手に取って見たわけではないので、実物がどうなのかはわからないのだけれど、某友人が友人から貰ったというガラスにそっくりだったんだ。自分の中で非常に納得がいってスッキリ。
ガチガチ
そして森林軌道跡が雪の下から見え隠れ。雪が溶けてから来たら軌道跡が思う存分楽しめそう。いや大分マニアックな楽しみ方だけれども。
おつかれさまでした、
久しぶりの秩父鉄道&お花畑駅乗換だったので、駅前のはなゆうで天ぷら蕎麦食べたいなーと思っていたのだけれども、時間的に遅かったのか店は閉まっており泣く泣く断念。しかしあまりにお腹がすいていてこのまま帰れる気がしない。別に急いで帰る必要もないという折角の貴重なタイミングな訳だし、morioさんに教えて頂いた高砂ホルモンへ行ってみることにする。どうやら有名店らしいが、入店した時間が少し早かったのか、金曜夜にしては空いていて、子供連れのお父さんが1人のみ。
ザック背負った女が一人で暖簾くぐっちゃうよ?いくよ??
店に入り、後ろ手に扉を閉めているにも関わらず「何名様?」と2度聞かれる。いや、一人です。見るからに一人でしょw ていうかすみません一人です(何故謝る)。

ビールは大瓶の1択。チューハイもあったけれど矢張りビールが飲みたかったのでやむを得ず大瓶で頂く。ここ来るの初めてよね?と店員のおばちゃんから指摘を受け、あれこれ指導して頂きながらとりあえずレバーとシロとカシラをオーダー。各400円ほど。それから〜、とメニューを見ながら悩んでいると、おばちゃんに「いやまずはこれくらいで」と止められる。待つこと暫し。
え・・・
お皿のサイズは25cmほどあっただろうか、、、そこにこのてんこ盛り具合!食べきれるかなと一瞬心配はしてみたものの、美味しすぎてあっという間に完食。更にレバーのお代わりとライスを頼み、これも完食。当然お代わりする時にはお会計と勘違いされて、一旦金額を伝えられてから、スミマセンお代わりなのですが、と詫びを入れながら追加オーダー。鮮度も良くて本当に美味しかったし、おばちゃんが何度か横にやってきては「美味しいでしょ」と声を掛けてくるという様も好感が持てた。こういう店好きだよ。

それにしても山で思い切り歩いて楽しんだ後の美味しいものって最高。&奥秩父LOVE!

派手な山もいいけれど、矢張り一定期間毎にこのエリアに回帰してくる自分の性質はきっと何年経っても変わらないだろう。この辺りには散々行きまくっていて、最早歩いていない場所はなくなりつつあるけれど、それでも行く度に山々は表情豊かで、軽やかに私を惑わし続ける。毎週奥秩父に通うようなことはもうないような気がするけれど、少し間があくと足を運びたくなるそんな場所だ。

1日目はこちら
ヤマレコはこちら

2013/01/10

20130110-11_毛木平-甲武信-十文字峠-柳小屋-川又(1日目)

誰とも会わなかった。ソロで山歩きをして誰にも会わなかったのは実は初めてのことだったかもしれない。
たったの2日間だったけれど、その山行の間、私は自分のペースで歩き、休み、勝手に起きて、食べて、眠った。それはあたりまえのこと。そこにはいつも尾根と谷、岩と沢、空や星、雪や氷があった。私は幾度かワーとかウォーとか言ってみたり、「サイコーだなー!」とか叫んだりしていた。大声で歌も歌った。ブツブツ独り言もたくさん言った。泣いたり笑ったりした。人と一緒に行く山というのはそれはそれで楽しいのだけれど、一人で行く山というのも最高に楽しいものだ。歩いたルートは月並みだったかも知れないが、何気に色々と実りの多い山行だった。

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1月の三連休は八ヶ岳あたりに行こうと思っていたのだが、連休初日の12日に予定が入ってしまって連休が使えなくなった。その為、大慌てで計画を立て水曜夕方に都内を出発、久しぶりの奥秩父を目指した。

今回の目的は、幾度となく踏んだ甲武信ヶ岳へ初めてのルートから上がってみること、そしてこれまた初めての十文字峠〜柳小屋経〜川又ルートを歩くこと、の2つだった。

特に柳小屋というのは随分前から個人的に気になっていた場所にある小屋だったし、長いこと行ってみたいと思っていながらもなかなか行かれずにいた場所だった。そもそもこの川又から十文字峠の間にあるルートというのはなんだか得体が知れなくて、私にとっては少し不思議で不気味な存在だった。深いような深くないような位置にあって凄く地味だしアクセスは悪いし、奥秩父は散々歩いてきたけれどもここだけはまだ殆んど歩いていない。廃道もいくつもあるし足を踏み入れたいなと思いつつ、如何せん公共交通機関を使ってのアクセスだと中々難しくて時間もかかるため、行く機会に恵まれなかったのだ。

また、昨夏計画していた真ノ沢遡行も、悪天候や日程的な都合で叶わずじまいだった。入川水系は水量が多いと言われているので、遡行予定の数日前に集中豪雨などがあって水量が増えると遡行グレードが上がってしまうらしい。今年こそ遡行してみたいと思っているので、この時期の入川と真ノ沢の水量がいかほどのものか見ておくのも良いだろうと思った。
■1月10日(木)晴れ
7:35 梓山BT
↓ - 0:52
8:27 毛木平駐車場
↓ - 0:20(休憩&装備チェック、登山届投函)
8:47 駐車場出発
↓ - 0:39
9:26 慰霊碑
↓ - 0:53
10:19 ナメ滝
↓ - 1:00
11:19 千曲川信濃川水源池
↓ - 0:23
11:42 稜線
↓ - 0:37(国師側へ抜けるかかなり悩んで立ち往生)
12:19 甲武信ヶ岳山頂
↓ - 1:03(途中でワカン、バラクラバ装着等で時間を食う)
13:22 三宝山
↓ - 0:35
13:57 尻岩
↓ - 1:42
15:39 大山
↓ - 0:25
16:04 十文字小屋
9日夕方に都内を出発し、その日の内に信濃川上駅まで行くつもりだったのだが、小淵沢駅の乗換えに失敗。小淵沢の到着時間を勘違いしており、うっかり一時間近くも乗り過ごす失態をかます。気付けば塩尻駅(松本のちょっと手前)。。。当然信濃川上への電車は終わっているため、仕方なく小淵沢駅にてステビすることに。最寄りのコンビニは14分くらい歩いたところにあるデイリーヤマザキJA梨北小淵沢店。信濃川上駅の近くにコンビニがなかったため、翌朝の朝食やら行動食やら含めて少々の買い出しに行った後に就寝。
改札を出て右側の駐輪場。すぐ脇にトイレと小さな公園、飲料用の水場がある

幸い、小淵沢から信濃川上までの始発が、信濃川上発の始バスに接続するようだったので時間的なロスはなくて済んだが睡眠時間は少し削られてしまった。やれやれ。
信濃川上到着、駅の近くにはコンビニなどは何もない
電車到着後10分足らずでバスがやってくるので急いで乗り込む。しかし停留所のアナウンスもなければ電光掲示もない。一体どこが停留所なのかよくわからない。事前に調べた到着時刻と現在時刻を照らし合わせながら、そろそろ着く頃かなというところで運転手さんに声をかけて下ろしてもらう。こちらが梓山のバス停。特に何もないが、少し進むとまたデイリーヤマザキがある。ここが最終コンビニ。自販機もあり。
公共交通機関利用の場合はここから先の舗装路を徒歩で進むしかない。
車なら毛木平の駐車場まで入れる
しばらく歩く
到着
ここに一応トイレと登山届のポストがあるのだが、トイレの方は冬期閉鎖とあり利用ができない。写真左奥の車止めのあたりからトレイルがスタート。
トイレの奥に東屋があり、そこに掲げてあったコース案内図。
私のこの日のルートは、右下のゆるやかな傾斜で甲武信まで登り、アップダウンのある道を辿って
十文字峠まで行くというルート。
しばらく沢沿いを歩くがひたすら凍っている。きれい。 
渡渉のような、、、氷歩き
たまに渡る必要のある沢はいちいち凍っていてツルツルに滑る。少し緊張。
雪は積もっているがトレースがしっかりついているので歩きにくさは無い
結局ほとんどCT通りに到着。
元々は十文字峠に進む予定でいたのだが、ふと稜線に上がって国師ヶ岳方面に目をやると、割としっかりとしたトレースが着いていた。このルートをトレース無しでCT通りに進めると思えなかったし、トレースがあるとも期待していなかったので、今回この日程でここを通過するのは無理だろうと思っていたが、いざトレースがあるのを見てしまうと心が揺らいだ。今日中に大弛小屋まで着けるのかなと思ってCTを計算してみるとどうやら無理そう。だとしても、途中にいくらでも平らな地形がありそうだし、途中でビバークして進むこともできるだろう。一度は行ったことのある十文字峠の冬期小屋のある脇で安全に幕営するよりは、ここの稜線で幕営した方が余程楽しいのではないか?自問自答が続く、、、
国師ヶ岳側のトレース
しかしここは電波が通じない(実は今年になってauに替えたばかり)。もしも国師に抜けるルートを辿るとしたら、甲武信の山頂まで上がってからここに戻るとなるとタイムロスにはなる。とはいえ甲武信の山頂で電波が拾えるかも知れないしとりあえず登ってからもう一度考えよう、ということで登頂。
雪はそれほど無かった
しかし山頂でも電波は入らない。仮に国師に抜けるルートを取って、ルート変更のことを誰にも伝えないまま事故があった場合、家族や登山届で伝えてあるルートとは異なるため、捜索が難しくなる。そして現在ラジオ紛失中のためラジオも持っておらず、翌日の天気もよくわからない。更に言うと、国師に抜けるルートは夏も歩いたことが無い初めてのルートだった。

この天候と日程的には是非是非国師へ抜けたいと思う気持ちは強かったけれども、条件として良くないと判断して泣く泣く元の計画通りのルートを歩くことに決めた。積雪期にいつか歩きたいと思っているルートだったので、こんな近くまできて諦めるというのは非常に残念だったけれど、万が一のことを考えると矢張り突っ込まない方がベターだったのかなと(行ったルートは行ったルートでそれなりに大変だったけれども)。
割と雪が深い
トレースはあったのだけれどそれほどしっかりしたものではなく、前に歩いた人が踏み抜いた跡だらけで非常に歩きづらかった。大してもぐる訳でもなかったが、明らかにワカンの方が歩きやすそうだったので、スパイクの上からワカンを装着して歩くことに。
そして、風が強くもないのにバラクラバを装着。気温が-12度ほどと低かったため、鼻水が凍って少し痛かったからだ。
ひとまず到着。
ちょっとピンぼけしているけどスパイクとワカンの相性はこんな具合。
スパイクのでっぱりがワカンのベルトの位置を固定してくれているためか、何もつけずにワカンを履くよりも
ずれにくかった。これはいいかも(今更)。
鎖場もちらほら
ちょっと切れ落ち系。外すのが面倒臭くてまだワカン履いたまま歩いているので歩きづらい
大山に向かう最後の登り
甲武信〜十文字小屋間は2010年11月に一度歩いたことがあったのだけれど、すっかり記憶が薄れていて、歩いてみたら案外きつくて面食らった。こんなところだったっけか。。。
ようやく電波が入った
あと少し!と思いきやここからの急な下りがまた厄介な感じで。
つるつるに凍った鎖場。上から。
鎖場を下り終わったところから見上げて。
十文字峠といえばシャクナゲ群生地。というわけで冬の寒さに冬眠中?のシャクナゲ達のお出迎え。不気味・・・
到着
冬期小屋として小屋は解放されているため中に入ることができる。独り占め。
すぐ脇の蛇口からは水は出ておらず完全に凍結している。ここの水場は沢水なのできっと大丈夫だろうと思いながら水場まで下って行くと案の定水が流れていたので1.5L程汲む。
少し登ったところで水をとる。
右下に見えているホースは単に放ってあるだけで水が出てきている訳ではない。
手前は沢が凍っていて水がとりづらかったので、右奥の倒木のあたりまで登ったところで水を汲んだ
小屋はこんな感じ。きれい。小屋内に時計があるのでカチカチと音がする。
今日は小屋でいいや、と思って小屋で夕食をとった後ダラダラと本を読んでいたのだが、少し寒くなってきたので小屋の中にテントを立ててその中で眠ろうと思い、おもむろにテントを設営。その後お手洗いへ行こうとして21時過ぎに小屋の外へ出てみると、星のきれいな無風の夜、気温も小屋の中と外とで殆んど同じだった。強風や猛獣の危険があるわけでもなし、外で眠りたい気分になったのでテントやらシュラフやらを全部小屋から引っぱり出してお引っ越し。
既に小屋の中で建てていたテントは横に置いておき、いよいよ寒くなってきたり雪が降ってきたりしたらすぐ入れるようにしておこう、とも思ったのだが、よくよく考えてみたら、荷物は敷物やら枕やらで使ってしまうため、テントの中に入れておくオモシのようなものが何も無いことに気がついた。かといって何も入っていないテントが飛ばされないようにするためだけにこの時刻からわざわざガイラインを張るのも面倒臭かったので結局テントは畳んで足元に置くことにした。仰向けになって目を開ければそこには満天の星空。

2日目へ続く
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