2018/09/18 (Tue)
5:50 本山小屋
↓ - 1:00
6:50 切合小屋
↓ - 1:10
8:00 三国岳
↓ - 0:30
8:30 疣岩山
↓ - 1:30
10:00 祓川山荘
↓ - 1:50(早く着きすぎるので休みながらのんびり)
11:50 弥平四郎
想像以上の強風と大雨が続いた。これはひょっとしてひとつ先の切合小屋まで標高をさげて泊まった方が良かったんじゃないだろうかと思ってみたり、いやいやそこまで標高さげてしまったら朝晴れた場合に山頂まで登り返す時間もなくて悔しいじゃないかと思い直してみたりしながら過ごした長い夜。日の出予定時刻は5:20過ぎ、私の計算だと5:00にテン場を引き上げて下山を開始してCTの0.85のスピードで歩いたとしても、バスまでに7分しか余裕がない。万が一朝晴れていたり、もうじき晴れそうだったりした場合、私は何時までここで粘って良いのだろうか?仮に予定していたルートではないルートで歩けば少しは時短になるかな?でもこっちの方が・・・zzzzzz
目が覚めてもまだなお外は暴風だった。少しだったけれど雨の音もしていたと思う。標高下げずに粘ってみたけれど矢張り無理だったか、また来いってことかもしれないな。山頂ピストンをしないのならばと半ば諦めて再び眠っていたのだが(←学習しない。本当はこのタイミングでとりあえず起きたほうがいい事があるはずなのに・・・w)、いよいよいい時間になってきたので朝食準備にとりかかった。外が僅かに明るくなってきた気がして、ぐっしょり濡れたテントのフライのジップを上げると強い風に煽られてフライが捲れた。
朝焼けだ!やばい、完全に出遅れた。山頂まではCTで片道20分、往復40分ある。食べて、片して、大急ぎで外に出た。強風でテントはまったく畳めなかったのでとにかくぐるぐるに丸めてパッキングして、荷物をその場に置いたまま山頂へ向かう。この時すでに5:00過ぎ、しかしこうなったら頑張ってハイペースで下山するしかないと思った。それでも山頂に行っておきたかった。ええい、なんとかなるだろう。
私よりずっと先にテントの撤収を始めた学生カップルのような二人がすぐ前を歩いていたが、追いついてしまった。二人きりで山頂に立ちたかったかもしれないよなぁと申し訳ない気持ちもあったが、まぁ仕方ない。それにしても、本山小屋で幕を張ると決めて下へおりずに留まって、しかもこんなギリギリの時間まで粘って山頂に登り返して、誰に言われた訳でもない、この自分自身の判断でこのタイミングでこの場所に立っていることが本当に嬉しかった。以前厳冬期の茂倉新道で思った、「すべての判断がピタッとはまった」という感覚に近かった気がする。
見た目は穏やかでも風は爆風w 雨は止んだが上下シェルを着用。でないと寒くて凍えそう |
CTよりずっと早く、あっという間に切合小屋に到着した。水はほとんど消費していなかったがもう水場になってしまったので、手持ちの水はここで一旦2Lほど捨てて、新しくここで冷たい水を1Lくらいいただく。
地面に置かれた?打たれた?道標がかわいい。 |
大所帯でしかも荷物の重そうなグループが居るなぁと思ってすれ違ってきた人達は、どうやらNHKの百名山の番組の撮影クルーだったらしい。三国小屋の小屋番さんが教えてくれた。重い装備を背負う時のための背面パッドのようなものを着けていた。あんなアイテムがあるんだね・・・
ここまででも大分CTを巻いていたので少しだけここで人と話したりしながら休憩をとった。カモシカスポーツの山飯をぽりぽりと食べる。美味しい。
三国岳から疣岩山までの道からは飯豊から大日岳までの稜線が見えて美しかった。その後一気に急勾配を登り切ると疣岩山。近くに獅子沼という沼に行く分岐もあったが、時間がないかもしれないのでスルー。主稜を一望できるナイスビュースポットだった模様だが・・・この時には既に一帯が白いガスで覆われていたので、行ったとしても展望はなかったかもしれない。
さて旅も終盤、私はもともと計画していたルートとは別のルートを歩いてしまっていたらしい。結果オーライで、時間短縮になったからよかったのだけれども。どうりでめちゃくちゃ早く下山したわけだ。後になって謎が解けた。
私が歩いたのは紫のルート、元々計画していたのは青いルート。 しかし私は、元々ピンクのルートで計画していたと勘違いしていた。 疣岩山から弥平四郎までのCTの差は長いほうから順に、4:45(青), 3:40(ピンク), 3:20(紫) 出発時刻が大幅に遅れたにも関わらず余裕で下山できたのも頷ける |
松平峠から先は鬱蒼としていて展望もない。ただ、水は豊富で水には困らず、しかし当然ながらじめじめしていて足元も悪かった。そんな中、当人はバスに間に合わない可能性を想定し非常に焦っているため汗だくで飛ばしていた。
岩に苔が乗っていてすべる |
これまで見た小屋に比べると圧倒的に古くて朽ち気味。窓は一部割れていて少し雰囲気が怖い |
中は割と普通でした。 |
しかし、ひょっとすると、頭の中で無意識に、どこかのタイミングでリルートしていたのかもしれない。遅くまで山頂にいるためには、ピンクの最短ルートを取るのがベストだ、と朝考えたのか、夜考えたのか、、、更に言えば最初の計画段階で、時間的にぎりぎりにも関わらず一番長いルートを歩くと決めたのか、それとも長めのルートで組んでおけば何かあった時に短いルートに変えれば事足りるようにしておこうと思ったのか、結局考えたのは全部自分なのだけれどあまり良く覚えていない。少し大袈裟かもしれないが、山によく行っていると、切羽詰まった時の判断がオートマティックに為されすぎて意識的にしたものだったかどうかの記憶が消え落ちることがある。不思議なものだ。
飯豊連峰に登り始めた日に既にバスは予約済み。 |
長いこと林道をあるく(元々の計画だとここは歩く予定になっていなかったんだなぁ、と後で気付いた) |
マイクロバスが早目に到着。事前予約必須なのだが、時刻通りに下山できない登山客も居るらしく その時は暫く待たされたりもするらしい(待ってくれるのかw) |
残念ながら近くにビールを買える店はない! すこし離れたところに道の駅はあったが電車に間に合わないので断念。 駅前の自販機でオランジーナを買ってしのぐ。 |
*****
そんなに歩けるのならもう膝なんて治っているだろう、と言われそうな長い旅だったが、実は途中で痛みは出ていたりしてロキソニンを飲んだり、膝周りをマッサージしたりなどしながらの6日間だった。癖になるほど痛みが続くのは逆に良くないから痛み止めを飲んだ方がいいと医者からも言われていたので特に抵抗もなく飲んでいた。自分なりに距離や強度をコントロールしていたので、下山後もそこまで強い痛みは出なかったし、痛みもすぐに引いたんだったと思う。
朝日と飯豊の間に温泉を挟んだのも良かった。まぁ全く疲労回復にはなっていないとは思うのだけれど、今回のルートは自分にとってソロ山旅の新たな拡がりを感じさせてくれるもので、自分の足だけでこんなにあちこち行けるんだ!という発見にもなった。もちろん、車ではなくて足で動く分、行動範囲は狭くなるし、駅や登山口から歩いて行ける場所という制約はついてしまうのは仕方ない。けれども、こんなの思いついて実行してるの私だけなんじゃないか?というワクワク感もあるし(もちろん乗り換えとかで失敗すると物凄く破綻するのだけれども)、まぁとにかく楽しかったな。冬はこういうのは出来ないけれど、来年の夏もこれまでのひたすら山の中を歩き続ける縦走ではなくて今回のような旅感のあるルートを考えてみてもいいかもしれない。山遊びは終わらない。
はじめから読む