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バツバツバツバツと雨がテント当たって物凄い音が響く。そろそろ起きる時間だなと思ってはみるものの、この雨の中出発しようという気などまったく起こらない。さてどうするか。とりあえずしばらく様子を見ることにして二度寝をする。再び目覚めると今度はCTとにらめっこ。ここで今日停滞したら5日間で日本海まで抜けるのは厳しそうだ。行くか・・・
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出発、7:45(時刻不相応に暗い・・・) |
幕営地と白馬岳の間に、宿泊小屋である白馬山荘がある。テン場は閑散としていたが、山荘にはさすがに人が宿泊していたようだった。幕営地から白馬山荘まではCTでたかだか20分ほどなのだが、山荘に辿り着くだけでぐったり。久しぶりだなぁ北アルプスの大雨感。。。これを今日8時間とか続けるのはきっと無理だろうなぁ・・・。ぼんやりとそんなことを思いながらとりあえず白馬岳の山頂を目指す。地図には「360度の大展望」とある。。。
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大展望・・・ |
山頂に向かうまでの間、山頂アタックを終えて山荘に戻る人と何人かすれ違った。彼らは私の荷物の大きさを見て、(この雨の中)一体どこまでいくのと聞いてきたが、こちらもどこまで行けるのかわからず、不安そうに「朝日小屋まで、、、」と先細りの声で答えるのが精一杯。というのを何度か繰り返す。。。すでにつらい。
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カメラも曇ってきたし、視界悪いし。 |
視界が悪いのでちょいちょいルートを間違えたりしつつ進む。雨はいよいよ酷く、前も後ろも何がなんだかよく見えないし聞こえない。
と、すぐ後ろでガサガサッと物音がして慌てて振り返ると男性ソロハイカーに追いつかれていた。こんなに近付くまで気付かなかったなんて雨足どれだけ強かったんだろう。そして私どれほど鈍感なのだろう。。。私があまりに漫画みたいにウワッと驚いたので、相手も逆に驚いていた模様。
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もうなんだか歪んでる |
その場では二言三言くらいしか交わさなかったと思うが、少し先の雪倉避難小屋でしばらく話し込むことになった。どちらが先に到着したのだったか忘れてしまったが(小屋の中の写真が無人なので、私が先に着いたのだったか??)2人とも装備がずぶ濡れだったので、屋根のあるところで体勢を立て直そうとするのは当然の流れだった。
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この小屋はそもそも本当に緊急避難用らしく、ここに泊まるのを前提にルートを組むと、計画を取りやめるよう指導されるらしい。そもそも、ここは泊まったところで翌日どこにも抜けられない場所にあるのだ。 |
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小屋はとてもきれい |
これから彼が向かう先は、私と同じ栂海新道だという。私よりも日数は1日短く、私よりも北から入山していたので総距離も短い。今日の目標地点は私と同じく朝日小屋で、翌日の目標地点もまったく同じ栂海山荘だった。
雨に打たれていると、雨を受けるのが体だけなので大した雨に感じなくても、傘をさすと傘の面積分だけ音がするからより大雨に感じられるようになるものだ。小屋に入ると小屋の屋根の広さで雨を受けるから必要以上に土砂降りに聞こえてきて、もうますます外へ出る気がなくなってきた。時刻はまだ午前11:00。。。
ここから朝日小屋までのCTは4時間半ほど。結局ここで1時間くらい天気の回復を待ったが、一向に雨足は弱まらなかった。私はこの時点で、服が濡れて精神的に疲れた状態で稜線を歩くことの危険性を鑑み、さらに朝日小屋に到達しないかもしれないという可能性を思い、この小屋に停滞することに決めた。翌日の行動時間が異常に長くなってしまうことはわかりきっていたがそうせざるを得なかった。彼はというと、小屋の奥でベースレイヤーを乾いたものに着替え、その日のうちに朝日小屋目指し出発をした。僕は行くことにします、朝日に着いたら今夜はさすがに小屋泊かなぁ、もしもまた栂海山荘で会えたら乾杯しましょう、そう私に伝えた。少し危険を伴うと思ったからなのか、はたまた彼の普段の行動パターンなのかはわからないが、僕はAといいます、と名前を名乗ったのでこちらも名前を言って見送った。
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濡れていた持ち物や服を小屋中に干して乾かしながらぼんやり過ごした。Aさんは大丈夫だっただろうか。持参していた文庫本を読んでは寝落ちし、また起きて読んでは寝落ちし、たまにものを食べたりしてまた眠り、を繰り返しているうちに雨音は静まり、外は明るくなってきた。本を読み終わって外に出ると、雲がものすごい勢いで強風に吹かれて飛んでいくのが見えた。丁度嵐が去っていく最中だった。
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ダイナミックに展開していく空 |
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これまでの大雨が嘘のよう。来し方を振り返り。 |
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すぐ近くの丘に登って小屋を撮影。こんな素敵なところを今独り占めしているなんて贅沢! |
丘の上に登って強風に煽られながら私は一人でワッハッハと笑ったり歌を歌ったりしてしばらく過ごした(変態)。でもこの景色、笑わずにはいられない。流石に寒くて一旦小屋に戻ったりしつつ、この強風で靴が乾かないかなぁと思って靴を外に出したりしつつのんびり。
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独り占めサンセット |
なんという美しさ。これだから山はやめられない。まぁやめる気もないけれど。日が沈むと同時に眠ることにした。この調子なら明日は確実に晴れそうだ。早く出発しないと目標地点に辿り着かないから、絶対に寝坊はできない。
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