2018/09/17

20180913-18_朝日連峰-飯豊連峰(5日目:頼母木小屋-本山小屋)

2018/09/17 (Mon)
6:20 頼母木小屋
 - 0:47
7:07 地紙北峰
 - 0:53
8:00 門内岳
 - 1:05
9:05 北股
 - 0:30
9:35 梅花皮小屋
 - 1:00
10:35 烏帽子岳
 - 2:25
13:00 御西小屋
 - 1:20
14:20 飯豊山
 - 0:30
14:50 本山小屋

夕方あんなにすっきり雲が取れたというのにまた夜のうちに雨になってしまった。朝6時くらいには雨も上がる予報だったけれど、朝になったらまた予報が変わって1時間後ろに倒れていた。とはいえ7時までは待てないので、ようやく雨が落ち着いた頃合いを見計らって6:20頃に出発。

ひとりで出発したつもりだったが、いつの間にか秋田の藪漕ぎストに追いつかれてしまった。確か扇ノ地紙という梶川尾根の分岐点まで一緒だったのだと思う。「スパイク長靴で歩くと上から雨入らないんですか?」「いや長靴の上からレインウェアだから上からは水は入らない。でも晴れてると長靴にバッタが飛び込んできて、絶対出られなくなるからあれが困る」みたいな会話をしながら真っ白な中を2人してゴリゴリ登る。そうか、長靴で山を歩くとバッタが入るのか。
上下レインウェアを着て出発はしたものの、雨はもうほとんど降っていなかった。ただただガスが酷くて景色は見えない。結構な風が吹いていてシェルを着ていないと寒くてきつい。
門内小屋に到着。小屋番さんは不在でがらんとしていた。昨夜は誰か泊まったのだろうか?
強風で風疲れしていたのでこちらで少し休ませていただく。珍しく雑記帳にメモなど残してみる。
小屋を後にして門内岳を登って降って、北股岳の登りに差し掛かった頃だったか、ふと左前方にふわりと青空が見えた。えっ、と思ってそのまま後ろを振り返ると、ついさっきまでなにもかも覆い尽くしてしまっていた白いガスは消え、歩いてきた稜線の草木がわずかに太陽の光を受けて私の目までその色を届けた。多分風速18m近くはありそうな強風に吹かれててダイナミックに形をかえていく雲の白と、微動だにしない大きな山の緑や黄色が相俟って凄まじいサイケ感。ゴッホが描くぐるぐるした空がまるで目の前にあるような感じで意識が飛びそうになる。雲のああいう感じは、写真でも動画でもやっぱりうまく伝わらないんだよなぁ。
あれよあれよと雲が切れて
門内小屋までよく見えるほどに。こんなに穏やかそうに見えて、まだ物凄い強風が吹きまくっている。
こちらは前方
そして北股岳に到着。素晴らしいお天気!飯豊の稜線をこの景色を見ずに歩くなんて悲しいことにならなくて本当に良かった!胸が熱くなる。
後ろを振り返って
このままずっと晴れて晴れてラストの飯豊本山まで晴れ続けて終わるものだと思っていた。そう、この時は。
梅花皮小屋と北股岳。小屋を通りすぎ梅花皮岳の登りにさしかかる手前で後ろを振り返って。
秋の空
梅花皮岳まで登るとようやく飯豊本山が見えてきた(もしかするともっと手前から見えていたのかもしれないが、私はようやくここへきて認識できたw)。奥に左右に走っているのがおそらく飯豊山、御西岳、大日岳をつなぐ稜線だ。でもなんだか向こうの方は空が暗いね・・・・?
奥の稜線に雲がかかっている
烏帽子岳からCT3時間もある長い登り。傾斜は大したこともなく、良いペースで辿り着いた御西小屋だったが・・・
まさかとは思ったけれどそのまさかだった。もしかしてこのまま飯豊本山ガスの中かよ!
きっと大したことのないルートなんだと思う。それでいてきっと景色は良いのだろう。ここまで歩いて来た長い稜線を左手に眺めながら御西から本山までのアップダウンの少ないのっぺりした道を感慨深く歩く筈だった。しかしまぁご覧の通り何も見えなかった。山頂に近づいて大きな石がゴロゴロしているあたりはガスっているとルートがとりづらくて、何度もルートを外しながら必死こいて進む。かろうじて雨は降ってこないとはいえ、ミストサウナみたいな湿度で今にも雨になりそうだった。
登頂!
なんの罰ゲームですかね・・・
4日目の夜は予定していた朳差小屋ではなくて1つ先の頼母木小屋まで進めたし、この日は間に合えば切合小屋まで降りてしまった方が最終日気が楽だなぁと思ってここまで進んできていたのだが、この後絶対雨になるだろうから夕方まで歩き続けるのも嫌だし、明日は晴れ予報でようやく大気が安定しそうだし、こんなガスガスの山頂で飯豊を終えるのは悔しいしということでこの日は本山小屋で行動を終えることに決めた。最終日にしてようやく山中テント泊(あとの一回はダム脇w)。

今まで10年ほど山をやってきたけれど、なんだかんだそこまでの強風下でのテント設営や撤収というのはあまり経験がなかったかもしれない。夜間に幕の不具合を修正するのが面倒臭いのはよく知っていたので、ガッチリとガイラインを張って不安のないようにテントを建ててから水場まで100mほど降って水の補給に出た。戻ってくるまでの間に少し雨が降ってきてしまったけれどなんとか全体的には間に合ったという感じだ。途中で出会ったご夫婦は切合小屋からピストンで飯豊本山を登りに来たと言っていたけれど、おそらく雨に遭ってしまったことだろう。水が途中で足りなくならないようにたっぷり汲んでテントに戻ってきてから一度も外に出ることはなかった。それにしても何でこんなに天気の悪い日に限ってテント泊しているんだろうとテントの中で考えたりもしたけれど、よくよく考えたら大石ダム脇の夜以外は毎夜雨だったから、いつテントを張っていたとしても結局同じことだったなと思い直した。テントは一晩中風で揺れていて、テントの内側の天井につけたネットに掛けて干していた靴下は何度も何度も下に落ちてきたし、眠りの深い私でさえも夜間に何度も目を覚ますほどの風雨が続いていた。さぁ、泣いても笑っても明日で最後だ。

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2018/09/16

20180913-18_朝日連峰-飯豊連峰(4日目:大石ダム-東俣コース-頼母木小屋)

■飯豊連峰セクション
【4日目】
大石ダム-東俣コース-朳差小屋-頼母木小屋
【5日目】
頼母木小屋-門内岳-梅花皮小屋-御西小屋-飯豊山-本山小屋
【6日目】
本山小屋-切合小屋-疣岩山分岐-松平峠-祓川山荘-弥平四郎-(バス・電車移動で)

2018/09/16 (Sun)

6:10 大石ダム管理棟
 - 0:30
6:40 東俣彫刻公園ゲート
 - 1:10
7:50 林道終点
 - 2:00
9:50 カモス峰
 - 1:17
11:07 千本峰
 - 1:08
12:15 前朳差岳
 - 0:45
13:00 朳差岳
 - 1:08
14:08 大石山
 - 0:40
14:48 頼母木小屋

心優しい2人組のお陰で大石ダムの管理棟まで歩かずに済んだというのに、寝心地が良過ぎて若干の朝寝坊。実は管理棟の先まで車で入れるのだが、「暗くて細い道の運転は怖いからここまででいい?」と言われたので管理棟脇泊となった。朝はここから林道歩きが1時間半ほど。この日も午前中は雨予報だったが、林道以外は樹林帯歩きでそれほど景色の見えるところもないだろうし雨でもいいやと思っていたが、起きてみるとまさかの曇り空、むしろ雲多めの晴れ。天気がずれ込んでいるのだとしたら嫌だな、明日は稜線だから晴れて欲しいのにまさか明日が雨なのか?
ダム脇を歩く。猿がいっぱいいた
実は今回、ギリギリまで西俣の大熊尾根という破線ルートを歩こうとして計画していた。しかし直前に人から「そっちは藪漕ぎで今立入禁止になっているはず」と言われて調べてみてあっさりと東俣コース(権内尾根)に切り替えたのだった。膝の調子はそこまで悪くもないから後半戦も大丈夫だろうと思って飯豊連峰へ入ってきたものの、全く痛みがないと言うわけでもなかったので、この状態でハードな東北の藪を登るのは厳しいだろうという判断だ。しかも天気予報は悪いし、タフな藪漕ぎに耐えるような分厚いシェルを持ってきている訳でもなかった。スタート地点は西俣も東俣もいずれにせよ大石ダムで、しかも東俣の方が早く稜線に着くことがわかっていたし、東俣へのルートの変更はまったく苦でなかった。どうしても西俣コースに行きたければ、いつか本腰入れて西俣メインで行けばいい。何かのついでに入るというような心づもりだと殺られる、それくらい西俣は過酷そうだった。

とはいえ、東俣に切り替えたからといって東俣がラクだったかというとまったくそんなことは無かった。東俣でもこんなにキツイのだから、西俣をやめておいて本当に良かったとさえ思った。なんせ登りの角度が急で凄い。この夏休みが始まる前の三週間、膝のことや天候のことなどが重なって山に行っていなかったということもあり、今の自分にはかなり堪えた。水の消費も激しい。沢を離れて急登が始まってから最初の1時間、距離はたったの1kmで標高差500mほど上がり、その後もぐいぐいと標高をあげていく。
歩きにくいし角度がきつい!
朳差方面はこちら、、、って、トラバース道が平気で斜めっている
そして雨は降らない。今日なんか雨だって構わないのになぁなんて思って登り始めたけれど、このキツい登りをゼーゼー歩きながら、雨じゃ無くて良かったと心から思った。。。こんなの雨だったら本当に修行でしかない。
だいたいずっと鬱蒼としているがたまに景色も
ダムの標高が200mくらいで、今日の最高峰朳差岳は1634mだから、まぁそういうことだ。
ようやく稜線歩きらしい感じになってほっと一息。天気は悪化してきて、折角のこのタイミングで真っ白に。そりゃないだろうよ・・・ご褒美をくださいご褒美を・・・
それでも完全に真っ白ではないから、太陽ガンバ!!私も頑張ってるから太陽もガンバ!!なんて独り言を言いながら進む。チラ見せ感がすごい。チラ見せしかない。
格好いい!
たまぁに見える稜線の姿に歓声をあげながら進んでいく。えぶりさし、って山の名前はずっと前から気になっていて、やっと来られたというのにこんなにチラ見せしかしてくれないの!?でもこんなに少ししか見せてくれないなんて余計に気になるじゃないの!と思いながら太陽を応援する。きっと私が頑張って登れば太陽も頑張って雲をどこかへ消してくれる・・・はず。
うまいタイミングで写真は撮れなかったけれど、朳差の山頂では一瞬だけ晴れ間を見せて貰うことができた。たくさん山に行っているけれど、こういうピンポイントなタイミングですぅっと晴れ間が現れる時はいつだって鳥肌が立って涙が出る。そういう瞬間に網膜に焼き付いた景色は最高に美しい。私なんかではそれを写真で捉えることはできない。
山頂を過ぎると、元々行こうとしていた西俣コースの分岐に着いた。嗚呼、これはあかんやつや。足元の踏み跡の有無までは確認しなかったけれど、まぁ完全に藪漕ぎ。天気がよくない時は絶対に避けるべき。突っ込まなくて良かった。
もうかれこれ5年くらい前?から通行禁止の看板が立っているとかなんとか。
元々の予定ではここがこの日のゴール、朳差小屋。
東俣コースに切り替えたことで時間に余裕ができ、朳差小屋到着は13時と早め。次の頼母木小屋まで、なんとか雨降るまでに歩ききれるかなぁ。
小屋の中にも大熊コース通行止めの文字が。ここはこの日は管理人不在だった。
大気は不安定で、雲はダイナミックに流れてその影が山肌を流れていた。青空だと思った次の瞬間にはあたり一面真っ白になる。しかし、朝日連峰にいた時からそうだったのだが、今回の山行では絶望的致命的な天気の悪化がないような気がしてならなかった。理由はわからないけれど予報はいつだって外れて毎日良い方に倒れ続けていて、毎日夕方から夜にかけての空の様子を見るにつけ、「ほんとうに明日そんなに天気悪くなるのかな?」と思っているとやっぱりそんなに天気は悪くならないのだった。勿論、あーこのあと絶対降るな、という瞬間もたくさんあって、そういう時は降るのだけれど、それが日中ずっと続くとかそういうものではないのだ。
頼母木小屋が近付いてきた。あー疲れた、やっと休める!まだ時間的には歩けるけれど、自分がもう歩きたくないし、別にそこまで頑張らなくてもいい。小屋の手前を歩いていると、左前方に見えてきた尾根(下の写真の右側の尾根)があまりにも綺麗だったので見とれること暫し。
このピンクの尾根かな?(間違ってたらすみません・・・)
もし私が見ている尾根が地図上のこの尾根であるなら、あー山道はないんだな、きっと藪かな、とか考えながら眺める。しかし見事なまでに一定してしかも緩やかな傾斜、写真だとうまく伝わらないけれど、写真に写っているののさらに倍ぐらいの距離で同じ傾斜が続いているのだ。歩いてみたいけれどきっと人が歩けない、野生動物達だけのための尾根かもしれないというロマン。まぁ普通に人が歩いているかもしれないけれどもw
到着した頼母木小屋には人の姿と洗濯物(こんなガスで乾くのかというツッコミはさておき)。小屋には小屋番さんを含め男性5人がいた。何やら全員ひとつのパーティーかと見紛うほど和やかな雰囲気の中に突撃すると、なにやら水場の方から舞茸がどうだ、舞茸どうする、舞茸舞茸という言葉がやたら聞こえてくる。舞茸あるんですか?
どーん!
天然舞茸はすごく香りが良くて、市販の舞茸なんかとは比べ物にならないという話は何年も前からキノコ仲間に聞かされてきたが、実際にはまだ見たことがなかった。まさかこんな東北の山の中でお目にかかることになろうとは!!思わず、嗅がせてくださいと申し出て舞茸に鼻をうずめる。ふがぁ、いい香りだ。ていうかこれからこの舞茸をどうするんだ?まさか、食べさせてくれるんじゃないだろうな(期待)?
隣に置いてあるのは500ml缶!
小屋のすぐ脇に水場、むしろシンク。ここでさっと舞茸の根元の泥汚れを落とす
舞茸の処理をしているうちに雨が本降りになってきた。間一髪、というほどではないにしろ、雨がやってくる前に小屋に入れてラッキーだった。

それにしても、予約もなくやってきたのに天然舞茸を食べさせて貰えるだなんて、偶然とはいえ、ますます東北の「小屋」文化とシステムがわからなくなってくる。避難小屋なのか営業小屋なのか、まぁその中間なのだろうけれど缶ビールは売られているし、小屋番さんがガスコンロを持ってきて、沸かしたお湯をポットに入れている。しかも、じゃあ枝豆茹でますねーって枝豆出てくるし、水茄子の漬物もまわってきた。小屋の夕飯じゃないし、なんだろうこのタダでツマミが出てくるシステムは。天国か。
舞茸を、まずは網焼きで塩をつけたりつけなかったりして食べる。美味しい!
手前が小屋番さん、その奥は小屋番さんの友人でもある酒豪の舞茸ハンター(ソロ)。
舞茸を背中に背負って歩いていたら虫が寄って来て凄かったそう。
この方、なんと350mlビールを6缶担いでその後も小屋で買って飲み続け、全部で3Lくらい飲んだとのこと。
物静かで人との交流を好まないのかなぁという雰囲気を出しながら、16時過ぎぐらいに雨に濡れた最後の1名が小屋にチェックイン。まぁ結局のところ最初の印象とは程遠い、全然物静かでもなんでもないイカれた秋田の藪漕ぎストだった(褒め言葉)。

焼いても焼いても減らない舞茸。あとは汁にしたいけど、うーん味付けどうしよう、味噌とかあればいいんだけどなぁなんて話になったところで、自家製の味噌持ってきてますという人あり。更に粉末のうどんスープなんかも出てきて味付は決まり。ひとしきり舞茸を食べたあとは汁にしていただく。
左から、秋田出身の藪山マニア(ソロ、足元はスパイク長靴)、
福島出身だけれど都内からやってきたという大荷物ペア(左は初心者で、右の人が連れてきたらしい)、
マラソンもやるという足元トレランシューズの飯豊マニア(ソロ)。盛り上がる。
雨が止んで外に出ると、辺り一面あれだけ真っ白だったのが嘘のように雲がきれて視界が開けていた。幻想的な雲が山に絡み付くのを皆で嬉しそうに眺める。気温は一気に下がっていた。
みんな山が大好き
家に帰ってきて写真を見た時、似たような写真が続いている時は大抵興奮していた証拠
いわゆる夕飯のメイン的なものはそれぞれが勝手に作って食べているが、汁物は皆で分け合っていただく。ご馳走様でした!
いつまで経っても話は尽きないので小屋番さんが気を使って会を締めたにも関わらず、さらに30分ほど続いた飲み会。おすすめのルートや山域の話、キノコの話、あれこれ話して本当にあっという間の時間だった。楽しかったなぁ。

2018/09/15

20180913-18_朝日連峰-飯豊連峰(3日目:大朝日小屋-五味沢+越後下関温泉巡り)

2018/09/15 (Sat)
5:45 大朝日小屋
 - 0:15
6:00 大朝日岳
 - 0:55
6:55 平岩山
 - 3:10
10:05 大玉沢出合
 - 1:00
10:55 角楢小屋
 - 1:00
11:55 大石沢小屋
 - 0:55
12:50 五味沢

**************

寝床がすべて二階にまとまっている大朝日小屋。5:00前に動き始める人は、身支度や炊事は1階でやるようにとの指示があった。私の起床予定は4時半過ぎだったので、前日のうちに大きな荷物は1階におろしておいた。朝日に誘われて人々が小屋を出たり入ったりしている。その幸せなそわそわ感に胸がときめく。
この日の午前中は雨予報だったから雲は多めだったが、朝焼けが見られただけでも万々歳だ。まぁ今日はもう下山するだけなので、しばらく晴れていてくれれば嬉しいけれど、そうでなくてもどうにでもなるだろう。小屋から大朝日岳を経て(これでかれこれ4度目の登頂w)、平岩山へ。
大朝日から平岩山に向かう稜線。
向かう先をずっと見ながら歩きたいと思うけれど、行く手を既に雲が覆っている・・・
(この後この雲がどんどん増える)
少し色づいていて綺麗
平岩山を過ぎて北大玉の分岐あたりに差し掛かった頃、雨が降ってきた。昨夜、明日は五味沢に降りますと小屋番さんに伝えたら「そこに降りるのか」と意外そうな顔をされたのが少し引っかかっていたのだが、歩いてみてちょっとその理由がわかった気がした。蛇引清水という水場のあたりから先の降りがかなり急なズルズルで膝にくる。雨だったこともあり、何度か滑った。そんな中ここを登りで使っている人に何組か出くわしたが、登りでこのルートというのはかなり辛そうな。。。

ところで、このルートについて、地図に「一本丸太の吊橋」という表記があったのだが、前日小屋にいた人が「あの吊り橋は結構びっくりしますよ」と言っていた。私は両腕で抱きかかえられる太さの丸太とかそういうのを想像していたのだが・・・目の前に現れたのはこれだった。
え?
幅にしたら10cmくらいか。しかも縦方向に何度も継ぎ足ししてあって、その隙間が20cmくらいあるところもある。丸太の吊橋は合計で2つあったのだが、1つ目は沢床も歩けるとのことだった。でも一旦降りてまた上がってくることを考えたら絶対に橋を渡った方が早い。というか、渡るな危険と書かれていないので、渡っても差し支えのない強度があるということだろう。いやそれにしても怖い。
ハーネスもないし、こんなの想定していないからスリングも1本しかない。とりあえず気休めでスリングをザックのウェストベルトに縫い付けられたデイジーチェーンのようなものに通してカウヒッチにし、カラビナを吊橋のワイヤーにかけて渡ることに。とはいえ2歩進むごとにカラビナはワイヤーを乗り越えなければならないので、付け替えのためにカチャンカチャンとやる。その行為だけでも十分怖い・・・。
渡り終わったところかな?
なんとか渡り終えてまたしばらく進むと再び吊橋。こちらは更に距離が長い・・・・・しかも沢床も歩けるとは書かれていないので、吊橋を渡るしかない。こちらもカラビナをかけてどうにか渡りきる。それにしてもさっきすれ違った人達は皆平気な顔してここ通って来てたのか?東北の人達すごすぎる。
因みに吊橋の縦部分は丸太だけではなくワイヤーも引いてあるので、いってみれば綱渡りみたいにワイヤーの上を歩いている感じだった。見た目だと、左右にぐわんぐわん揺れそうな感じがするが、実際はそこまで揺れない。

後で別の小屋番さんから聞いたところによると、朝日連峰は雪が深過ぎて普通の吊橋だと雪の重さで壊れてしまうという理由で、どこも基本的にこのタイプらしい。そして、二人以上乗ると結構揺れますよーとのこと。いや、こんな橋に二人以上とか乗らないでください・・・。自分が歩いている時に後ろから誰かに歩かれて揺れたら泣くわ。
手前の方、よく見ると最後まで丸太が渡されていない。ここはワイヤーを歩けということかなw
最後の吊橋はようやく丸太ではなくなったものの、ものすごいひん曲がり方。普通だとこれでも結構怖いと思うはずだが、最早これくらいでは寧ろ「幅もあって立派な吊橋だな」と思ってしまう程度には麻痺している。

最後の最後まで気の抜けない下山ルートを終えると雨は止み、あとは舗装路歩き。大石橋から2時間40分と書いてあり、バスの時刻まで結構ギリギリだと思ってだいぶ頑張って歩いたのだが、なんだか1時間程度で着いてしまった・・・。

お風呂のある、白い森交流センターりふれという施設からほど近い五味沢バス停で待つこと30分ほどのバス待ちの間に、足を汗拭きシートで吹いてサンダルに履き替え、目の前の自販機でコーラを飲む。バス(小国町営バス北部線)は車内の電光掲示と車内アナウンスのバス停とが微妙にズレていたので、ちゃんと降りたいところで降りられるかドキドキしたが、無事小国駅で下りられてほっとした。乗り換え時間はわずか3分だったが乗り換えにも成功。トイレに行く暇もなかったが、トイレ付きですごく綺麗な新しい車両だった。
乗り換えにもし失敗していたら、小国の駅で3時間くらい待つ羽目になっていた・・・
この駅の周りには温泉なども何もない。
飯豊連峰へは、小国駅から梅花皮山荘まで(夏季は飯豊山荘まで)のバスも運行しているのだが、私はそのルートではなくもっと北から歩こうと思っていたので、小国から電車移動となったのだ。そしてついに目指していた越後下関に到着!
5泊の参考でお風呂に入らないのは私にとっては別にどうってことないのだが、一旦下山して次の山域に移動している途中に温泉地があるのならば行くしかないじゃないか!というわけで少し物悲しい町ながらも温泉がたくさん楽しめる越後関川の町を探訪。今回は借りなかったけれど、湯めぐり自転車も借りられるらしい。関川村の温泉詳細はこちら

行きたい共同浴場が2ヶ所あって、きっと共同浴場だから石鹸を使えなかったりするのかなと思ったので、まずは普通に体を洗うため桂の関温泉ゆ〜むへ。次は湯沢共同浴場
こちらは硫黄系でした。
ここで出くわした新潟のご婦人2人組は光兎山という山を登って来たとのことで、湯船につかりながら一緒に話をさせて頂いた。こちらも大きなザックを背負って温泉に来ているので、自ずと山の話になったのだが、これまでとこれからのルートと、この辺で食べ物屋さんありますかねなどと話したら、車だから送ってあげるわよと有難いオファー。でもまだ私もう1ヶ所温泉入りたいんですよと悔しながらもお断りした。
続いて少し塩っぱいお湯の雲母共同浴場へ。越後下関に着いたのが14:35で、そこから18時過ぎまでに3ヶ所をすべて歩いて移動したのでかなりタイトだったが十分楽しめた。わざわざ体を洗うためだけに、最初は共同浴場ではない普通の温泉施設にも行ったけれど、このあたりの共同浴場に石鹸NGなどの草津の共同浴場的なルールは無く、皆自分の石鹸やシャンプーなどを持ち込んで使っていた。
米どころ新潟の町をひたすら歩いて温泉を巡る
雲母温泉でもまたご近所の奥様と一緒になり、おすすめのシャンプーを強く勧められ(笑)、既に私は髪の毛洗ってから来ているのに何故か二度洗い。お風呂から上がって脱衣所にいると、先程の湯沢温泉の2人組が本当に追いかけてきて、ガラガラと扉を開けたw 追いつけたら追いつくわねって、口だけじゃなくて本当に追いついてきたのにはびっくりした。しかも一緒にご飯→大石ダムまで送ってあげるだなんてって言うじゃないの!いいんですか!!本当にいいんですか!!
焼肉定食!
高校時代のワンゲル部の友達で、当時は顧問の先生が厳し過ぎて、卒業後はまったく山に登っていなかったというお2人。歳をとってまた何故か一緒に登り始めて、今は低山藪山ばかりに行っているという(低山藪山の本を見ては突撃しているらしいw)。類友なのだろうけれど、なんだかそういう人ばかり寄ってくるなぁと思いながら、楽しくご飯を食べて、コンビニ立ち寄り付きで大石ダムへ。絶対虫いるよ!刺されるよ!蚊取り線香と蚊取り線香ホルダーあげるから使って!怖いからテント張りなよ!としきりに言われ、ダムの管理棟のところで彼女達をお見送りして就寝。私にしては珍しくアスファルトの上でテントを張って眠ったが、テントに網戸をつけてきていたため、網戸にして眠ったら涼しくてとても熟睡できた。
※ 便宜上、上の地図はすべて徒歩ルートとなっていますが、本文でも書いている通り実際にはバス、電車、車、徒歩で動いています。

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